労働力不足の解決につながるサービスを。新たな労働力の創出と、IT技術を駆使した生産性向上の2軸から社会問題を解決

労働力不足の解決につながるサービスを。新たな労働力の創出と、IT技術を駆使した生産性向上の2軸から社会問題を解決

株式会社うるる 代表取締役 知也

カテゴリ: IT・情報通信、従業員数: 100〜299

2022.02.22

星 知也(ほし・ともや)

株式会社うるる 代表取締社長


 

札幌で生まれ育ち、高校卒業後は営業会社へ就職。その後、オーストラリアに渡り、帰国後に入社した会社で2003年うるるを社内創業。2006年1月MBOにて独立し、株式会社うるるを創立。2017年東証マザーズ上場を果たす。「人のチカラで 世界を便利に」をビジョンに掲げ、クラウドワーカーという「人のチカラ」を活用して、CGS(Crowd Generated Service:クラウドワーカーを活用した事業)を複数展開。

 

 

現代の日本には様々な社会課題が存在しますが、その中でも深刻かつ私たちの生活にも近いのが労働人口の減少です。近年では少子高齢化が進み、労働力不足はより深刻化しています。今回はそんな労働力不足の解決を目指し、新たなサービスを次々に展開している株式会社うるる代表取締役社長の星様にお話を伺いました。

 

成長の可能性を信じ、社内起業としてうるるを設立


 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、星さんが起業されたきっかけをお聞かせください。

 

高校卒業後は営業会社に就職しました。その後オーストラリアに行きまして、帰国後に勤めた会社でMBOをおこない、うるるを買い取った形で起業しました。


 

--なぜうるるを買い取ることになったのでしょうか。
 

元々うるるという社内ベンチャーで、2年ほど事業部長として働いていました。しかし、当時の親会社の業績の関係で、新規で取り組んでいた事業から全て撤退する状況になってしまいました。

 

うるる自体は当時赤字でしたが、2年ほどゼロから形を作り、これから成長させたい、成長できるという思いがありましたので、潰すぐらいなら買い取らせて欲しいとお願いし、買い取ることになったのです。


 

「人のチカラで世界を便利に」労働力不足を補う新たな労働力を活用した仕組みを創出
 

 

--貴社の事業概要についてお伺いできますでしょうか。

 

私たちは「人のチカラで世界を便利に」というビジョンを掲げており、これから日本が直面するであろう、労働力不足という社会課題の解決を目指し、複数のSaaSサービスを提供しています。日本では2003年頃から少子高齢化が深刻化しており、『情報通信白書平成30年版』の試算によると、日本の労働人口は2040年までに1,600万人も減少する可能性があると言われています。つまり、労働人口が約20%減ることになります。

 

その一方で、子育てなどで働きに出られない主婦の方々もいらっしゃいます。こういった方々が、時間や場所に制限されない働き方を実現できれば、労働力不足の解決につながるかもしれないと仮説を立て、社会課題解決に向けたサービスを提供しはじめました。

 

具体的には、失われる労働力を代替するような新たな労働力の創出や、AIを活用したDXの推進といった事業を展開し、生産性を向上させることで、労働力不足の解決を事業で担っていこうと取り組んでおります。

 

 

--展開されている事業について、始められた経緯を含めて詳しくお伺いできますか?

 

まずは、子育ての影響で働きに出られない主婦の方々の労働力を創出できないかと考え、BPO事業を始めました。

 

BPOとは「ビジネスプロセスアウトソーシング」の略称で、アウトソーシングの一種ではありますが、特定の業務のみを外部委託したり、人材を派遣する通常のアウトソーシングとは形態が異なります。

 

当時の2006年頃は、インターネットやデジタル機器の発達により、クラウドワーカーの方々がよりハイレベルな仕事が出来るようになってきたという背景がありました。そこで、クラウドワーカーの方々にどのような仕事をやりたいかとアンケートを取ったところ、データ入力の仕事をやりたいという回答が多かったのです。

 

この回答結果を踏まえて、私たちが企業からデータ入力に関する案件を受注し、クラウドワーカーに再委託する仕組みが作れるのではないかと考えました。

 

いろいろありましたが、なんとかBPO事業を軌道に乗せることができ、多くの案件を頂けるようになったタイミングで、もっとスムーズな案件の受注ができないかと考えるようになったのです。

