坪内 啓晃(つぼうち・ひろあき)
ポイントバンク株式会社 代表取締役
大阪府出身。長野県内の商業高校を卒業後、自営業を営む父の仕事を手伝う。その後出身地である大阪に戻り、ショットバー、探偵、サラ金、飲食店のスタッフ、ナイトワーク向けの求人広告会社に勤務。35歳から雇われ社長として人材派遣会社の経営を開始。パチンコ店への人材派遣やナイトワーク向けの人材紹介に携わる。2018年に退任し、2019年にポイントバンク株式会社を設立。
企業が求める人材と求職者のマッチングを行う人材紹介事業。多数の人材紹介企業がある中で、ナイトワークからの卒業を考える求職者に特化した人材紹介を行っている、ポイントバンク株式会社代表取締役の坪内様にお話を伺いました。
ナイトワークの人材紹介事業から、夜卒専門の人材紹介へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、坪内さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
長野県内の商業高校を卒業後、自営業を営む父の仕事を手伝っていましたが、出身地である大阪に戻り、ショットバー、探偵、サラ金、飲食店のスタッフ、ナイトワーク向けの求人広告会社などに勤めました。
さまざまな企業に転職しましたが、35歳のときに雇われ社長として人材派遣会社の経営をはじめます。創業当時は関西のパチンコ店へホールスタッフの人材派遣をしていました。1~2年ほどで業績も順調に伸び、スタッフが最大120名ほどで稼働していたこともありましたね。
その後、パチンコ店への人材派遣のほかにナイトワークの人材紹介にも着手しました。関西のスナックなどにスポットで人材紹介を行い、人材の登録数は約3,000名にのぼりました。人材派遣は利益率が低く、単発の人材紹介のほうが利益が得られることから、株主からは「人材紹介に注力したらどうか」という提案をいただいたこともありました。
しかし、夜職に就いても必ず辞めるときがきますよね。ナイトワーク職へ紹介した方々が、いずれナイトワークを卒業した後に就職する先がないことに違和感を感じました。そこで、2018年の年末に社長を退任し、2019年2月にポイントバンク株式会社を設立します。
--起業のきっかけはナイトワークを卒業される方の将来を考えたうえでのことで、それが現在の事業につながっているのですね。
そうですね。ナイトワーク向けの就職支援があるなら、ナイトワークを卒業する方(夜卒)のキャリアを支援する会社があっても良いのではないかと考えました。その想いが、リスタートジョブという夜卒からお昼への転職をサポートするサービスに繋がっています。また、自分自身の経歴からやり直す場所を作りたいという想いもありましたね。
創立当初はWebサイトの運営や管理を行っていましたが、2020年2月に有料職業紹介所の許可をとり、ナイトワークで働く方を対象にした「リスタートジョブ」、住み込みに特化した「住むワーク」のサービスを開始しました。サービスの開始がコロナ禍と重なったので、業界を問わず求人が少なく開拓が大変でしたね。人材ビジネス協会に相談するなどしてスタートしました。
愛嬌と素直さを持った企業の戦力になる人材を送り出す
--メイン事業である「リスタートジョブ」について、ご説明をお願いします。
「リスタートジョブ」はナイトワークで働く方を対象としたサービスで、ナイトワークから昼職への転職を支援します。「リスタートジョブ」を利用する求職者は、当初、20代後半から30代前後の水商売の方が多かったです。しかし最近では、20代前半から20代半ばで風俗業を行っている方の利用が増えています。
弊社では、キャリアコンサルタントと提携してキャリアチェンジのサポートを行っています。転職希望者のキャリアの方向性を固めるため、無料で3回の転職相談に応じます。利益先行主義というよりは時間をかけて求職者のためになる支援を行うことを重要視しており、転職先を紹介することはもちろん、ナイトワークの辞め方まで相談に応じるケースもあります。
求職者への接し方で弊社が大切にしていることは、厳しさと優しさのバランスです。間違っていることは厳しく諭しますが、一方で何かあっても3回までは我慢する優しさを大切にしています。また、求職中の方々にはなるべく素直な気持ちを持ってもらいたいと考えています。
--どのような企業に転職される方が多いのでしょうか?
テレアポ営業や訪問営業などの法人営業を行っている企業で、ベンチャー企業が多いです。20代前半の求職者が多いので、第2新卒枠で採用していただけます。弊社が紹介する人材の多くは、愛嬌があって素直な方々です。愛嬌があればお客さまに愛され、法人営業の戦力となれます。また、素直な気持ちは企業の風土に柔軟に対応する力となります。
営業というと最初は求職者に敬遠されますが、マニュアル通りに行えばできるということや、土日休みの企業が多いことを伝えると、意外と受け入れられやすいです。「親に言える仕事をしたい」という求職者の想いにもマッチするようですね。
--どのように企業の開拓を行っているのですか?
紹介が多いです。また、広告を使って企業へPRを行っています。ナイトワークは悪い印象がないわけではないので、電車のつり革広告などを通して広告するようにしています。大阪府が運営する求職者支援にも事業者登録をしました。
ナイトワーク経験者を採用したいという企業は一定数あり、その中でどのような可能性を見つけられるということは常に考えています。エージェントという立場は企業の本音が聞くことができるので、企業に寄り添いながら新しく夜卒者を採用してくれる企業を探していきたいです。
求職者を紹介するエリアは大阪と東京が中心ですが、今後、沖縄や北海道も開拓していきたいと考えています。これらの地域には弊社と同じような人材ビジネス、人材派遣のアライアンスがあるので、地域に密着して紹介先を開拓していきたいです。
--住むワークの概要を教えてください。
「住むワーク」は住み込みに特化した人材紹介サービスで、全国の仕事と住む場所を一緒に探します。老若男女、どんな方でも利用が可能です。
「住むワーク」で紹介する業種は製造業や工場系が多いです。弊社は大手の製造会社や派遣会社とつながりがあるので、そういったところから契約につなげています。
「住むワーク」については、地方創生と絡めて事業を展開していきたいと考えています。なぜなら、都市部より地方の方が採用で困っている企業が多いからです。現在、福島県で地方創生と「住むワーク」を絡めたプロジェクトを進めています。そこでどれだけの成果があるかを見極めつつ、事業を少しずつ地方に移行させていきたいと考えています。
やり直しの場所を作り、求職者のリスタートを支援する
--今後の事業展望について教えてください。
正社員採用のハードルがあがっているので、派遣やアルバイト、インターンなどへの人材紹介を視野に入れていきたいと考えています。履歴書に空白期間がある求職者が多いので、空白を埋められる何かを提供していきたいです。そのためにも人材会社との横のつながりを強め、アライアンスを増やしていきたいですね。
この仕事のやりがいは、ひとりで悩んでいた求職者たちが「就職決まってよかったです」と言ってくれることです。求職者の中には、自分自身がどのような企業を選べばよいのかわかっていない方も多いと思います。弊社の役割は、そういった求職者たちの相談に応じて方向修正し、背中を押すことだと考えています。
「リスタートジョブ」という名前のとおり、弊社がやり直しの場所をつくり、「動き出してよかった、就職できてよかった」と思っていただけるようにこれからも務めていきます。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
ナイトワーク経験者に対し、生活が不規則であるとか、生活水準が高くて仕事が続かないのではないかという懸念から、採用を躊躇する方もいらっしゃると思います。しかし、弊社では求職者と面談を重ね、戦力となる方を紹介していますので、その点は安心していただきたいです。
愛嬌があり素直な人材が多いので、そういった人材を求める企業様はお問い合わせください。
--本日はどうもありがとうございました。
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