阮 翔(げん・しょう)
株式会社tiwaki 代表取締役
1997年中国上海交通大学を卒業後に来日。2004年大阪市立大学で博士号を取得してから大学発ベンチャー企業を経験。2007年オムロン株式会社へ入社。大学時代から画像認識分野に携わってきた。 コンピュータビジョン分野で、約20年の研究開発経験を持つ。2016年、株式会社tiwakiを設立し、現在モバイル機器に標準搭載されている美顔ソフトウェアの創出者となる。
AI技術の発展がめざましく、日々私たちの生活のために多くの技術が活用されています。その中でも画像認識技術に可能性を感じ、日本トップレベルのエンジニアを集め、研究開発をおこなっている株式会社tiwaki。今回は、株式会社tiwakiの代表取締役である阮氏に、お話をお伺いしました。
画像認識の重要性を感じ、研究にのめり込む
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、阮さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
来日したきっかけは、親戚が日本に在住していたことと、友人が講師として担当する専門分野に興味があったため、大学卒業を機に来日を決めました。
画像認識の分野に進んだ経緯としては、元々好きな分野であったことに加え、AIが人間に近い働きをするのに、人間で言うところの視覚となる画像認識の技術がメイン機能として重要になると感じたためです。
優秀なエンジニアが活躍できる場を作りたい
--現在技術開発事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
簡単にいうと、滋賀県の機械学習・画像認識コア技術の開発を専門としているベンチャーです。技術開発チームを用いて、充実した技術ラインアップの自社開発ソフトのライセンス販売、カスタマイズ開発、共同研究など顧客のニーズに応じて柔軟に技術を提供しています。顧客は自社が提供した技術を活用してサービスやアプリケーションの構築をしています。
ただ、コア技術のみで事業を拡大するのは難しいので、ビジネス拡大に向けて、エンドユーザーに対してトータルソリューションしていくことを考えており、大手企業と手を組んでサービス展開を図っています。
画像認識技術には、ざっくり2つの種類があり、検出系と認証系に分けられます。検出系は、検出する対象のものを探し出す技術で、認証系は検出したものを理解し判断する技術です。例えば、顔がどこにあるのかを検出するために使われています。一方、認識系は、顔を検出した上で、その顔が誰であるのかを識別する技術のことを指します。
--「Furinkazan」「Omyoji」などユニークなネーミングを採用しているのはなぜか、お伺いできますでしょうか。
私たちがおこなっている「Furinkazan」(風林火山の発音)は、検出系のコア技術の開発、「Onmyoji」(陰陽師の発音)は認識系のコア技術の開発になっています。この2つのネーミングは、日本と中国とのコンビネーションを考えてつけました。また、世界1番の技術を搭載しながら何十倍、何百倍のコンパクトさを実現したいと考え、現在はオープンソースが当たり前になっていますが、私たちの会社では全てオリジナルで開発しています。そこで、できるだけ早くコンパクトにおこなうという意味で「Furinkazan」と名づけ、Onmyojiは、検出したものを理解する、一目見たらわかるという意味で名づけました。
--企業理念として大事にしていることについてお伺いできますか。
日本の大手企業は、ソフトウェアの開発をあまり重視しない傾向にあります。とはいえ、日本のソフトウェア開発者には優秀な方が多く、大手企業にいると、あまりその素質を発揮することができません。そうした優秀な開発者の方が自分の才能を発揮することができるような場を提供したいと思っています。
日本一の技術プロバイダーになる
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
技術に重きを置いている会社は、日本や中国などの東アジアにはほとんどありません。最終的にそのような会社になりたいので、そこに向けてチャレンジするという意味でも、がんばって研究を進めている段階です。また、今おこなっている研究を通して、最終的に日本一の技術のプロバイダーとしての認識を高めたいと思っています。業界内では、プロバイダーとしての認識が高まっているので、どんどん伸ばしていきたいと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
私たちは現在スマートファクトリー、自動運転を含めたMaaS、スマートリテールの3つの分野に注力しています。その点に関連する企業などがあれば、ぜひお話を伺いたいと思っています。
また、現在、AIを扱っている会社はたくさんありますが、その中でも「実用できるAI」をお求めでしたら弊社にご連絡いただけると嬉しいです。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社tiwaki
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