小林 秀司(こばやし・ひでし)
株式会社シェアードバリュー・コーポレーション 代表取締役
23年間、社会保険労務士として様々な企業の問題を解決。「失われた10年」を機に会社の立て直しを図り、自らも大学に通い「いい会社」の経営方針を学ぶ。株式会社シェアードバリュー・コーポレーションは1997年創業。現在では「いい会社」づくりのため、トータルプロフェッショナルとして活動している。
より良い会社経営とはただ利潤を求めることではありません。人を大切にする人本経営はこれからの時代において、持続可能性を高める経営のあり方です。そのような「人本経営」を実現し、成功するためのサポートを展開している株式会社シェアードバリュー・コーポレーション代表取締役の小林様にお話をお伺いしました。
「失われた10年」をきっかけに会社の立て直しを図る
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、小林さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
1997年に株式会社シェアードバリュー・コーポレーションを創業し、社会保険労務士として23年間活動してきました。
実は、会社を創業してから10年経過した頃、自分の仕事に疑問を持ち始めました。というのも、バブルが弾けたあとの「失われた10年」と呼ばれていた時期、私のところには労働紛争の解決依頼が山ほど来ていました。しかし、紛争を解決してもどの会社も一向に良くなりません。
また、弁護士がやるべき紛争処理を社会保険労務士である自分たちが引き受けるのはおかしいとも感じていました。
このことが起因となって、私はそもそも労働紛争が起きない健全な職場作りを支援する会社として当社を再出発させようと決意したのです。
--会社の経営方針を変え、立て直すことにされたのですね。そのために具体的にどのようなことをされたのですか。
坂本光司先生著作の『日本でいちばん大切にしたい会社』という本を読み、坂本先生の考え方や、本に書かれていた長野県のとある会社の経営理念「良い会社を作りましょう」に深く共感をし、これらにつながるサポートをしようと思いました。
2008年6月には、本で紹介されていた会社を実際に訪問しました。本の中に書かれていた通り本当に素晴らしい会社であると感じたのを今でも覚えています。
その後ご縁があって、坂本先生とお会いしお話しする機会がありました。私が坂本先生の考え方に共感しサポートをしたいと考えていることを伝えると「力をつけないと跳ね返されてしまうので、大学に通ってしっかりと学んだほうが良い」というお言葉をいただきました。
そこで、私は47歳にして大学院に通い始めたのです。在学中は、様々な会社を巡り本当に良い会社を800社近く自分の目で見て経営に生かすスキルを学びました。
会社は創業から10年経ったところで経営理念を大きく変えたため、今までお世話になっていたお客さまの半数以上からは共感を得られないというご意見もいただきました。というのも、社内を良くすることよりも利潤を求めているお客さまも多かったのです。
しかし、その後も「社員を大切にする」ということを主張していたことで新しいお客さまとの出会いも多数ありました。
幸せ軸の「人本経営」とは
--現在、人本経営を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願いいたします。
私は、すべてを好転させる最強の経営手法「人本経営」の極意を伝道しています。
具体的には5つの事業を中心に展開しています。
1つ目は、勉強会の開催です。主に2つあり、10ヶ月のコースである人本経営実践講座と企業内研修講師をしています。人本経営実践講座では既に100社以上の参加をしていただきました。企業内研修講師は、社風を良くする研修で次世代リーダー養成をしています。
2つ目は、コンサルティングです。顧問形式で人本経営の実践指導をしています。
3つ目は、いい会社ベンチマーク視察ツアーの企画です。現在はコロナ禍を受けて停止中ですが、以前までは実際にお客さまと人本経営を実践している会社を見学し、「本当に良い会社」というものを感じていただいていました。
4つ目は、幸福度調査です。いい会社をつくるための社員意識調査を行うことで、現在の社員エンゲージ度を明確化し、そこから課題や解決策を提示しています。
5つ目は、公職です。ありがたいことに本を出版してから内閣府の方からお声をかけていただくことが増えました。内閣府地域活性化伝道師や「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員長などを務めております。
利潤を求めるよりも先に会社としてのあり方を理解することが、会社を経営する上で重要な鍵です。そのため、私は「なにを目的にして企業経営をしているか」が非常に大切であると考えています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
事例が豊富であり、「いい会社」づくりのための具体的な実践ノウハウが確立されていることが当社の強みです。
私自身、全国各地で人本経営に成功した企業のベンチマーク視察を重ねてきました。人本経営が組織に浸透することで、結果に影響を及ぼす関係の質が良くなり、最高の結果を出せるでしょう。
--現時点で課題として感じられていることはありますか。
「人本経営」という言葉をもっとわかりやすい伝え方がないかと模索しています。目に見えないサービスですので、知らない方にも拡散する力が欲しいですね。
「人本経営」の志を持つ人を増やしたい
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
23年間、社会保険労務士として活動していますが、最近同業者向けの塾「志伝塾」を作りました。志伝塾を通して、私と同じ志を持った社会保険労務士を増やし、彼らが関わる企業にも同じ志を受け継いでほしいと考えています。
志伝塾は、最大10名を完全オンラインにて指導しています。未だに紛争解決に携わっている社会保険労務士も少なくありません。人本経営を広められる社会保険労務士を増やしていき、業界を良くしていきたいですね。
また、後継者の問題を抱えているお客さまが増えているため、後継者育成ができるシステム作りを考えています。人本経営により良い会社を作っても、経営者の志を引き継ぐ後継者を育てるのは簡単ではありません。
現在、ある会社に対して後継者育成に取り組んでいます。実績を積み、サービスとして確立させたいですね。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
社長さん、会社を経営して心の底から幸せを感じていますか?社風を正したい、従業員を幸せにしたい、経営の仕方がこれで正しいのか、と困っている方はいらっしゃいませんか?
なぜこの会社をやっているのか?という疑問を持っているようでしたら一度立ち止まり、ご相談ください。
社長自身が幸せになり、社長が幸せになることで社員も幸せになるのが人本経営です。
--本日はどうもありがとうございました。
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プロフィール
小林 秀司
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