おいしい日本酒の魅力を国内外へ広め、伝統産業を守る

おいしい日本酒の魅力を国内外へ広め、伝統産業を守る

クロッシング株式会社 代表取締役 柳伸

カテゴリ: 、従業員数:

2022.02.18

畔柳 伸(くろやなぎ・しん)

クロッシング株式会社代表取締役


 

愛知県出身、青山学院大学文学部史学科卒。サントリーグループ・CJプライムショッピングにてマーケティングを学ぶ。その後、経済産業省のクールジャパンプロジェクトに携わる。国内の魅力ある商品の需要開拓を支援する観点から、日本酒に特化したスタートアップ企業へ入社し、実績を積んだのちに2020年8月にクロッシング株式会社設立。日本酒の需要開拓の委託事業から、自らデジタル・メディア『おいしい日本酒』を運営し、日本酒の造り手と、飲み手、次世代のファンを繋ぐ役割を担っている。

 


 

日本酒は今や国内だけでなく世界的な人気を博しています。日本酒を活用したプロモーションやブランディング戦略の立案・企画など、日本酒PRの総合広告代理業に取り組んでいるクロッシング株式会社。誰にでもわかりやすくておいしい日本酒の魅力を広めるため、オンラインイベント等を開催している、代表取締役の畔柳様にお話を伺いました。
 

 

こだわりを持った日本酒を海外に広めていきたい

 

 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、畔柳さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
 

愛知県名古屋市内の高校から、青山学院大学へ入学。サークル活動でマスコミ研究会に所属していました。。そこでタウン誌を制作をしてキャンパス内で配布、紹介したお店から広告収入を得ていました。いわゆるフリーペーパーですね。

 

卒業後も、自ら取材して制作したものを人に伝えたい気持ちが強く、地元名古屋で企画制作のコピーライターとして働きました。やがて、営業の仕事を経て、商品コピーで商品を買っていただく、ダイレクトマーケティングの発想にいたり、名古屋にあったテレビショッピング企業に転職し、14年間ダイレクトマーケテインング業に携わっていました。
 

イメージ広告と違い、ダイレクトマーケティングは、科学的にレスポンスを検証できるため、どこをどう変えたら売れるのかなど、分析しながら行う業務に楽しさを感じていました。しかし、テレビショッピング業界は競争が激化して、自分の勤めていた会社で事業縮小による早期退職を募っていたタイミングで退職しました。その後は、経済産業省のクールジャパンプロジェクトの委託事業で、国内の伝統産業品、地場産品を海外へ広める事業に1年間従事しました。
 

海外に商品を広めるのであれば、自分がこだわっている商品のほうが力を入れやすいし、好きな日本酒で活動したいと思い、2016年に日本酒に特化したPR会社に入社しました。最初から会社を立ち上げる選択肢がありましたが、日本酒業界のコネクションがゼロだったので、その会社で4年間実績を作った後、2020年にクロッシング株式会社を立ち上げました。


 

日本酒に特化したPR、ブランディング戦略を企画し魅力を広める


 
--現在日本酒PR事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
 

弊社は日本酒に特化した業務を行なっています。具体的には、「日本酒を活用したプロモーションやブランディング戦略の立案・企画」、「日本酒PRの総合広告代理業」「デジタル・メディア『おいしい日本酒』の運営・情報発信」などです。
 

具体的な取り組みとしては、日本酒に関わるコンペで企画提案をして、委託を受けて実施をします。日本酒造組合中央会という、日本酒や本格焼酎、みりん、泡盛を造っている全国の酒蔵を1700社束ねている組織や、地元の愛知県から、日本酒の価値や楽しみ方を伝えるPRをやらせていただき、10/1の「日本酒の日」に全国一斉で日本酒で乾杯をするプロモーションを行いました。

 

--10/1が「日本酒の日」というのはどのような由来なのでしょうか。

 

酒造りは米の収穫が終わって、開始するのが10月頃です。干支で10番目が酉で月も10月は酉(とり)で、「酒」という文字はさんずいに酉なので、酉の字は象形文字の徳利を表しています。そういった理由から10/1は「日本酒の日」となっているのです。

 

