西 宏明 (にし・ひろあき)
株式会社Sherpa consulting Parties 代表取締役
大学卒業後、2015年株式会社ベイカレント・コンサルティングに入社し、同社新卒最短タイ記録でマネージャーに昇格する。2019年コンサルティング事業部を作るという名目で人材系ベンチャー企業に入社する。取締役に就任後、様々な業務に携わる中で独立を意識し始める。2020年12月株式会社Sherpa consulting Partiesを設立し、代表取締役に就任する。
社会状況を変える力を持つリーダーの「〇〇がしたい!」という思いを世の中に広めたいという想いから設立された株式会社Sherpa consulting Parties。社会のムードをもっと面白く、もっと良い世界にしたいというリーダーを、コンサルという武器を持って支えることを理念においています。その事業内容は一体どのようなものなのでしょうか。今回は株式会社Sherpa consulting Partiesの代表取締役を務める西様にお話を伺いました。
大学時代の経営者との出会いがきっかけで起業を志す
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、西さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
新卒でベイカレントコンサルティングという、日系大手コンサルティングファームに就職しました。そこで4年間、業務改善や組織構築のコンサルティングをメインで業務に携わってきました。
元々起業することは決めており、ベイカレントでの目標であったマネージャー昇格と年収面の目標を5年目で達成をしました。そこで次のキャリアに挑戦しようということで、人材系のベンチャーに転職しました。
転職した会社は、人材斡旋やキャリアコンサルティングをやっている会社でした。大学の先輩がやっている会社に執行役員として入社し、コンサルティング事業を作るというミッションを得ました。
入社後1ヶ月ぐらいで取締役に上がり、1年半くらいコンサルティング事業をやりながら、内部管理も整えながら、採用もしながら、と様々な業務を担当しました。
しかし、私は途中からこの会社を大きくすることに何の意味があるんだろうと思い始めたのです。明確な理念があまりない会社だと感じ、居続けても時間を浪費するだけだと考えました。それなら理念を最初から自分で作りたいと考えるようになったのが、去年の8月くらいでした。
そこから社長と引継ぎや交渉をして4ヶ月くらいかけて辞め、自分の会社を設立したのが2022年の1月からでした。
--起業を志すようになったのはいつ頃からだったのでしょうか?
大学3年生ぐらいの時期からです。元々医者になりたかったため、中学生から医学部進学率の高い高校を選び、高校のときも必死に勉強をし、1浪までしましたが、最終的に落ちてしまいました。
そこで、医者は諦め、合格通知をいただいた中大法学部で法律を学びました。法律学科に入ったら弁護士や外交官のようなかっこいい職業に惹かれるのが普通だと思いますが、私にはあまり魅力的に映りませんでした。
迷走する中で、惹きつけられたのが『起業し、経営者になる』ということでした。
大学は八王子市にあったのですが、八王子周辺には中小企業がたくさんあります。社長のカバン持ちを大学1年生から4年生までやっていたのですが、カバン持ちの中で、中小企業経営者の方と話す機会が多く、その中で「経営者って素敵だな」と思うようになりました。
全責任を自分で背負い、行動している経営者はかっこいいと思い、経営者を支援できるような会社を作りたいと考えました。できることなら早めに起業したいという気持ちがあったため、30歳という節目を目標にしました。
リスクに囚われず、お客様の目的実現に向けた人材育成を追求していく
--現在コンサルティング事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
組織構築/業務改善コンサルティングを得意とする会社です。支援の特徴は、『結果コミット型』、『次世代育成』です。
コンサルティングは、あくまで過程であると考えており、リーダー育成、リーダー発掘を目的に置いています。
一緒にプロジェクトに入った方が自走できるような仕組みを作り、我々が主体的にOJTなどの教育や育成をしています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
コンサルティングサービスは戦略、業務、ITの3領域にカテゴライズされるのですが、その中でも業務コンサルティングと呼ばれる、戦略立案や業務改善、組織構築などのコンサルティングに強みがあります。
ターゲットとなる業界や職種は決めておらず、現在のお客様は、メーカーやエンタメ業界、システムベンダーなど多岐にわたります。売上規模も超大手から5億円の企業までとバラバラです。超大手起業の中には東証一部上場企業の中でも、トップ100社に入る程の時価総額の会社もあります。
独自性としては、コンサルティングはゴールではなく、あくまで過程に過ぎないと考えていることです。弊社はリーダー育成やリーダー発掘を行い、お客様の業績向上、組織運営を実現するところまで動くことを我々のミッションとしています。コンサルティングは当然やりますが、デリバリーの中でお客様の人材強化を行うことで、事業拡大や効率的な組織運営を実現することが、我々の目指すことです。
