時勢に合わせたサスティナブルな取り組みで新たなファッション軸の形成へ

時勢に合わせたサスティナブルな取り組みで新たなファッション軸の形成へ

株式会社スタイルエージェント 代表取締役 奥谷 隆幸

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2022.04.05

奥谷 隆幸 (おくたに・たかゆき)

株式会社スタイルエージェント 代表取締役

大阪芸術大学在学中に阪神淡路大震災の高齢被災者の健康支援を目的にNPO法人を立ち上げ活動。総合人材サービス会社入社、同取締役就任を経て、株式会社スタイルエージェント設立。販売代行、飲食、福祉介護を主事業に4社のグループ会社を擁し全国で事業展開。

2019年 内閣府が設置する地方創生SDGs官民連携プラットフォームとの連動事業「Project(Re:ll)」立ち上げ。全国約40社とパートナーシップを結び、伝統産業の発展、変革に取り組む。2021年 サスティナブルアイテムの合同展示会【sustainable∞department】を企画開催、35ブランドが参画。同11月、阪神百貨店梅田本店に旗艦店(ReP. )をオープン。約120平米の【ReP GALLERY】では、アンティーク/ヴィンテージ/ポップカルチャーに刺激を受けられるフロアとして展開。2020年より学校法人文化服装学院 特別講師。同志社大学グローバルコミュニケーション学科のフードロスプロジェクトFOOD LINKsの後援も行う。

 

 

資源の保護やリサイクルへの意識が高くなってきている近年。SDGsなどのエコロジーやサスティナビリティを目指す運動に歩調を合わせる企業も少なからず見られるようになりました。中には企業単体としての取り組みだけで終わらず、企業間で連携するケースもしばしば。お互いにアセットやリソースを高め、より効果的かつ本質的な取り組みを目指している所も存在するのが現状です。そんな中サスティナブルなプロジェクトを発足し、伝統文化のアップデートに挑む株式会社スタイルエージェントの代表取締役である奥谷様にお話を聞かせて頂きました。

 

 

コロナ渦の影響で裏方の仕事から、事業やプロジェクトを発足する側に

 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、奥谷さんのこれまでのキャリアや起業のきっかけについてお聞かせください。

 

バンドや小説家を目指していて、大阪の芸術大学に通っていました。しかし、在学中に起こった震災の影響で家業が潰れたり、学費が払えなくなったりと様々なことが重なったことで20代前半までライターとして働いていました。

 

ライターとし勤務した後は、新卒者への説明会や面接を企業さんと一緒に行う仕事に興味を持ち、人材ビジネスの会社に転職しました。ここでは10年程務め、当時少なかった接客販売や介護職の人材派遣・紹介を企画しました。

 

この時に学んだノウハウがきっかけで、2009年に独立・起業しました。

 

 

--起業当初から現在のような事業形態だったのでしょうか?

 

当初は黒子というか下請けや裏方のようなビジネスをしていました。しかし、コロナの影響もあり、既存のビジネスが成り立っていくのかどうかの不安もありましたので、現在のような事業形態になっています。

 

もちろん、元々クリエイティブな事業をしたいという気持ちもありました。

 

 

販売代行業を通してメーカーやブランドのニーズを勝ち取り信頼に繋げる

 

 

--現在、人材派遣事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。

 

事業の主軸になっているのは販売代行事業です。アパレルブランドやコスメブランドなどの全国各地にある店舗を弊社でお預かりする形で運営するというものです。

 

ニッチなサービスな上にコロナ禍による影響を受けてはいますが、それでも現在80〜90店舗くらいの代行を様々なメーカーさんから請け負っています。

 

その他では介護福祉士事業として神戸に介護予防のリハビリセンターを持ったり、飲食事業として3店舗のレストランやジューススタンドの運営、そして通常の人材派遣・紹介をしています。

 

 

--販売代行業をメインに展開しようとした経緯は何だったのでしょうか?

 

アパレルブランドなどにも言えることですが、1つのブランドを立ち上げると東京の百貨店に出すだけではなく、全国各地に店舗展開していこうという風潮があると思います。そういった考えがある中で、1店舗の信頼でも勝ち取っていけば、いずれは全国各地の店舗も担当させて頂けるようになるかなと考え、販売代行業に力を入れました。

 

最終的には一つのブランドやメーカーからどんどんビジネスの幅を拡大していきたいと思っています。

 

また、繋がりを持ったブランドに対するノウハウも弊社の方で蓄積されていきますし、なによりサービスを利用されているクライアントとの相乗効果が期待できると思ったのも販売代行業をメインにしたきっかけと呼べるかもしれません。

 

現状、百貨店のブランドショップなどでは販売代行は比較的利用されています。店舗で買い物をするお客様に関しても店員がどこの所属かといった事をそこまで気にしていません。ですので、そういった意味ではサービスとして参入する下地は整っていたと言えます。

 

 

--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか?

