宮沢光平(みやざわ・こうへい)
株式会社ユナイテッドマインドジャパン 代表取締役
1983年生まれ。2006年、新卒で外資系大手IT企業に入社。その後同社のロボット事業部がベンチャー企業として独立した際に経営企画として参画。 2011年に健康食品製造メーカーに転職し、社内No.2のポジションで部署間の調整、中国進出の責任者を担当。2014年6月、外国人材採用に特化する株式会社ユナイテッドマインドジャパンを設立。現在は住宅事業に特化した人材紹介とダイバーシティ推進を柱に事業展開。
人口減少が進む日本では、労働力不足が課題となっています。他方、働く意欲があっても仕事を見つけることが難しい在留外国人の就労支援が求められるほか、旧態依然のイメージの影響を受けて若者が不足している業界があるなど、痒い所に手が届く特化型の人材紹介が必要とされています。
そのような労働市場の複雑さを経験から察知し、住宅業界に特化した人材紹介とダイバーシティ推進を事業の二本柱とする、株式会社ユナイテッドマインドジャパンの宮沢様にお話を伺いました。
IT企業、健康食品会社を経て、人材紹介の道へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、宮沢さんのこれまでのご経歴と起業されたきっかけをお聞かせいただけますでしょうか。
2006年に大学を卒業した後、最初に就職したのは外資系大手のIT関連企業でした。この会社にあるロボットチームに魅力を感じて入社したのですが、最初の配属は動画配信サービスの営業部門。Slerとして大手通信会社に動画配信システムを提案していました。そこからロボット事業部に異動をし、自動走行ロボットや人間の声から感情を認識・分析するソフトウェアの販売を担当しました。
その後、このロボット事業部がベンチャー企業として独立する際に経営企画として参画。代表が研究者、他のスタッフはエンジニアだったので、研究と開発以外の経理・企画・営業などの業務を私が一手に引き受けました。人間の声から感情・心を分析するシステムを主軸に、大手ゲーム会社のソフトウェアや携帯電話のアプリ開発などを受注。勢いのあるITベンチャーの熱量を肌で感じて過ごしました。
ただ私は技術者ではないので、もっと自分が身近に感じられるサービスを世の中に普及したい、という想いに至り、2011年に「酵母」を扱う健康食品の製造メーカーに転職しました。社内ナンバー2の社長秘書という立場で入社し、社長直下の中継地点として各業務の調整を行うとともに、中国進出支援の責任者を担当。ここで海外の企業や外国人と交渉、情報交換ができたことで、起業の方向性が見えてきました。
そして2014年6月に念願の起業の想いを遂げ、株式会社ユナイテッドマインドジャパンを設立。外国人の人材紹介に特化し、「グローバル・IT・心」の三つをキーワードに、外国人材の活用支援をメイン事業としてスタートさせました。
ニッチな住宅業界特化の人材紹介の可能性に賭ける
--異なる業界での経験を活かして起業されたのですね。現在は御社ではどんな事業をされていらっしゃいますか。
現在の事業の柱は二つ、住宅業界向けの人材紹介事業とダイバーシティ促進事業です。
・人材紹介事業
住宅業界を中心に、建築・住宅関連の会社に人材を紹介する事業
・ダイバーシティ促進事業
日本と外国・外国人を融合して新しい社会を形成していくなかで、様々な情報発信をする事業
--では、まずは人材紹介事業に関して詳しくお伺いできますか。
設立からの弊社のアイデンティティは外国人材紹介事業だったのですが、この1年ぐらいは住宅業界に特化した日本人材紹介事業にフォーカスしています。
当初は順調に実績を上げた外国人材紹介でしたが、日本企業は外国人に対して課すハードルがまだまだ高く、日本語と日本の企業文化を理解していないと採用に繋げるのが難しいことから、残念ながらマーケットが思ったより広がりませんでした。
まずは日本人材紹介をしながら特定の業界の企業の中に入っていって、弊社の認知度をあげる必要があるのではないか。そう考えていたところに大手住宅メーカーから人材紹介事業に関して年間契約のお話があったのです。
特化型人材紹介会社は増えてきており、市場が大きい不動産・建築業界にもありますが、住宅業界の特化型人材紹介はあまり目にしません。家を作る住宅メーカーはニッチなマーケットだったため、住宅メーカー専門の人材紹介は可能性があると思い、住宅業界に特化することに決めました。
--どういった人材を紹介されているのですか。
ニーズが大きいのはやはり家を売る営業マンですね。注文住宅・建売住宅に関わらず、お客様のご要望を汲み取って販売に繋げられる人材が求められています。それから設計・デザイン担当、施工管理(家を建てる現場を指揮する人)、情報システム担当、広報担当(ブランディング、広告プロモーション、宣伝)、さらには経営企画・経営管理まで、多岐にわたって業界で求められている人材を紹介しています。
