「問い合わせを待つ」時代の終焉。カスタマーサクセスを、あらゆる企業にとっての当たり前にするために

「問い合わせを待つ」時代の終焉。カスタマーサクセスを、あらゆる企業にとっての当たり前にするために

株式会社ユニリタ 部長代理 尾上 雄馬

カテゴリ: IT・情報通信、従業員数: 100〜299

2023.07.14

尾上 雄馬 (おのうえ・ゆうま)

株式会社ユニリタ 

Growwwing開発者/クラウドサービス事業本部DXイノベーション部 部長代理 

 

2007年に同社へ入社、ヘルプデスク支援ツール「LMIS」の開発を担当。2017年より同サービスのカスタマーサクセスチームを立ち上げ、解約率の大幅な低減を実現した。この時カスタマイズした管理ツールを汎用化し、カスタマーサクセス管理ツール「Growwwing(グローウィング)」として2020年7月より事業化。責任者を担当している。
 

 

従来のカスタマーサポートが、顧客からの問い合わせに対応するという受動的なものであるのに対し、問い合わせが来る前からプロアクティブに活動するのがカスタマーサクセスという考え方です。その重要性は認知されつつあるものの、方法を模索しながら取り組んでいたり、各担当者によって効果の有無にばらつきがあったりする現状があります。今回は、カスタマーサクセス管理ツール「Growwwing」の開発者である尾上氏にお話を伺いました。 


 

自社のカスタマーサクセスノウハウを形に


--本日はよろしくお願いします。まずは、御社の事業内容についてお聞かせください。
 

弊社は企業向けのデータ活用やシステム運用に関する製品・サービスの開発、販売、保守を行うパッケージベンダーとして、主にソフトウェアの提供を手掛けてきました。1700社以上の企業とお取引があり、その6割が10年以上継続していただいているお客様です。

最近ではクラウドサービスの拡充も図っており、IT課題、事業課題、社会課題といった、様々な課題解決を支援してきました。2020年頃に開始した新事業、「Growwwing」は主にカスタマーサクセスにおける事業課題を解決するためのツールとなります。


--Growwwingを立ち上げることとなった背景をお伺いできますか? 


元々私は、「LMIS」というヘルプデスク支援ツールの開発に関わっていました。その傍ら、カスタマーサポート業務も兼務していたのですが、10年ほど提供してきた中で既存顧客の解約率が年々高まってきていました。当時、営業側としてはセールスクラウドを使って受注までの管理はしていたのですが、受注後の管理は従来型のサポートセンターが担う形をとっており、兼務ということもあって、販売後のサポートがかなり手薄になっていたのです。そうした状況に危機感を感じ、カスタマーサクセスチームを立ち上げてリーダーを務めることになりました。

当時はエクセルで顧客情報を管理していたため、顧客ごとの活用状況や導入当初の課題が把握できなくなってしまうなど、販売後のデータ管理に問題がありました。そこで、「LMIS」をカスタマイズしてカスタマーサクセス業務管理が可能なツールをつくったのですが、それが「Growwwing」のプロトタイプとなりました。
 

 

--実際にツールを活用して、どのような成果が出たのでしょうか? 
 

管理ツールを活用したカスタマーサクセスによって、10%だった年次解約率が3%まで下がり、追加発注も増えるという成果が現れました。その時、このツールを世の中に出すことで、より多くの企業で価値を発揮できるのではないかと思い、社内ベンチャーの仕組みを活用して事業化することにしたのです。 当時「LMIS」を提供している事業部門では収益源が一つしかなかったため、事業の多角化という意味合いもありました。
 

 

カスタマーサクセス市場の未熟さを実感 

 

--事業化を実現するにあたり、課題となったことは何ですか? 
 

事業化するためには、事業が成功するか否かを検証するため、カスタマーサクセス市場のニーズを収集する必要がありました。ですが、2018年当時は、カスタマーサクセスという業種自体がまだ浸透していないこともあり、「お客様に聞きに行く」という形でのニーズヒアリングを実施することができませんでした。
 

--どのようにして情報収集をおこなったのですか?
 

「LMIS」で出展していたセールスフォースのイベントブースの一角を借り、イベント来場者やブースを出している人たちに話を聞いて回って、地道にヒアリングを重ねました。そうして“足で稼いだ”情報をもとに「Growwwing」の検証を行い、地道な努力が実を結び2020年に事業化することができました。 


 

--カスタマーサクセス自体の認知度の向上が、ひとつの大きなミッションということになるのでしょうか?
 

そうですね、サービス利用者を幸せにするための手段としてのカスタマーサクセスという考え方、概念をもっともっと広めていく必要があると考えています。現状、スタートアップ企業にとっては比較的当たり前のものと認識されていますが、それだけで終わらせたくはありません。カスタマーサクセス市場の成熟度を高めるためにも、カスタマーサクセスの認知度の実態を調べる社会調査や、ユニリタ本体のユーザー会での研究会、オウンドメディア「Growwwth Note」での勉強会など、啓蒙活動には力を入れています。
 

 

スタンダードツールを目指して


 

--今後のビジョンについてお聞かせください。

2020年に事業を開始して以来、多くの企業に「Growwwing」を導入していただいていますが、スタートアップのみならず、コニカミノルタ様やリコー様といった、大手企業での活用事例も増えてきています。業界や会社規模に関わらず、カスタマーサクセスが当たり前に行われている状態を実現していきたいですね。 

例えば、営業組織を立ち上げたとしたら、SFAを導入することが一般的な認識かと思います。それと同じように、カスタマーサクセスに取り組むとなったらカスタマーサクセス活動を管理するツールが必要、という認識を浸透させたいのです。まだまだ取り組み始めたばかりという企業も多いですし、各社が独自のやり方を模索していたり、担当者任せの属人的な業務になっていたりするので、それを標準化するためのツールの必要性を理解してもらい、「Growwwing」がそのスタンダードツールとしての地位を確立していけたらと思っています。 

カスタマーサクセスに本格的に取り組みたい、ツールを導入してアナログ管理から脱却したいといったご要望があれば、是非お気軽にお問合せいただければ幸いです。 

 

--本日はどうもありがとうございました。

 

株式会社ユニリタ

https://www.unirita.co.jp/

カスタマーサクセスプラットフォーム「Growwwing」

https://www.growwwing.jp/index.html


 

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プロフィール

株式会社ユニリタ部長代理

尾上 雄馬

データ活用領域、ITシステム運用管理領域のパッケージソフトウェア開発・販売・サポートおよびソリューション、コンサルティングサービスの提供

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