--数ある商品の中で、日本酒に着目された理由はありますか。
 

「クールジャパン」と言われるようになって久しいですが、国内の魅力ある商品の需要開拓を支援することは、日本古来からある伝統や、技術と通じるものがあると思います。日本酒は、真似されない技術(平行副発酵)を用いて、日本の風土で造られた農産物加工品であり、そこに価値を見出したのです。
 

しかし、模倣商品というのはどうしても作られてしまうもので、そうなるとブランディングした価値がゼロになったり、価格の面でオリジナルが勝てなくなる場合があります。ただし日本で職人が作る日本酒の技術はマネができません。現在では、海外でも日本酒が造られておりますが、日本で造られる日本酒の輸出が減るのでは無く、むしろ本質的な価値観が上がっていくものだと思っています。
 

数だけ見れば世界のアルコール消費量に対して、日本酒の割合は圧倒的に少ないですが、ポジティブに考えれば、それだけ余力を残しているということです。


 

--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
 

酒蔵さまとのパイプが強いところだと思います。また、日本酒に特化したイベント運営会社は少なく、特に専門性が問われるため、参入障壁の高さという点も見ても強みだと思います。
 


ユネスコ世界文化遺産を目指す日本酒を世界にPR


 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
 

今後は軸足を海外に向けて行きたいと思っています。ユネスコの世界文化遺産に和食が登録されたことで、海外から注目されたように、国内でも和食に対する印象が変わりました。目指しているのは、今後、日本酒がユネスコの世界文化遺産に登録されることを見越した新たな展開です。次に日本が世界から注目される大阪万博までに世界へ日本酒PR、輸出を広げていきたいと思っています。
 

また、日本酒の消費が落ち込み、酒蔵さま自身の後継者問題はかなり切実で、酒蔵がどんどん減っているのが現状です。現在、国として新しい製造免許の認可をしておらず、唯一の方法として、酒蔵を廃業するところからM&Aをして事業継承していく方法があります。
 

伝統産業を守っていくためには若い世代に魅力をもっと浸透させて、後継者不足を改善し、酒蔵を継ぐ流れを構築する必要があります。そのために今後も尽力していきたいです。

 

--コロナウイルスによってお酒離れが話題になっていましたが、実際にどのような影響があったのでしょうか。
 

飲食店でのお酒を提供する機会が無くなったことが一番の悩みでした。一方で好きな方は通販などで買うので、その点に関しての需要は伸びました。ほかにも家飲みの需要は伸びて、スーパーなどで手軽に買えるお酒の需要も伸びているのが現状です。
 

名前が知られている銘柄のお酒は普通に売れますが、、名前がそこまで知られていない銘柄は、飲食店でお勧めすることで、売上が確保されているケースが多く、こうした銘柄はジリ貧状態でした。年平均では2割減、4割減の月もあり、コロナ禍で大幅に売上が落ち込みました。
 

現在は、沢山お酒を造って安く納品する、薄利多売では出荷量が落ちて利益が上がらなくなってしまったので、どれだけ付加価値をつけるか、ブランディングをつけて買ってもらうか、という方向にシフトしています。

 

--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
 

日本酒業界全体のデジタル発信を刷新したいと思っています。大きな流れとしてはDX、お酒コンシェルジュのAIがあっても良いと思うので、今無いものを作り上げていくパートナーと繋がることができれば、新しいマネタイズがあるのではないかと思います。
 

会社名「クロッシング」の由来は、「掛け合わせる」ということです。例えば、自分の好きなジャンルのイベント会場で、たまたま日本酒を飲む機会があったりとか。料理のペアリングで、普段飲まない日本酒にチャレンジしてみたりとか。
 

そうした掛け合わせから、日本酒に関心を抱くきっかけになることもあります。まずは多くの方が興味を持っているものを前面に出し、結果的に日本酒を広める活動をしたいと思っています。
 

様々な興味のある方と、クロッシングしていきたいです。興味を持っていただいた方、日本酒と掛け合わせてみたいと思った方は、ぜひお声がけください。先ずは日本酒を飲みに行きませんかでも結構です。(笑)


 

--本日はありがとうございました。

 

クロッシング株式会社

https://oishiisake.jp/xrossing/



Professional Onlineでは無料で経営者インタビューに掲載いただける方を募集しています。お問い合わせフォームよりご連絡ください。


 

詳細の説明はこちら
SHARE
COPYLINK

プロフィール

クロッシング株式会社代表取締役

柳伸

会社情報

クロッシング株式会社