 

メーカーさんの方でスタッフを雇用しなくても良いという点が弊社の強みになるかと思います。例えば、アパレルメーカーさんが全国展開するとなると、当然各地で面接を行わなければなりません。しかし、様々なメーカーさんが広範囲で拠点を持っていた昔と違い、現在は拠点を東京にしか置いていないというケースも少なくないのが現状です。

 

そうした拠点数が少ないメーカーさんの場合、人事機能が地方各地までサポートできていなかったりするので、弊社サービスが有効活用しやすいかと思います。

 

また、現在は地方展開に限らずメーカーさんによる店舗の出店から退店までのスパンがかなり短くなっている関係で、店舗展開時に生じる雇用にはリスクを伴うのが現状です。このようなリスク対策にも弊社のサービスは役立ちます。

 

 

--メーカーさんがサービスを利用する上でメリットに感じやすそうな部分を教えてください。

 

接客業ですので、当然ですが売り上げを伸ばすための工夫をしっかりと行っているのも弊社の特徴です。人材への徹底した研修はもちろん、アパレル経験者を管理職に置いて全国各エリア毎のアイテムに関する企画までサポートできるようにしています。

 

同じブランドでもエリアによっては売れるアイテムが異なったりするので、そういった部分まで手助けできるのはメーカーさんとってメリットに感じやすい部分であると思います。

 

 

--販売代行業というジャンルにおいて競合他社さんはどの程度いらっしゃるんでしょうか?

 

目立ってはいませんでしたが、コロナ渦になる前は業界内で1〜2位くらいの立ち位置だっとと自負しています。コロナ渦後になり、派遣会社さんや代行会社さん達が吸収・合併を経てまとまりだしてきたので、競合するような大きなサービス展開を行う所も増えてきました。

 

ただ、こうした流れは一般の人にもサービスが知られるきっかけになると思いますので、業界的にはプラス要素だと思っています。

 

 

持続可能な生活様式を取り入れたファッション軸で新規プラットフォームの創造を目指す

 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。

 

日本文化による持続可能な生活様式を基盤として、各地域の企業さん達と共にファッションを軸にしたプラットフォームを作りあげたいと考えています。地域毎の魅力を表現した商品製作をコラボしたり、地域の経済発達や技術向上に合わせて新たな価値観を提案できたら嬉しく思います。

 

ちなみに弊社で立ち上げている「Project(Re:II)」は、そうした分野を取り入れたプロジェクトになっています。これは「物を捨てない」「芸術品や工芸品を持続可能な存在として守る」といったサスティナブルな志向のもと、立ち上げた企画です。

 

サスティナブルとはどういう物なのか、スタンスではなくスタイルと考えた上でどう表現するのかを模索しながら、これまでに1年間半程度取り組んで参りました。現在は企業さんやアーティストさんが参加してくれるようになり、様々な展開が行えそうな所まで歩みを進める事ができています。

 

あとは今までやってきたことの規模をより拡大していきたいと思っています。自社アパレルブランドに関しても現状1つ立ち上げているのですが、11月11日にもう1つのブランドもローンチさせました。

 

 

--サスティナブルな考え方は様々な分野におけるロスや資源の浪費問題に活かせそうですね。

 

そうですね。食の分野にしてもフードロスが大きな課題になっていますので、ロスを出さないような流れを構築していきたいです。同分野での取り組みとしては農薬利用による環境や身体への影響を気にする人が増えてきている関係から、オーガニック系のジューススタンド会社と組んだり、畑を土の段階から見直してみたりという事をしています。

 

 

--貴社の方でタイアップしたい企業、分野はございますでしょうか?

 

今はコロナ渦というのもあり、インターネット上でほとんどの物事が完結することが明確にされた時代だと思います。我が国自体がそうした流れを推奨している部分もあるので、ある意味時代の変わり目とも言えるかもしれません。

 

このような新時代をどのようにして楽しんでいくのか、ビジョンを持って模索できる方とコラボしてみたいです。企業というよりはyoutuberやミュージシャンといった発信力のある個人と組めたら良いなと思っています。

 

 

--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

 

サスティナブルやSDGsの取り組みにおける重要性にそろそろ皆さんも気づき始める頃だと思います。こうした物は取り組むにしても、ビジネスに結び付けないような雰囲気が前提にある現状だと思いますので、「もったいない精神」レベルでお付き合いできる企業がいましたら有難いです。

 

特に上下の関係ではなく、並列の関係で一緒に楽しんでビジネスを行える方がいましたら是非お話をさせて頂ければと思います。

 


--本日はどうもありがとうございました。

 

 

株式会社スタイルエージェント

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