石津 知転(いしづ・ともひろ)
株式会社プライサー 代表取締役
高知県出身。学生の頃からITに興味を持ち、卒業後は愛媛県内で株式会社NTTドコモの代理店業をする企業にプログラマー兼システムエンジニア(SE)として就職。その後、タウン情報誌の出版社でもSEとしてシステム開発に携わる。2009年に株式会社プライサーを設立し、代表取締役に就任。
リモートワークが広がり、地方に拠点を置く会社にとっての地理的なハンディは薄まりつつあります。愛媛県松山市に拠点を置きつつも、実績を見た東京のクライアントからの指名依頼が絶えず、さらには海外進出を進めている株式会社プライサー代表取締役の石津様にお話を伺いました。
学生時代から興味があったITの世界へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、石津さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
学生の頃からITに興味を持ち、ITを仕事にしたいと考えていました。そこで、一般企業にプログラマー兼システムエンジニアとして就職しました。1社目は株式会社NTTドコモの代理店、2社目はタウン情報誌の出版社です。
私は高知県出身ですが、就職したのはどちらも愛媛県内の企業で、システム開発に携わりました。2社ともそれぞれ2年ずつ勤務したのち、2009年に株式会社プライサーの起業に至りました。
地方に拠点を置くが、実績をアピールすることで営業をせずに全国から仕事を獲得
--貴社の主力事業について、改めてご説明をお願いいたします。
弊社の事業は以下の4つです。
- アプリ開発:スマートフォンやWebアプリの制作など
- コンサルティング:アクセス解析やSNSの運用サポートなど
- 広告企画・制作:店頭POPやチラシなど
- Webサイト制作:企画やコンテンツ設計、デザインなど
主力は、スマートフォンアプリを含むシステム開発です。クライアントの業種は幅広く、アパレルや教育関連企業、行政などの実績があります。ITが使える企業であれば、どの業界も顧客になる可能性がありますね。収益という面で見ると、売上が最も大きいのはDXに関するシステム開発です。
また、コンサルティング事業でもDXへ支援をしています。クライアントと現在の状況や目標のすり合わせをし、DXを実現するために何が必要かをアドバイスするコンサルティング案件がほとんどを占めていますね。
弊社は愛媛県松山市にありますが、実はシステムやコンサルティングのクライアントは東京が中心です。一方、広告企画・制作事業は地元のクライアントが多く、イベント開催やプロモーション企画などを幅広く手掛けています。
行政からの案件が多いのも弊社の特徴です。たとえば、愛媛県からの依頼で愛媛県産の魚をブランディングするイベントを開催したことがあります。ショッピングモールやスーパーなどで魚釣りをしていただき、持ち帰って料理していただくイベントを開催しました。
コロナ禍で人を集めるのは難しい状況ではありますが、県内の「えひめこどもの城」でモバイルアプリを使ったスタンプラリーの企画なども実施した実績もあります。最近は愛媛県警からアプリ制作を受注しました。不審者情報や詐欺電話の事例など、安心・安全に関する情報を県民に周知させるためのアプリの制作を進めています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
弊社の独自性や強みは、ひたすら実績を積み上げてきたことにあると思います。弊社には営業部署がないのですが、HPに載せている実績を見た企業から指名でご依頼をいただくため、営業の必要がありません。たとえば、オリジナル歩数計アプリの実績をHPで紹介しているのですが、毎月のように似たようなアプリを作りたいという問い合わせをいただきます。
Web関連の事業をしている以上、自分たちがWebで稼がないでどうするのかという気持ちがありますので、情報発信はしっかりと力をいれています。その結果、東京の誰もが知っているような大手企業からも直接問い合わせをいただき、受注につながることも珍しくありません。
正直に言うと、営業をするとこれ以上は仕事を回しきれなくなる状況です。しかし、外注は自分たちのノウハウにならないため、考えていません。ただ案件を回すだけの仕事になってしまうのは避けたいという気持ちがあるためです。
--貴社の事業に対する思いを聞かせていただけますでしょうか。
クライアントにフルコミットしたいという思いがあります。開発案件であっても、クライアントは一業種一社にこだわっていますね。ある企業で得たノウハウを、競合する他企業との案件に活かすことに抵抗があるためです。もちろん、完全に守るのは難しいこともありますが、できる限り一業種一社とできるように社員にも伝えていますね。
また、行政からの案件にも積極的に取り組んでいます。私自身の信条として、払った税金を有効活用したいという考えがあるためです。行政関連の事業で予算が効率良く使われなかったという報道をご覧になったことがある方も多いでしょう。自分たちが事業に関係することで、そういった事態を防ぎたいという思いから、行政からの依頼は積極的に受注しています。
いずれは海外で稼げる会社に
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
将来的にはインターナショナルな会社を目指しています。日本的なシステムは必ずガラパゴス化すると考えていますので、グローバルで稼げる企業になりたいですね。弊社内では、いつまでに海外の拠点を作るかといった中長期的な計画はすでに決まっています。コロナ禍で少し計画は遅れている面もありますが、着実に進めていく考えです。
海外にはすでに1拠点がありますが、そこは自分たちのスキルやノウハウをアウトソーシングするための拠点です。これから2つ目の拠点として、オーストラリアに営業の拠点を立ち上げます。
弊社は日本では営業をしていませんが、海外では営業が必要になるでしょう。すでに、事業の責任者などのコアメンバーは採用しており、残りのスタッフは現地採用の予定です。
実は、人件費ベースで見て日本と海外には大きな格差があります。オーストラリアの全業種の平均月収は約50万円。IT人材になると月収200万円です。ということは、案件の価格も高いわけです。そこで、日本で得た知見やサービス、プロダクトを使って営業をすることで、日本より高単価の案件を受注し、外貨獲得をし、日本・キルギスへの貢献をしたいと考えています。
--貴社が課題として感じていることがあれば教えてください。
目下の課題は、社内構造の強化ですね。どのようなときにも正しい判断をして、自走できる組織を作りたいと考えています。そのために、業務や人との関係性、報酬制度・評価制度などの見える化をここ2年ほどかけて進めています。まず見える化することで、問題を一つひとつつぶしていこうと考え、さまざまなツールを試しているところです。
少し前まではコロナ禍という外的な課題の影響が大きかったのですが、それが少し落ち着いた今の時点では社内に関する課題を解決することが優先だと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
経営者として高みを目指すうえでさまざまな課題に直面することもあると思いますが、ともにがんばりましょう。
--本日はどうもありがとうございました。
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