杉本 光生(すぎもと・みつお)
株式会社ウィルズ 代表取締役社長CEO
同志社大学の商学部を卒業後、リクルートコスモスに入社。人材紹介会社のインテリジェンス・コンサルティング会社のIR Japanなどを経て、2004年に株式会社ウィルズを創業。上場企業の企業価値向上を目指し、IR事業に取り組んでいる。
企業の価値を決める一つの指標は株価であり、企業価値を上げるためにはIRへの積極的な取り組みが必要です。企業と投資家をつなぐツールの提供などITを駆使したサービスでIR活動を支援する、株式会社ウィルズ代表取締役社長CEOの杉本様にお話をお伺いしました。
将来の独立を見据えて、戦略的に進路を設計
-本日はよろしくお願いします。早速ですが、杉本さんの経歴をお聞かせください。
同志社大学の商学部を卒業後、リクルートコスモスと言うリクルートグループの不動産部門に91年から入社しました。その後、人材紹介会社のインテリジェンス(現パーソル)の創業間もない頃に籍を置きました。94年頃からはIR Japanというコンサルティング会社でIRの営業兼コンサルティングをしておりまして、その後独立系のIR会社を2社ほど経由して2004年に株式会社ウィルズを創業しました。
-大学ご卒業後さまざまな業界を見られてきたと思うのですが、昔から独立したり起業する思いがあったのでしょうか。
学生時代から将来的には自分で何かをやりたいという思いがありました。周りに相談したところ将来の企業を目指すのであれば、リクルートグループが向いてるのではないかというアドバイスもあってリクルートに入社しました。リクルートの中でもリクルートコスモスを選んだのは当時不動産バブルの時代で、不動産と証券会社が非常に注目されていた業界でしたので、そちらを選んだという形です。
-その後の人材会社などへの転職も起業を見据えて行動されたのでしょうか。
そうですね。我々の時代は大企業に就職したら一生安泰だという明るさがありましたが、その頃からそういう考え方に対してすごい反発心がありました。将来は自分で何かを立ち上げてやってみたいと思っていました。
当時、インテリジェンスという会社は、ベンチャー企業の先駆け的な存在でした。大企業で働くよりも、中小企業で、経営本質に近いところで業務をしたいという思いがありました。
「上場企業の企業価値を最大化させる」をキャッチフレーズにサービスを創出
-事業概要について、改めてご説明をお願い致します。
弊社にはIRのコンサルティング会社からスタートしたESGソリューション部門があります。
ここでは大企業、上場企業のマニュアルレポートや統合報告書といった、いわゆるIRツールの制作を請け負う事業を担当しております。弊社はこのIRツールの制作請負を柱に事業をスタートしました。
今会社の主軸となっているのは「IR-navi」というインターネット上で起動する機関投資家のデータベースです。このASPサービスと、プレミアム優待クラブというインターネット上で個人会員に向けて優待ポイントを発行していくビジネスのモデルの2つを、総合的に株主管理プラットフォームという形で展開しています。
-前職であったり同じIRの領域で事業に取り組まれていますが、その中で御社の独自性や強みについてもお伺いできますか。
会社案内の表紙にも入れている「MAXIMIZE CORPORATE VALUE」がキャッチフレーズです。日本語に訳すと「上場企業の企業価値を最大化させる」という意味になります。
企業価値は「時価総額」「株価」と訳すこともできますが、時価総額・企業価値を上げていくことが、最終的なIRの目標です。
上場企業の企業価値を上げていくため、具体的にどういうことをすればいいのか、という原点に立って展開してきて、機関投資家の戦略的マーケティングツールである「IR-navi」と、個人株主・個人投資家を戦略的に増やしていくプレミアム優待倶楽部というサービスにつながってきました。
「IR-navi」のようなツールの導入によって、今まで証券会社に依頼するしかなかった投資家との接点を、上場企業は自らマーケティングにつなげていくことが可能になりました。そういう意味では時代の変化に適合したビジネスモデルなのかなと思ってます。
-現状で課題と捉えられていることはありますか。
インターネット上で展開するサービスが主軸となってますので、常に開発が伴います。開発し続けないとサービス遅延を招いてしまう中で展開しておりますので、常に優秀な開発エンジニアを採用したり新しい付加価値を創造していくことが求められます。
同じようなビジネスモデルが他にはあまりないので、我々が新しい付加価値をトップランナーとして作っていくしかないという立場です。そこへのプレッシャーは常に感じています。
-開発も内製化して全てやられているそうですが、顧客の獲得はどのように行われているのでしょうか。
我々は法人企業にアポイントをとってプレゼンテーションを行い、ニーズをヒアリングしながら提案していく形態をとっております。
-この1~2年コロナ禍で業界全体として、また貴社の動きで何か変化はございましたか。
新型コロナウイルスによる影響は2つの側面があると考えています。
我々のお客様でも、コロナ禍で売上にダメージを受けている企業様が多いです。自然と極力経費を削減していく流れになるため、我々の仕事の業績にも少なからずダメージがあることは否定できません。
中長期的な目線で見ると、今我々が展開しているバーチャル株主総会に動きが見られます。これは通常リアルに会場やホテルで開催される株主総会を、インターネットで開催しようという取り組みです。
こうしたバーチャル株主総会や、オンライン決算説明会といったもののお問い合わせが非常に増えてきております。我々はIR活動であったり株主管理と株主とのコミュニケーションということをデジタル化していく、いわゆるDX化していく方向性を目指しているわけですが、新型コロナウイルスの影響によってスピードが早まったように思います。
この分野においては、結果的に少し追い風になったのかなと感じています。
グローバルな意識を持つことが大事
-今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
中長期的な視点ですと英語圏で使用できるサービスを開発する予定です。
現在「R-navi」の英語版の開発を進めていまして来年完成予定となります。
主に金融のマーケットはグローバルレベルで見るとロンドンとニューヨークが中心になりますので、そういった英語圏でも使えるものを開発してサービス展開を考えています。
-今後アライアンスを組んだり協業したい会社はございますか。
企業としてのコンセプトのベースは、我々のお客様である上場企業の企業価値を上げていくということです。
我々のサービスは、「自社の株価は実力と比較すると低いのではないか?」と感じている企業様の役に立てるのかなと思います。
また、我々と業務提携している金融機関や金融系のコンサルティング会社・経営コンサルティング会社といった業界は親和性があるところです。こうした業界とのアライアンスは、可能性としては大きいのかなという気がしますね。
-最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
我々は日本の証券市場を元気にすることを最終目標にしています。
私が社会人になった1990年頃は世界の時価総額のトップ10に日本企業が半分以上入ってましたが、今は世界の時価総額のトップ50にも1社入ってるかどうかで、ここ25年くらい世界に比べて遅れをとってきています。
原因は、日本の経営者の感覚がグローバルになってないことだと考えています。
欧米では企業の価値=株価と完全に位置づけられているのに対し、日本の経営者は経営上の株価に対する意識が非常に希薄であることも原因だと思っています。
日本の位置づけを取り戻すためには、欧米の資本主義の考え方をもっと取り入れて、株価を意識していかなければならない。グローバルのマーケットで活躍する産業を作っていく、その意識づけが求められる時代になっていくと思います。
-本日はありがとうございました。
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