 

そこで、クラウドワーカーと企業を直接つなぐマッチングサイト「シュフティ」を創出し、BPOで大きな案件を引き続き受注しながらも、「シュフティ」というプラットフォームを活用したクラウドソーシングサービスを開始しました。

 

 

--ユーザーの視点に立って事業を始められたのですね。ユーザーとなるのは主婦の方に限定されているのでしょうか。

 

そんなことはありません。事業を始めたきっかけは主婦の方の労働力を活用することでしたが、現在では性別や職種、年齢を問わず約43万人のクラウドワーカーが弊社サービスである「シュフティ」を支えてくれています。

 

 

--競合他社と比較した際の、貴社独自の強みをお伺いできますか。 

 

そもそも弊社の強みはクラウドソーシング事業ではなく、それを活用したCGS事業という、弊社独自のビジネスモデルにあります。

 

「シュフティ」というクラウドソーシングサービスを展開しているため、同様のクラウドソーシング事を展開している会社とよく比較されますが、「シュフティ」は、実はうるる全体の売り上げの1%にしかなっておらず、売上の大半を占めているのはCGS事業です。

 

CGSとは我々が作った言葉で「Crowd Generated Service」の略称です。クラウドワーカーを活用して生成された事業・サービスという意味です。ITのチカラだけでなく、クラウドソーシングの人力をもかけ合わせた、「IT×人力」というビジネスモデルを指します。

 

具体的にどのようなサービスを展開しているかというと、全国の官公庁や自治体がホームページ上に公開している入札情報を人力で収集し、データベース化して入札に参入している企業に情報を提供する「NJSS(エヌジェス)」というサービスや、電話取次サービスの「fondesk(フォンデスク)」、そして幼稚園や保育園向けのオンライン写真販売サービス「えんフォト」などがあります。

 

一見バラバラなサービス展開ですが、すべてに共通していることは裏側で大量の人力を活用していることです。新しい労働力を活用できる仕組みを創出していることがCGS事業の特徴です。

 

 

労働力不足解決へつながるサービスを輩出し続ける


 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。

 

大きく方針は変えず、労働力不足の解決につながるサービスを今後も創出していきます。そのためには、生産性の向上のみならず、今まで労働力として活用されていなかった新たな労働力を創出・活用することが肝だと考えています。
 

そして、CGS事業においては「NJSS」や「fondesk」、「えんフォト」以外にも、新たなCGS事業を創出していくのが成長戦略の一つです。さらに、M&Aという形で企業を成長させていくことも成長戦略の一つになっていくと考えています。 

 


--貴社は次々と新規事業を創出されていますが、新規事業を生み出せる秘訣はありますか。 
 

社風の影響が大きいと感じています。我々は自分たちで新たな事業を創出し続けることは当然だと思っています。
 

今までも「社会や人のためになる事業をつくりたい」という思いで、本気で事業作りに取り組んできました。挑戦の分、失敗も多くしてきました。だからこそ、新規事業を作ることに対する難しさも知っていますし、挑戦するマインドも持っています。
 

失敗することを恐れない勇気と、理念やビジョンに向かって挑戦し続けるということが新規事業を創出していく上で重要なのではないかと考えます。

 

 

--会社運営をする中で、最も力を入れていることはありますか。

 

「組織づくり」には創業当時から常に力を入れてきました。事業を作ることが出来る人材が私や特定の人に限定されてしまうと、そういった人材がいなくなった時に会社の成長は止まってしまいます。

 

そうではなく、組織として新たな事業を創出したり、既存の事業を成長させたり、時には撤退したりということを、属人的に依存しない形で展開できるようにならなければと考えています。その実現へ向けての組織作りやカルチャー醸成に力を入れ続けています。 

 

 

--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

 

労働力不足は業種業界によってはもう始まっており、これは国力の問題にもなってきます。日本という国がGDPを下げないための働き方改革も対策の一つであり、そこに対して我々は課題解決できるようなサービスを提供していこうと思ってます。

 

そういった思いでサービスを展開している会社様がいらっしゃれば、根底的な考え方・価値観が一致する可能性が非常に高いので、ぜひ一度お話ししてみたいです 。



 

--本日はどうもありがとうございました。


 

株式会社うるる

https://www.uluru.biz


 

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