保育業界のDX化・ICTでみんなの幸せのために「チーム育児」を目指す。ユニファ株式会社の取り組みとは

保育業界のDX化・ICTでみんなの幸せのために「チーム育児」を目指す。ユニファ株式会社の取り組みとは

ユニファ株式会社 代表取締役CEO 土岐 泰之

カテゴリ: 、従業員数: 100〜299

2022.02.28

土岐 泰之 (とき・やすゆき)様

ユニファ株式会社 代表取締役CEO


 

2003年に、住友商事に入社し、リテール・ネット領域におけるスタートアップへの投資及び事業開発支援に従事。その後、外資系戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーやデロイトトーマツにて、経営戦略・組織戦略の策定及び実行支援に関与。2013年にユニファを創業。全世界から1万社以上が参加したスタートアップ・ワールドカップにて優勝したことに加え、採用率が全世界で2.5%未満であるEndeavor(エンデバー)起業家に満場一致で選出されるなど、国内外で高い評価を受ける社会起業家。

 

 

保育業界は、共働き世帯の増加に伴い、拡大している市場です。しかし、保育施設は常に人材不足に悩み、離職率の高さも問題視されています。そのような状態が続くと、子ども達の笑顔やその先の家族の幸せを脅かす可能性があります。そこで、保育業界に新たな風を巻き起こし、家族の幸せを守るべく新たな取り組みを始めているユニファ株式会社代表取締役CEOの土岐様にお話を伺いました。


 

「家族の幸せ」を生み出すビジネスをするために起業を決意


 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、土岐さんが起業されたきっかけをお聞かせください。

 

2003年に住友商事に入社し、ベンチャー投資に携わっていました。その後、ローランド・ベルガーやデロイトトーマツなどの外資系戦略コンサルティングファームで経営戦略・組織戦略の策定及び実行支援に関与し、2013年にユニファを創業しました。


 

--かねてより起業に対する意欲はお持ちだったのでしょうか。

 

そうですね。学生のころから何らかの形で経営者になりたい、事業を作ってみたいという気持ちはあり、ベンチャー企業でインターンをしていました。ただ起業のテーマがなかなか見つからずに踏み切れなかったのですが、そのうちに結婚して子どもが生まれて、子育て世帯が育児をしながら仕事をすることの難しさに直面しました。
 

私自身も仕事を変えたり縁もゆかりもない土地へ移住するなど、家族のためにキャリアを諦めるという経験をしました。これまで、家族の幸せのために生きてきた部分があったことに気づき、「家族の幸せ」をテーマにしたビジネスが私らしい挑戦ができると思い、起業をしました。


 

保育施設の在り方を変え、誰もが幸せになれる取り組み


 

--家族の幸せのためにと起業を決意されたのですね。では、現在取り組んでいらっしゃる事業について、改めてご説明をお願い致します。
 

「ルクミー」というブランドで、保育施設の在り方を変えようとしている状況です。共働き世帯にとって社会インフラとも呼べる保育施設は、慢性的に人材が不足しており、保育士不足という深刻な社会課題を抱えています。我々は、そうした社会課題をDXを通じて解決しようと取り組んでいます。

 

具体的には、「ルクミー」という最新のテクノロジーを活用した保育施設向けのICTソリューションの提供や「スマート保育園・幼稚園・こども園」の推進・展開を進めています。保育者の業務は、子ども達の登降園管理やお昼寝(午睡)時の見守りから、日々の写真撮影業務、保育日誌や保育計画の作成、保護者や自治体へ提出する書類作成、保育者のシフト管理まで、非常に多岐にわたります。

 

こうした保育関連業務をICTをうまく活用しながら時間と心のゆとりを創出し、子どもと向き合える時間を増やし、保育の質の向上にも貢献していくことを目指しています。最終的には、業界そのものの付加価値の向上にも寄与したいという志を持って事業を行っています。


 

--今までの保育園・幼稚園の在り方を大きく変えるきっかけとなる取り組みを行っていらっしゃるのですね。貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。

