堂前 晋平(どうまえ・しんぺい)
株式会社ピアズ(証券番号:7066) 執行役員 コーポレート本部 人事部部長
株式会社OneColors 代表取締役
新卒で大手通信販売会社の営業マンとして入社。その後、2009年に当時創業3年目で社員数5名だった株式会社ピアズへ入社。3,000名を越える学生の教育に携わり、30,000名を越える社会人にビジネスに関わる幅広い研修を実施。5つの組織AWARDを受賞し2019年にマザーズ上場と共にサウジアラビアから「King Abdulaziz Quality Award」を受賞。その後、2020年4月に企業の働きがいや生産性を向上させるべくOneColorsを設立。
深刻な人材不足が社会的な問題となる中で、採用から教育、ビジョン・ミッションの浸透まで組織形成をトータルで支援する企業が株式会社OneColors(ワンカラーズ)です。代表取締役社長の堂前氏に、同社が展開する「ブランドブック」の内容や今後の展開についてお話をお伺いしました。
「何をやりたいか」より「どうありたいか」を考えることでより成長できる
ー 本日はよろしくお願いいたします。まずは堂前社長のご経歴についてお伺いできますでしょうか。
はい。元々大手通信販売会社に勤めていたのですが、昔からウェディングプランナーになりたいと思っていたため、転職活動を開始しました。大手ウェディング企業との採用面談が順調に進んでいた中で、知人にピアズ社(後のOneColors社親会社)を紹介いただき、並行する形で採用面接を受けました。
そこで社長と面談させていただいた時に、自身のビジョンを熱く語る姿を見て強く感銘をうけ、業務内容も詳しくわからないままでしたが、ピアズ社に入社することにしました。
ー それまでの夢から遠ざかっていくことをご承知の上での決断だったと思うのですが、なぜそこまで強く惹かれたのでしょうか。
はい。自分の中に理念がなかった一方で、ピアズ社の社長は絶対にぶれない理念をお持ちで、強く驚いたことを覚えています。それまでの私の意思決定基準としては「何をしたいのか」という点が重要だと考えていましたが、ピアズ社の社長の姿を見て、「どのようにありたいか」を突き詰めていくことが、中長期的な成長につながるのではないかと考え、入社したいと思うようになりました。
ー ありがとうございます。その後、ピアズ社ではどのような業務に携わられたのでしょうか。
はい。人材ビジネス、広告、研修、組織コンサルと事業が移り変わる中で、様々な業務を担当していました。特に、クライアント様の営業支援と組織づくりに注力してきました。
ー その後、ピアズ社の執行役員に就任されるわけですね。
はい。ただ、常に順調に進んでいった訳ではありません。ピアズ社は地方に多くの支社を持っているのですが、当時は、支社長は挙手したメンバーの中から投票で決定される仕組みになっていました。私が初めて挙手した九州支社長の選定時は、4人の候補者がおり、その中で私は唯一誰からも投票が入りませんでした。当時の部下からも投票が入らなかったのは非常にショックな出来事でした。
そこで改めて自身を振り返りマネジメントを学び直しました。当時の一番の反省としては、部下に対して自分の言葉で伝えられていなかった、というものがあります。現在も多くのミドルマネージャーが陥っていると思うのですが、自分がメッセージを発信する時に「会社」を主語にして物事を伝えてはいけません。きちんと自分の言葉で発していかなくては周りに伝わっていかないと考えています。
そのほかにも、人の行動をコントロールすることはできないということを強く感じました。当事者以外の人間ができるのは、あくまで人の行動変容を促すための情報を提供してあげることまでではないかと考えています。
さらに、メンバーの現在だけではなく、未来に責任を持とうと意識して行動するようになりました。その結果、次の立候補時には無事選出されまして、その後執行役員となりました。
ブランドブック、教育支援、採用支援の3つの事業を展開
ー ありがとうございます。執行役員としてピアズ社の上場に貢献した後、OneColors社の立ち上げに至りますが、同社での事業内容をご説明いただけますでしょうか。
はい。当社ではブランドブックと教育支援、採用支援の3つの事業を展開しています。
ブランドブックプロジェクトとは、理念浸透を基軸に経営者とミドル、そしてメンバーの間のマインドギャップを埋めていくためのプロジェクトで、導入企業の9割は、資金調達前後の企業や、N-2から上場後の成長ベンチャー企業が中心になっています。
強い組織を作っていくためには、経営者の思いや考えに対してメンバーが深く共感し、その思いを実現していくために自走できるような組織を作っていく必要があります。そのためには、経営者とメンバーの間に立つミドルマネジメント層が、メンバーに対して会社のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を正しく伝えていく必要があります。
MVVを浸透させていくためには、会社や経営者の思いがまとまった、会社の原点を立ち返るための資料:教科書のような原典を”ミドル層が中心となって”制作していく必要があると考えています。社長が答えを教えてしまうと、結局はすべて社長に答えを聞きに行く組織になってしまいます。ですので、ミドル層が自分たちで教科書を作ることから始め、まずは自分たちが理解し、そうすることでメンバーに伝えられるようになります。その教科書をメソッドに沿って一緒に作るのが、ブランドブックプロジェクトです。