転職希望者のリードは既存媒体がメインです。募集をかけて待つ形式の媒体とスカウト形式の媒体がありますが、人材紹介会社がたくさん登録している中でのスカウト合戦が繰り広げられます。ただ、弊社は住宅業界に特化しているので、スカウトをうつ場合に自分たちのノウハウがあることが強みです。
--住宅業界向けのPR事業もされていらっしゃいますか。
広告・PRサービス事業に関しては構想を練っているところです。
住宅メーカーには全国区の大手もあれば、地元に根ざしてオーダーメードで家を作っている小さな工務店も全国各地にあります。こういった工務店が求めているのは家が売れること。人材紹介云々よりも、家を売るために人材やアイデアを求められています。そのため、優秀な販売営業スタッフの採用活動にプラスアルファして、工務店のプロモーション全般にサービスを展開していければと考えています。
外国人材紹介のアイデンティティは変わらぬ強み
--二つ目の柱、ダイバーシティ促進事業とは具体的にはどのようなものでしょうか。
日本人と日本で働く外国人のコミュニケーションエラーを解消するためのメディアになることを目指し、インスタグラムやSNSでの発信を始めています。
観光客として日本に来る外国人向けのメディアは増えていますが、日本に長く滞在している外国人に特化したメディアはまだ少ないと思います。
外国人が日本で働くなかで「あれ?」と感じる違和感にフォーカスした情報を漫画などで発信することで、日本人に外国人の感覚の違いを知ってもらい、日本人と外国人の間に生じるコミュニケーションの疑問を埋めていくために運営しております。日本人と外国人の距離を縮めるのが目的です。外国人の方には日本人とのコミュニケーションを円滑にしてもらい、逆に日本人も認識の差を知ることで両者のコミュニケーションをスムーズにさせる一助になれればと思っています。
このメディア事業はまだマネタイズの目途はたっていませんが、外国人材紹介事業から始まった弊社のアイデンティティやノウハウを残し、将来の新規事業に繋げるための重要な事業だと思っています。
--御社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
優秀な人に住宅業界に入ってきてほしいという想いがあり、業界全体を変えたい、魅力ある業界にしていきたいと考えています。そのため、一般の人材紹介会社が行わないであろうサブスクモデルでの提案、研修・教育を割安で提供しています。
また、住宅業界のなかでも特に建設現場では、技能実習生と呼ばれる外国人が雇用されていたり、大手企業でも技能実習生の管理役として、新卒で外国人を入れていきたいというニーズが発生しています。設計など可能な部門の業務を海外にアウトソーシングするカルチャーも発生してきており、ベトナムなどの海外現地での採用支援も始めています。
弊社では3000名以上の外国人材と交流をし、年間で数百名の外国人材を企業に紹介してきた実績に基づいた独自のノウハウがあるため、住宅業界全般における外国人も含めた採用のお手伝い、顧客の会社を強化するための支援ができます。この部分は弊社の独自性であり、同時に強みでもあります。
住宅業界を若者や外国人に魅力ある業界にしたい
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
住宅業界のダイバーシティ化が目標ですね。
現状では、この業界に入って家を建てたいという若い人が不足しています。土日が休みでないことなどをマイナスに捉えてしまうためです。これを変えて、住宅業界を魅力あるものにする手伝いをしていきたいと思っています。
具体的には人材紹介だけではなく、プロモーションを支援したり、海外でのアウトソーシングを活用したコスト削減を提案したり、業務全般にサポートを広げたいですね。
他方、日本の住宅を海外で売ることができないか、とも考えています。それぞれの国の言語で相談に乗りながら、保険の窓口のような立場になって海外側の要求を把握し、住宅業界の海外進出を支援することが今後の構想です。
衣食住の一つである住宅はダイバーシティと密接に関わっています。住宅業界を日本にダイバーシティを広める一つのモデルケースにできるよう、人材の支援をしつつ、住宅業界の発展に貢献したいです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
弊社は住宅業界に特化した人材紹介では強みがあります。さらに外国人採用に関してのノウハウを持っておりますので、今後は専門性が活かせる住宅業界を皮きりに、それ以外の業界でも、外国人登用を検討されている企業様に総合的な支援をさせていただきたいと思っております。
住宅、不動産関連の企業様はもちろん、ダイバーシティを意識した採用、特に外国人の活用をご検討されている企業様は是非お問い合わせいただければと思います。
--本日はどうもありがとうございました。
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宮沢 光平