藤井 琢倫(ふじい・たくのり)
株式会社OEN 代表取締役社長
1983年生まれ。立教大学を卒業後、サイバーエージェントに入社。 芸能人ブログ、原宿Ameba Studioの立ち上げを担当。 その後「Ameba」のエンターテインメント部門長、広告部門長を経て 株式会社AbemaTVの立ち上げに参画し、現在はエンタメDX本部長を務める。2020年には、サイバーエージェントの子会社として株式会社OENを設立した。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ライブや公演など多くの興行が中止を余儀なくされた中、アーティストの無観客での生中継支援を始め、スポーツ、格闘技、演劇などエンターテインメント産業のマネタイズのDXを推進し、新たな収益機会の創出を行う株式会社OEN。2021年からはブロックチェーン上で発行する唯一無二のデジタルデータとして注目されている「NFT」に早くも目を付け、事業展開している株式会社OEN代表取締役社長の藤井様にお話をお伺いしました。
18年の経験を経て、起業へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、藤井さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
私は大学一年の時、サイバーエージェントにてインターン生として働いていました。当時、サイバーエージェントは創業4年目でしたが、藤田への憧れがありましたし、雰囲気の良さや活気のある文化に惹かれたことがインターンを始めた理由です。
入社1年目ではアメーバブログの「芸能人ブログ」や「AmebaStudio」の立ち上げに関わる機会をいただきました。
その後はアメーバの広告部門やアライアンス事業本部への異動を経て、サイバーエージェント執行役員に就任し、株式会社AbemaTVの立ち上げに携わりました。そして2020年にサイバーエージェント子会社である株式会社OENを設立し、代表取締役に就任して現在に至ります。インターン時代から数えると、18年ほどサイバーエージェントで勤務していることになります。
エンターテインメント産業収益化のデジタルシフトを支援
--2021年から新たにNFT事業にも参入されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
NFTは、価値を付与しにくいとされてきたデジタルデータに唯一無二の資産性を付与することができる技術です。NFTの市場が出る前までは、コンテンツが二次流通してもアーティストには何も利益もありませんでした。二次流通でも売上の一定の割合が生産者に戻ってくるNFT事業は、エンタメ産業に合っていると考えています。
NFT事業を我々の次のITビジネスの大きな柱にしたいという強い想いで、サイバーエージェントグループとして一体となって取り組んでいます。芸能事務所などと広い繋がりがある弊社が企画やプロデュース・宣伝を主に行い、制作を担当しているのは同じくサイバーエージェント子会社であるCyberZ社です。
--事業を展開される上で課題を感じている部分は何かありますか?
NFTは発展途上であるということが唯一の課題です。参加者が多くない上に、市場自体がまだ法整備されていません。そのため、どこにリスクが潜んでるかが非常にわかりづらいです。全体的に足踏みしているというのが現状です。
NFTに限らず新しい事業にチャレンジする時は、果敢に挑戦しながら少しずつ最適な形に変化させていくことが成功の鍵だと思っています。
2021年の3月頃からNFTをよく耳にするようになりましたが、プロジェクト自体は世の中に多くありません。それは、前述のようにNFTをどのように使ったらいいかわからない、どこにリスクがあるかわからない、ということが懸念されているからです。そこで、不安要素を埋める、成功実績を率先して作ることが重要だと考えます。世界で成功できるような企画をつくっていきたいですね。
--貴社のミッションについて教えてください。
OENのミッションは、アーティストの無観客での生中継支援を始め、スポーツ、格闘技、演劇などエンターテインメント産業のマネタイズのDXを推進し、新たな収益機会の創出を行うことです。
マネタイズに向けたプランニングや制作、話題化させるためのPR、顧客へのアフターフォローまでを統合的に行います。それぞれのコンテンツにあった手法でプロデュースします。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
もともと弊社は、ABEMA PPV ONLINE LIVEにおけるオンラインライブがメインの事業でした。新たにNFT事業に参入することで、エンターテインメント産業の新たな価値創造と収益化への貢献を目指しています。たとえば弊社では、これまでにオンラインライブの特典でプラチナチケットのデジタルデータをプレゼントしたことがありましたが、データのためコピーが可能です。ファンに本当に喜ばれる特典にはなりませんでした。
これまで、クリエイターや生産者は、一次販売時にのみ収益が入るのが基本で、二次流通でいくら高値で取引をされても何の恩恵も受けることはできませんでした。NFTでは、クリエイターや生産者に収益が還元され続け、価値を生み出した人が恩恵を受け続けることができる画期的な仕組みを実現できます。NFTを活用してデジタルデータに価値をつけることで、ビジネスの幅が広がることを見込んでいます。
変化を恐れず、順応し"挑戦”し続ける
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
日本では、芸能・音楽・スポーツ・アートといったジャンルにおいて、コロナ禍でDX化が進んだものの、まだアナログな世界が多いのも現状です。また、国外をターゲットにしたビジネスで成功している事業者は限られており、無論、事業者ごとに目指している成功の定義はそれぞれ違いますが、エンターテインメント産業が参考になる実績を作っていきたいです。
中でも、PPVモデルは視聴者がお金を払って視聴するコンテンツである分、質の高い映像が求められています。今後はテレビデバイスで視聴できるコンテンツが増えてくることが予測されるため、より一層視聴者の満足度の高い配信の追求はしていきたいですね。
--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
本日お話しさせて頂いたNFT産業は未開の地でプロジェクトがあまりにも少ないため、挑戦にはリスクも伴ってくると思いますが、非常に魅力的な市場でもあると思います。是非とも、変化を恐れず共に挑戦できれば幸いです。
--本日はどうもありがとうございました。
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