デジタルトランスフォーメーションで不動産業界を変革:次世代のリーダーが切り開く新たな道

デジタルトランスフォーメーションで不動産業界を変革:次世代のリーダーが切り開く新たな道

株式会社サプライズコンシェルジュ 代表取締役 祐生

カテゴリ: 、従業員数: 10〜49

2023.07.12

沖 祐生(おき・ゆうき)

株式会社サプライズコンシェルジュ 代表取締役
 

株式会社不動産SHOPナカジツにて不動産売買の仲介を担当し、その後リビン・テクノロジーズ株式会社で不動産業とIT業の双方で豊富な業務を経験。現代の不動産業界にデジタルリテラシーを武器に、株式会社サプライズコンシェルジュを設立。日本全国の不動産屋のデジタル化に照準を合わせ、事業を展開中。
 

 

多くの業界がデジタル化の波に乗る中、不動産業界はまだその恩恵を十分に受けられていないと言えます。日本全国には12万4,000社近くの不動産会社が存在しますが、その大半が小規模企業であり、デジタルマーケティングへの取り組みが難しい状況にあります。そのような状況を打開しようと奮闘しているサプライズコンシェルジュは、不動産業界のデジタルトランスフォーメーションを推進し、業界全体の進化に貢献するという大きなミッションを掲げています。その革新的な取り組みについて、同社の代表取締役社長である沖氏に直接お話を伺いました。

 

ITと不動産の融合で目指す、不動産業界での変革への道のり


--本日はよろしくお願いします。早速ですが、沖さんのこれまでのキャリアや起業のきっかけについてお聞かせください。

 

はい、大まかにいうと不動産業界からIT業界に転職したという経歴になっているのですが、元々は愛知県に本社を置く株式会社不動産SHOPナカジツで、不動産売買の仲介を6年半ほど担当していました。その間、ネット反響に対応する部署にも在籍し、インターネット経由の問い合わせを通じて多くのお客様のマイホーム購入や売却手続きをサポートする中で、当時からインターネットを通じて取引につながるプロセスに興味を持っていました。

 

実は日本全国には宅地建物取引業という免許を取得した不動産屋が12万4,000社程度あるのですが、そのうち85パーセント近くが従業員4名以下の小規模企業であり、ウェブ集客に苦労していることが多いのが現状です。

 

また前職の不動産テック企業であるリビン・テクノロジーズでは、270社の不動産会社と取引を行い、その中でもウェブ集客に困っている不動産会社が多いことを実感しました。それらの経験から、現在のサプライズコンシェルジュを立ち上げ、不動産業界専門のデジタルマーケティング支援を始めるに至りました。

 

--そのほかにはどのような事業に取り組まれているのでしょうか。
 

主に3つの事業に取り組んでおり、不動産業界専門のデジタルマーケティング支援をはじめ、不動産買取事業と不動産売却マッチングサービス「いえうるん」の運営を行なっております。不動産業界のITリテラシー向上を目指す観点では、不動産業界専門のデジタルマーケティング支援や、不動産売却マッチングサービス「いえうるん」の運営には特に力を注いでいます。

 

これら3つの事業を通じて、不動産業界が直面する課題の解決とITリテラシーの向上を図り、不動産売買の仕組みを改善することで、売主と買主が安心して売買取引のできる環境を作り出すことが私たちのミッションだと考えています。
 

 

「いえうるん」が切り拓く、新たな不動産業界の可能性

 

--最も力を注いでいる「いえうるん」について教えてください

 

「いえうるん」の最大の強みは、不動産の個人売主様と全国の不動産屋をマッチングするプラットフォームであり、その中でも利益還元型のマッチングサービスである、という点にあります。利益還元型の不動産買取は、利益率の低下や工数の増加が起こってしまう側面がありますが、弊社では売主様に損をさせない環境を実現させる、という理念に基づいて運営しています。

 

具体的には、売主様から物件を買い取る際には、1円でも高く買い取ることを前提に、そして物件を再販売したときに、予想していた粗利よりも多くの利益が出た場合、その一部を売主様に還元しています。

 

--利益率の低下や工数の増加がある中で、なぜそのようなサービスを提供されているのですか

 

やはり、売主様に損をさせたくないという想いが一番の原動力です。現在の不動産業界では、不動産を安く買い叩いて利益を出すという構図が多く見受けられますが、私たちは不動産はただの商品ではなく、個々の売主様が大切にしてきた財産だと考えているので、商売の一環とはいえ、売主様が安く買い叩かれることで損失を被る可能性があるこの状況を何とか変える必要があると考えています。

 

そのため弊社では売主様が適正な価格、つまり実勢価格の7割以上で不動産を売却できるようにサポートしています。また安価に売却されてしまうケースを少なくすることも目指しています。2兆円という巨大な買取再販市場の中で、安く売り過ぎてしまう人を一人でも減らしたいというのが私たちの理念です。

 

実際のところ、不動産取引の大部分は宅建業者が中心となって行われています。個人投資家が関与する場合もあり、三為取引という形で利益を抜く取引がなされることもあります。この取引で最も損をするのが売主様なのです。

 

安く買い叩かれている物件を不動産会社が買い取り、仲介業者と買主だけが利益を得るという構図は、個人的には公平でないと感じています。安く買って高く売ることは商売の基本かもしれませんが、売主様が安く買い叩かれ過ぎているのは、我々の業界であれ他の業界であれ、改善すべき問題だと思います。

 

--ありがとうございます。「いえうるん」の買主様側にとっての強みやメリットについても伺ってもよろしいですか?