 

まずはプロダクトが圧倒的に強いという点です。非接触の体温計で測るだけで自動で連絡帳にデータが連携されていくことや、お昼寝中の乳幼児の体の向きをセンサーで検知し、専用アプリで自動で転記される等、IoTを含むプラットフォームを構築できている点はプロダクトの大きな優位性だと考えています。
 

2点目は販売チャネルが非常に強いことです。保育業界は、保守的な側面があり、「誰が」販売するかも重要です。私たちは、保育業界の老舗である保育商社と連携して、販売チャネルを構築しています。

 

そして最後は、我々のビジネスモデルです。保育施設からお金をいただくだけでなく、保護者の方が購入する写真の売上でビジネスが構成されています。また、写真の購入による売り上げの一部は保育施設に還元するなど、処遇改善にも微力ながら貢献しております。こうしたBtoBtoCのビジネスモデルは、我々ならではの強みです。

 

--実際にサービスを導入されている保育園はどれぐらいあるのですか?
 

サービスの導入件数は、累計で1万3,000件を超えたところです。全国に保育園は約5.6万施設ほどあることを考えると、ある程度の規模になってきているのかなと感じています。しかし、それでもまだまだICT化が進んでいない保育施設もたくさんあるのが現状です。ICTやDX化は新型コロナウイルスの影響で追い風にはなっていますが、これからもっと導入の余地はあるのではないかと考えています。


 

--保育施設のDX化は、さまざまなメリットがあるのですね。では、園児にはどのようなメリットがありますか?
 

子どもは小さければ小さいほど、周りの大人に対して、自分の興味・関心や健康状態についてなかなか上手に伝えられないですよね。そうした「声なき声」を我々はデータによって可視化することができます。

 

例えば写真のデータをきっかけに家族のコミュニケーションが豊かになったり、興味・関心の萌芽をデータによって導き出すことができれば、一人一人に合った教育や教育機会の提供につながりますので、子ども達の健やかな成長・発達を支援できると考えています。


 

--反対に貴社が抱えている課題にはどのようなことが挙げられますか?

 

昨年の6月に、40億円の資金調達を発表しました。これから保育業界のDXを加速させていこうとしています。現在約200名ほどの規模ですが、人材はまだまだ足りていないなと感じています。
 

また保育業界をより良く変えていくために、ICTプラスαの取り組みも大切だと考えており、「ルクミー みらい保育スクール」という保育者向けの研修事業も立ち上げています。昨今は、待機児童の減少や定員割れの顕在化など、保育施設が保育者や保護者、地域から選ばれる園になることを意識しないといけない転換点にあります。「選ばれる園」とはどんな園なのか、どうしたら実現できるのか、そこに伴走していきたいと考えています。

 

子どもを中心とした「チーム育児」を目指したい


 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
 

「家族の幸せ」を、家族だけで実現するのは非常に困難な時代だと思います。
 

そこで、「チーム育児」が実現できる社会にしていきたいと考えています。チームというのは、当社のデータ基盤を通じて、保育施設と家庭をつなぐことだったり、小児科医やベビーシッター、小学校等、必要な地域・社会資源へとつなげていくことをイメージしています。
 

子どもの幸せをみんなが願っているものの、子ども達の情報をつなぐプラットホームがまだ確立されていません。何か困ったときに、子どもの状態を適切に一元的に管理できれば、必要なケアやサポートを提供できると考えています。子ども達は未来を創っていく社会の宝なので、社会全体で子ども達の成長を支援していきたいと思っています。


 

--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

 

0〜6才を対象に、国内で「スマート保育園・幼稚園・こども園」を推進していますが、中長期的には東南アジアを中心に当社で培ったノウハウを輸出していきたいと考えています。同じような業界DXに挑戦していらっしゃる経営者の方々と、ぜひとも様々な形で意見交換をしたり励まし合ったりしたいと思っています。


 

--本日はどうもありがとうございました。

 

株式会社ユニファ

https://unifa-e.com/


 

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