「障がい者」という枠にはめない。老若男女すべての人に活躍する場がある社会を創造したい。

「障がい者」という枠にはめない。老若男女すべての人に活躍する場がある社会を創造したい。

セルフ・エー株式会社 代表取締役 大島 公一

カテゴリ: その他、従業員数:

2021.12.14

大島 公一(おおしま・こういち)

セルフ・エー株式会社 代表取締役

石川県生まれ。20歳のときに起業し、様々な事業を経験。2009年に障がい者を雇用したことがきっかけで2010年に本格的に障がい者支援事業をスタート。就労継続支援A型事業所の開業・運営を支援するセルフ・エー株式会社を設立し、2012年に代表取締役に就任。現在、全国に福祉的就労場所を71施設展開している。

少子高齢化の加速によって働き手の不足や社会保険料の値上がり、働き方改革や労働者の精神疾患、地方の過疎化など様々な課題がある現代社会。これらの社会問題を解決するために、障がい者就労支援を事業として行っているのがセルフ・エー株式会社です。福祉事業からは想像がつかない異色の経歴を持つ大島代表取締役に、企業が障がい者を雇用する必要性や、これからの福祉のあり方についてお話をお伺いしました。



多種多様な仕事をしてきた「経験」と「障がい者」の出会い


 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、大島さんのこれまでのキャリアや代表に就任されたきっかけをお聞かせください。

 

キャリアのスタートは13歳の時に始めた物販です。当時流行していたシルバーアクセサリー、スニーカー、その他アパレル商品を安く購入して高く売る、ということをしていました。さらに10代の後半からはパチプロを仕事にしていました。パチプロは趣味とは違い、パチンコで勝つための勉強をし、365日パチンコ店へ足を運びます。そのため、20歳になる前から同年代に比べると遥かに多い収入を得ていました。


しかし、パチプロでは将来性がないと考えはじめ、20歳で個人事業主として起業。それ以来、ジャンルを問わず様々な業種の仕事を経験し、複数の会社の役員に就任してきました。

 

2010年に本格的に障がい者支援事業をスタートしたのは、2009年に障がい者を雇用したことがきっかけです。就労継続支援A型事業所の開業・運営を支援するセルフ・エー株式会社を設立し、2012年に代表取締役に就任しました。それ以降、日々、障がい者が活躍できる社会の創造にまい進しています。



--学生時代からご自身でお金を稼ぐという経験をされていますが、元々起業したいというお考えがあったのでしょうか。

 

いいえ、起業したいという考えはありませんでした。13歳で始めた物販も、自分が好きなものを安く買い集め高く売っていたというだけです。しかし、その結果として、お金とコレクション、ノウハウが集まりましたね。


20歳頃に仕事は自分で創り出せばいいと考え起業をしましたが、働いた分のお金をもらうという考えが頭になく、初めは騙されたり無償で働くことも多々ありました。今振り返ると、お金に対して「稼ぐことは悪」という価値観があり、働いた対価として報酬を得るという当たり前のことができなかったのだと思います。


パチプロをしていた頃は努力すれば結果が出ると思っていましたが、ビジネスでの努力の仕方がわからず紆余曲折を経験しました。それでも過去の経験は無駄にはならず、現在では事業に活かせています。


 

--障がい者支援事業に参画された理由や背景を教えてください。


数え切れないほど行ってきた事業の一つに、障がい者の方が入社することになった事がきっかけです。実際に障がい者を雇ったことで、障がい者と健常者が一緒に働くことに伴う課題を目の当たりにしました。例えば、障がい者の指導をすると、指導する人の本来の仕事が進まなくなるということや、逆に自身の仕事を優先すると障がい者をまとめることができなくなるといったことです。

そのような問題に直面した時に、障がい者の就労支援事業があることを知りました。ちょうど法律の改正があり、障がい者就労支援事業が民間に開放されたタイミングで、国からも訓練費が受け取れるようになったのです。


そこで、その訓練費を活用することで障がい者を支援する専門の事業ができるのでは、と考えました。専門の事業にすれば障がい者を多く支援できるのと同時に、障がい者を指導する人の負担も減らすことができ、双方にとっての問題解決になります。


一般的には仕事があって、そのうえに福祉があるイメージですが、福祉がベースでそのうえに仕事が成り立ってもいいのではないかと気付いたのです。また、障がい者就労支援事業が民間に開放されたばかりでしたので、事業のスタートを切るにはいいタイミングでもありました。


 

現代の社会問題を解決し、人としての成長に繋げる役割


 

--貴社の主軸事業について、あらためて詳しく教えていただけますか。

現在は訪問看護やグループホームも含めた障がい者への全般的なサービス、事業所のM&A、事業所で利用者さんに行ってもらう仕事のために農業や通販などの事業展開を行っています。

昨今の新型コロナウイルスの影響で今までの仕事の依頼がなくなってしまうこともありますし、弊社は行政から認可をいただいているため売上も重要視しなければいけません。そのため、幅広く業務を展開しております。


 

--企業が障がい者を採用する意味や必要性は何だとお考えでしょうか。


人と人の成長、ひいては企業としての成長に繋がると考えています。また、障がい者というカテゴリーは関係なく、人として成長できる場を与えるのが企業の役割ではないでしょうか。


私自身は海外で事業をした経験があり、国籍や性別、年齢、障害も関係なく、真摯に働く人を多く見てきました。立場が違う人でも、相手を「知ろう」という気持ちがあればコミュニケーションを取れるのです。


人には必ず何かの役割があります。障がい者というカテゴリーとしてひと括りにせず、人と人が助け合うことで人間性を高めていくことができると考えています。


 

--障害者雇用が人の成長を促すだけでなく、社会問題の解決にもつながるのですね。事業を通して実現したい世界観や、大切にしていることは何でしょうか。


今後も就労支援の事業所を増やしネットワークを広げることで、好きなところで好きなように、楽しみながら働けるという環境を作っていきたいと考えています。利用者はもちろん、スタッフも含め、例えば沖縄や北海道のリゾートで仕事をする、ということも考えています。何か目標があって仕事を頑張っている人だけではないので、まずは誰もが楽しく働ける仕組みや環境づくりを行い、社会課題を解決することが目標です。

 

また、大切にしているのはお金の使い方を間違えないということです。会社として利益を得ながらも、様々なところへ寄付をしたりスポンサーをしたりしています。利益を自分たちのところだけで独占してしまうと周りからも応援してもらえなくなりますので、得た利益は分け合うという精神を大事にしています。


 

福祉事業を運営する「企業」である強みを活かす


 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか?


今後は福祉のデジタル化を図ることで、仕事の効率化を行っていきたいと考えています。私達の仕事は人と人が交わる仕事なので、時間を大切にできる環境が重要です。「無駄」には「必要な無駄」と「無駄な無駄」があると考えています。デジタル化は「必要な無駄」を生み出せる余裕を作り出すことが目的です。


また、私たちが福祉分野の事業を運営しながら企業である特性を活かし、これまで培ってきたノウハウを同業他社にもコンサルティングの形で提供することで、独自の強みとしていきたいです。



--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?


障がい者雇用を検討している企業様で、まずは障がい者の可能性を知りたいという段階の企業様や、ゆくゆくは法定雇用率のクリアを見越して、障がい者の可能性を見つけられる事業の展開を検討したい企業様は、一度ご相談ください。状況やご要望に応じて様々なパターンの働き方をご提案いたします。



--本日はどうもありがとうございました。



セルフ・エー株式会社

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