--貴社のコンサルタントの方は、大手コンサルファーム出身のメンバーが多いのでしょうか。
様々です。コンサルファーム出身の人がいたり、前職からずっと一緒にいる人もいます。BtoBマーケティングをやってた人もいます。
コンサルティングファーム出身のコンサルタントのみとしない理由は、思考がコンサルティングの枠にはまっており、Sherpaのビジョン・ミッション・バリューを体現していただくのが難しいからです。「コンサルティング業界は変革せねばならない」という気持ちに共感できる方でしたら、コンサルティングファーム出身者でも大歓迎です。
コンサルタントはリスク志向になります。リアリティを追求し、分からないことや難しいものには手を出しません。しかし、我々は人材育成にコミットしており、育成対象の方次第で難易度が変化し、成果を測りにくい仕事です。そのため、リアリティを追求しているコンサルタントには、極めて手の出しにくいテーマだと思います。
今は新型コロナの影響で自粛していますが、コロナ禍の前には、業務時間外に育成対象の方と飲みに行き、『仕事へのスタンスはどうとるべきか』、『上司が言いたかったことは、こういうことだったのではないか』というような、同じ会社の先輩のような立ち位置で話すことも多くありました。
人材育成で飲みニケーションは古いと言われたりもしますが、仕事上のコミュニケーションだけで、その人のスタンスが分かる人は万に一人もいないと思います。リモートだけで業務ができると仰る方もいますが、対面でしか得られない肌感覚というか、その人となりを把握するという感覚が薄れているからこそ成り立ってるだけなのでは、と思います。その影響がどこに出てくるかというと、離職率や3年後の成長率に繋がってくると考えています。
--その他、独自の取り組みなどあればお伺いできますか。
当社のコンサルタントには、独立を視野に入れて動いて欲しいと伝えています。コンサルファームやベンチャーでは珍しい制度だと思いますが、当社には独立支援金というものがあります。給与とは別に、会社で積み立てているもので、簡単に言うと退職金です。
もちろん、独立する際は当社の子会社として起業して欲しいですし、家族よりも長い時間を一緒に過ごしているので、離れて欲しくないという気持ちはあります。しかし、独立を視野にできない人が人材育成にコミットしたり、リーダーの視点で考えることは難しいと考えています。コンサルタントとして、リーダーとして、両方の視点でプロジェクトを見れるように、起業というキャリア支援も会社の制度としています。
--どのくらいの費用が積み立てられるのでしょうか。
5年間で200万円程になります。ちょうど株式会社を作り、資本金を入れて最初の3ヶ月位会社を運営できるくらいの金額を想定しています。起業する場合、なるべく早い方がいいと考えていますが、20代は遊びも経験した方が良いため、30歳を前に起業をすると考えると、なかなか貯金も貯まっていないのが実情だと思います。そのため、会社の方で独立支援金を用意しておくという制度をとっています。
今後の事業展望について
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
Sherpa consulting Partiesは幹(みき)だと思っています。
今は人材が都市偏重になっていると考えます。地方企業はリーダー人材の枯渇が見られ、リーダー人材が枯渇するからこそポテンシャルのある人が育たず、更にリーダーが枯渇するという悪循環が生まれていると感じています。
そのため、都市部で直接支援できるところは本社で支援しつつ、各地方で(例えばシェルパ愛知やシェルパ仙台のように)、地場に根ざした支社・子会社を作り、そこで仙台や愛知のリーダー育成を行いたいと考えています。
地方のリーダー育成は、地方企業のみのバリューアップに留まりません。都心部などの本社レベルの部署では、層の厚さからパフォーマンスを発揮しきれていない方もいると思います。そういう人と、地方で成長した人の再配置を促進することで、日本経済全体のバリューアップができるのではないかと思ってます。
今までのような効率化思考だと、売上のトップラインは上がりません。コストを下げることで利益は上がりますが、そろそろ限界だと思っています。コスト圧縮の先には自動化しかなく、雇用が失われ経済が縮小します。自動化により、商品サービス価値を作ったとしても買える人間が減っていく、という悪循環に入ってしまいます。
そうではなく、人が創出できる価値を上げていくことで雇用を創出し、給与を上げたいと考えております。私は、リーダーが組織のパフォーマンスの大半を決めると考えているため、地方でリーダーを育て、そのリーダーが原動力となってパフォーマンスや組織の雇用力を上げ、その結果、消費者が買える価値量が増えることで、経済は良い方向に回ると思っています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
コンサルティング会社に対して、何をやってくれるのか疑問を持ってる方が多いと思います。
実際に発注になるかどうかわからない案件でも、まずは夢や目標、やりたいことを聞かせて欲しいです。外部から支援することで、解決できることは意外とあります。壁打ち相手として、気軽にご相談いただければと思います。
--本日はどうもありがとうございました。
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