 

はい。買主様への強みは「成約課金型」であり、無駄な追客が一切なく広告費を削減できる点です。不動産会社は売主と不動産買取契約した時点、もしくは売主と買主が不動産売買仲介契約したタイミングで成約手数料が発生します。

 

通常の不動産マッチングサービスでは、マッチングした際に紹介料として約1万円から1万5000円がかかりますが、「いえうるん」では紹介料を一切いただいておりません。不動産会社にとっても成約しなければ利益が発生しないため、完全成果報酬型なのは大きな利点です。

 

通常の一括査定サイトでは無駄な反響が多く、成約に至らない情報に対しても時間や人件費、広告費がかかってしまいます。そこに無駄がないというのが、私たちのサービスの大きな強みです。

 

また「いえうるん」では初回対応を弊社で行っておりますので、営業電話や追客電話を行う必要がありません。不動産会社へ紹介する際には、すでに売却を希望する具体的な情報を持ったお客様だけを紹介させていただくので、特に営業担当者がおらず1人または少数で運営している不動産会社にとっては、営業活動に時間を割けない問題を解消できるという点も強みとなります。

 

--不動産業者が自社のリソースをより有効に活用できるわけですね。

 

その通りです。特に、不動産業界では経営者自身が営業活動を行うことが多く、そうした経営者がひとりまたは少人数で店舗を運営しているケースが全体の85%を占めています。そういった小規模な事業者にとっては、営業活動に時間を割くことが困難です。だからこそ「いえうるん」がこうした活動を代行することで、経営者は自社のリソースをより効率的に活用することが可能となります。

 

また従業員数が少ないことに加えて年齢層が高い傾向にある不動産業界は、ITリテラシーが低くDX化が進まない業界とも言われています。例えば愛知県だけでも5500社の宅建業者が存在し、経営者の平均年齢は60代となっていますし、全国的に見てもおそらく50代中盤くらいが平均年齢になっているのではないでしょうか。

 

特に地方の小さな不動産会社では依然としてFAXが使用されているなど、デジタルツールへの移行がなかなか進んでいないのが現状です。しかしいつまでもこの状況を続けるわけにはいかないと思っており、DX化を思うように進められない理由もリソースや時間、経営者自身のITリテラシーなど様々な課題があるので、「いえうるん」がこのような状況の打開策となり、DX化への一助になればと思っております。

 

--ありがとうございます。それでは最後に沖さんの今後の展望についてお聞かせいただけますか?

 

そうですね。現在不動産買取再販市場は約2兆円の市場規模があるとされているのですが、その中で私たちは不動産の売主様、買主様に損をさせない環境を作ることと、不動産業界全体のITリテラシーを向上させてDX化を進めることの2つを大きなミッション、ビジョンとして、不動産売却マッチングサービス「いえうるん」の運営と、不動産業界専門のデジタルマーケティング支援を行なっています。

 

いまでも70代後半や80代の経営者が活躍していますから、世代交代が起きて業界が大きく変わるのはまだまだ20年くらい先になるかと思いますが、現在は愛知県に留まってる活動も全国に展開していきたいと考えていますし、何年先になろうが必ず不動産業界全体の生産効率を上げてやりたい、そう思っています。
 

--本日はどうもありがとうございました。

 

株式会社サプライズコンシェルジュ

https://surprise-concierge.co.jp/


 

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プロフィール

株式会社サプライズコンシェルジュ代表取締役

祐生

「不動産とテクノロジーを通じて、誰もが快適に住み続けられるためのサービスを創り続ける」というミッションと「社会に価値を与えられるまちづくりカンパニーとなる」というビジョンを掲げて活動をし続ける、不動産・住宅業界専門のマーケター。不動産会社や不動産関連メディアを運営する会社の認知獲得や業績向上のためマーケティング支援や空き家再生や地域PRなどのまちづくり支援を行っている。また、「不動産の売主様が損をしない世界を創る」目的で、不動産の売主様に販売利益の一部を還元する業界初の利益還元型の不動産売却・買取マッチングサービス「いえうるん」を運営している。2021年12月からJKASの社外CMOとして、マーケティング支援を行っている。※株式会社サプライズコンシェルジュは、SDGsの「11.住み続けられるまちづくりを」に積極的に取り組んでおります。

会社情報

株式会社サプライズコンシェルジュ