教育支援事業では、成長ベンチャー企業の若手と管理職層を中心に、ベンチャーで活躍するために必要なマインドやスキル習得のためのトレーニングを実施し、一人ひとりの成長促進をサポートしています。
多くの企業で、教育は社員が自走する為に実施しているケースが多いですが、実際の研修では自走しない方法を取ってしまっています。自走するには自分で考えることが必要ですが、多くの研修では答えを教えます。答えを教わった社員は、研修が終わった後も答えを教わらないと動けない社員になってしまいます。自走させる為の研修が、自走を阻害してしまっているのです。弊社の研修では自分たちで答えを導き出させます。そのサポートをするのが講師の役目で、弊社の講師は導くメソッドを全員が身につけています。
採用支援事業では、主に①採用広報②採用代行の2つのサービスを展開しています。採用広報では、ペルソナに合わせたSNSの活用やサイト制作やピッチ資料の制作など幅広くサポートを実施。採用代行ではただ代行するのではなく、最適なチャネル選定やノウハウの蓄積を行いながらご支援をしています。
ー ありがとうございます。どのような理由で採用支援まで領域を拡大されたのでしょうか。
はい。クライアント様の教育支援を行う中で、採用領域に存在する課題を解決していきたいと感じたためです。
当社としては、人は無限大の可能性を持っていると考えていますが、その可能性を最大化させることができるかどうかは所属する企業によって変わってくると思っています。そのため、採用のミスマッチを防いでいくことが企業にとってもメンバーにとっても大切なことだと考えています。
しかし、教育支援を行なっていく中で、そもそも採用のミスマッチが発生しているケースを多く目にするようになりました。その原因を追求していきますと、既存の採用市場の構造に課題があるのではないかと感じるようになりました。具体的には、企業の人事部も転職エージェントも、「入社」がゴールになってしまっており、入社後の活躍までストーリーを描いていないケースが多くある、という点です。この実態を受けて、当社として採用ターゲットの選定から入社後の活躍まで、包括的にご支援させていただくサービスを開始しました。
ー ありがとうございます。労働人口が減少する中で、採用領域の競争は日々激しさを増していると思いますが、貴社が持つ強みについてお伺いできますでしょうか。
はい。我々の強みは2点あります。サービスの変化・改善のスピードが圧倒的に速いことと、自社で成功体験があるサービスのみを提供していることです。
近年、労働環境の変化が非常に激しくなる中、企業の取り組みにも急速な変化が求められています。今日正解だったものが半年後には正解ではなくなる、というようなことは珍しくありません。実際に、採用広報という手法は半年前まであまり注目されておりませんでしたが、今は必須と言っても過言ではないほど、どの企業にも求められてくる手法になっています。このように、変化が非常に早い中で、採用に関するプロダクトも常にアップデートしなくてはいけません。
そのような中で、本当に成果が出るサービスをクライアント様に提供し続けていくために、圧倒的なスピードでサービスやプロダクトを改善し続けています。そして、まずは自社でサービスを利用し、成果が出たものに限り、クライアント様に提供する形をとっています。
採用市場に風穴を開けて採用のミスマッチをなくしたい
ー ありがとうございます。では、貴社の今後の展開についてお伺いできますでしょうか。
はい。当社としては既存の採用市場に風穴を開けていきたいと思っています。先述したとおり、現在の採用市場では「入社」がゴールになっているため、採用のミスマッチが発生するケースがあります。
入社がゴールになっているため、採用エージェントとしては、入社後の活躍まで見通しができる会社があるにも関わらず、採用時に企業から支払われる報酬の差から、別の企業をご紹介するケースもあると思います。
この構造自体は、利益を生み出していくことがミッションである企業として悪いことだとは考えていませんが、当社が提供する採用から教育まで一貫して支援するサービスが浸透していけば、採用時のミスマッチを防止することができると考えています。
そのため、まずは採用支援事業を2022年の間に100社のクライアント様にご利用いただけるよう拡大させていきます。
ー ありがとうございます。最後に、読者へ向けてメッセージをいただけますでしょうか。
はい。採用におけるミスマッチを無くし、働き手の意識改革をし、より強固な組織を作る為に弊社をご活用していただけたらと思っておりますのでぜひご連絡いただければと思います。また、事業提携についても積極的に進めていきたいと考えておりますので、成長ベンチャーに対してサービスを提供している企業様、もしくは人事領域にサービスを提供している企業様もぜひご連絡いただけますと幸いです。
ー 本日はありがとうございました。
株式会社OneColors
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