佐藤 悠
ジャパンプロダクション株式会社 代表取締役
2000年 芸能プロダクション、モデル事務所、レースクイーン事務所等でダンサーブッキングやマネージメント業務・スカウト業務を経験。その後、超新星・少女時代などの韓国系アーティストを手掛けている楽曲プロデューサー等と、キッズ育成やキッズプロデュースなどにも携わる。音楽・芸能に関する人材のマネージメント活動、芸能プロダクションにて、アーティスト、タレント、モデルのマネージメント、プロデュースを行い、現在はテレビ番組制作・映画制作の映像撮影、映像編集兼芸能プロダクションのジャパンプロダクション株式会社の代表取締役を務める。
新型コロナウイルスの感染拡大によって非常に大きな影響を受けたのがエンターテイメント業界です。生活様式が変化する中、これまでは「仕事をもらう」ことが中心だったビジネススタイルから脱却し、「仕事を作る」へのシフトを目指すジャパンプロダクション株式会社の佐藤悠代表取締役にお話を伺いました。
ダンサーという表舞台を離れ、演者をサポートする立場に
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、佐藤さんのご経歴や起業されたきっかけをお聞かせください。
現在は裏方という立場ですが、私はもともとは表に出る側の演者でした。具体的には16歳からダンサーをやっていて、有名アーティストの元で基礎を学びました。2000年ごろには、メンバーそれぞれのソロパートを売りとしたダンスグループを結成し、活動していました。その当時、海外の有名アーティストが来日したときに行ったライブではオープニングアクトを務めていたこともありました。
一見、順風満帆に聞こえるかもしれませんが、当時はダンス人気も現在のような盛り上がりを見せていたわけではありませんでした。有名ダンサーでも食えない人がほとんどで、ダンサーとして生活できるのはごく一握りの人だけでした。
私も将来について考えていたときに、同じエンターテインメント業界にいた先輩から、今までのように表に出る演者ではなく、これからは裏方に回ってプロデュースといった仕事をやったほうが、収入を安定させる意味でも、今までの経験を生かすという意味でもよい仕事ができるのではないかというアドバイスを頂いたのです。そこから、モデルやミュージシャンなどが所属する事務所でマネージメントやプロデュースを担当するようになりました。
長年培ってきた人脈を駆使し、業界の最前線を走っていく
--現在の事業展開について、改めてご説明をお願い致します。
主な事業は、テレビ番組制作や映画制作で撮影から編集までの制作業務、芸能プロダクションとしてタレントやミュージシャン、文化人のマネージメントと育成を行っています。また、映像撮影にはタレントとセット売りをする事によって、企業側の負担を減らす事も行っています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
今まで培ってきた人脈ですね。エンターテイメントの業界というのは幅広いように見えるかもしれませんが、実際は非常に狭い業界です。特に私の場合は、この業界で長く働いているし、演者だったという経験もあります。そういった部分で、親しくお付き合いさせていただいた方も多いので、現在のように「人と人をつなげることができる」といった強みがあります。
もう一つ挙げるならば情報ですね。これも人脈によるものですが、常に新しい情報を他社に先駆けて入手できることと、それに対して即座に手を打てることというのは大きな強みとなっています。
業務的なことでいえば、番組制作や映画制作など「映像制作をメインとしている」というのが弊社の独自性と言えます。映像制作を行う事により、自社タレントをそのまま起用してタレントの露出を増やす事やPR戦略など、制作会社の強みを最大限に生かす事でタレントの出口づくりやタレントを起用する事により、制作頂いた企業様のPRも同時に行い、お互いのメリットを十分に生かしつつ、制作額の負担も減らす取り組みも行っております。その点が弊社の大きな特徴になっています。
「仕事をもらう」から「仕事を作る」へ
--現在の課題、また中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
まず、エンターテインメント業界の状況を変えたいという思いがあります。有名なタレントさんであれば選り取り見取りで仕事がありますが、その下にいる若い人や、デビュー間もない人は仕事がありません。しかも、そういった人がほとんどです。この人たちは今後、芸能界やエンターテイメントをけん引する存在になるべきなのに、アルバイトをしながら頑張っていくしかないというのが実情です。しかも、コロナ禍でさらに厳しい状況になってしまった。
つまり、仕事自体も減っていて、オーディションがあってもなかなか通らないという現実があります。それをなんとかしなければ、エンターテイメント業界の未来が失われてしまうと感じています。この状況を変えるためには、これまでは仕事はもらうものという業界の常識を、仕事は作るものであるという形にシフトするしかないと思っています。
一言でいえば「制作会社兼タレント事務所として、企業を直接マッチングさせる代理店機能を持った映像制作会社の確立」ということになるでしょうか。
よくSNSの時代ということで、インフルエンサーなどは、個人でも活動できるからマネージメント事務所やプロダクションは不要だということをいう人もいますが、実際にはそんなことはありません。
テレビやCMによっては、会社がなければ契約できないというケースもあります。もし個人事業主であっても、実際にはなかなか難しいため、契約を敬遠する企業も多いです。特に映画では、エキストラは別としてメインキャストともなれば様々な契約書も発生するので、事務所やプロダクションに所属していなければなかなか活躍するのが難しいのが現状です。
また、プロダクションやマネージメント事務所の場合、責任をもって間に入っているので、契約書や折衝なども行ってタレントさんたちの負担を減らすことにもつながります。企業もそれを求めている部分があるので、今後はプロダクションやマネージメント事務所の必要性はさらに増していくのかもしれませんね。
具体的な目標でいえば、弊社は映像制作にも関わっているのですが、TV番組、企業CM、映画、ミュージックビデオの撮影や編集の業務を増やしていきたいと考えています。アシスタントディレクター、ディレクターを増やし、仕事の幅も広げていきたいと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
そうですね。私個人がモットーとしているのは、ビジネスで大事なのはお金も大切ですが、愛と感謝と情熱で熱意をもって取り組む事だと考えています。あとは、人を大事にするということです。
コロナ禍によって、生活様式が変わってしまい、人と会うことも難しくなりました。打合せなども、Zoomが中心。私たちの業界でいえば、面談や、キャスティング会社への売込みというのもほとんどなくなってしまいました。
もちろんほとんどのことはZoomなどでも代用できるし、移動時間も掛からないという点では便利なのですが、それでもビジネスというのは対人間なので、会わないとわからないことがあるとも思います。それは今後も変わらないので、同じように考えている経営者の方々とたくさん出会う機会があればと思っています。
--ありがとうございました。
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