中村 有沙(なかむら・ありさ)
株式会社オアシススタイルウェア 代表取締役
神奈川県横浜市出身。2011年東京大学経済学部卒業後、社長のユニークさとビジョンに惹かれ、水道工事業を手がける株式会社オアシスソリューションに入社。
入社5年目に作業着のリニューアルプロジェクトを発足。自社オリジナル素材「ultimex(アルティメックス)」を開発し「スーツに見える作業着」が誕生。取引先であった大手不動産会社からのオファーにより事業化。2017年12月に株式会社オアシススタイルウェアを設立し、代表取締役に就任。現在はWWSワークウェアスーツの企画販売を中心に事業を展開。
全く別の事業を展開した、スーツに見える作業着の企画販売をしているオアシススタイルウェア社の今後の展開について、代表取締役の中村 有沙様にお話を伺いました。
水道メンテナンス事業などを展開する会社から、アパレル事業会社立ち上げへ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、中村さんのこれまでのキャリアや起業のきっかけをお聞かせください。
2011年に東京大学経済学部を卒業後、たまたま参加した会社説明会で社長のユニークさと「世界一やりたいことができる会社」というビジョンに惹かれ、水道工事業を手がける株式会社オアシスソリューションに営業職として新卒入社しました。
入社5年目、当時採用研修社内評価を担う部署がなかった為、よりよい組織づくりのために自ら企画し、人事部を設立しました。当時の採用活動に関しては、ガテン系の仕事であることから50〜60代の応募が多く、新卒募集に苦労していました。そのような若手採用の課題解決のため、さらには若い人にも募集要項を見てもらえるような興味のきっかけ作りのために、作業着のリニューアルプロジェクトを発足しました。
約2年かけて自社オリジナル素材「ultimex(アルティメックス)」を開発し、「スーツに見える作業着」が誕生しました。その後、取引先であった大手不動産会社からのオファーにより、本格的に事業化をはじめ、2017年12月に株式会社オアシススタイルウェアを設立し、代表取締役に就任しました。
–さらに御社の事業について詳しくお聞かせください。
現在はアパレルの企画販売を中心に事業を展開しております。
販売先としては個人と法人両方で、ECサイトや直営店、セレクトショップや百貨店などでもご購入いただけます。
直接お問い合わせをいただき、販売させていただいている会社様は全国で1,600社を超えました。建設や運輸などをはじめとして、結婚式場や病院関係者の方々など、業界業種問わず幅広い方々に着用いただいております。
--ありがとうございます。先ほどお話いただいた「スーツに見える作業着」をつくるに至った経緯を教えて頂けますか?
「とにかく作業着をかっこよくしたい」という思いを持っていたことがきっかけです。
私自身、入社2年目で作業着を着て働いていました。その際に偶然遭遇した大学の同期が、丸の内でキラキラとスーツを着て働いていることから、仕事着の差に引け目を感じてしまいました。
私自身は行っている業務にも現場にも誇りを持っていたため、仕事着で引け目を感じたくないと強く思ったのです。そのような体験から、「作業着をかっこよくして働くことへの誇りを感じられるようにしたい」と思ったのがこの事業に至った経緯です。
現場の技術職の方にヒアリングした際も「作業着を着て通勤電車に乗るのが恥ずかしい」という声がありました。そのため、この恥ずかしさを払拭するものが何かを試行錯誤しました。その後、半年かけて「スーツ」というアイデアにたどりつき、約2年で商品化いたしました。
作業着起点をぶらさず、消費者目線で機能性にこだわりぬいたスーツのような作業着
--貴社の商品の強み、特徴をお伺いできますか?
発想の起点が作業着の為、「機能性」がスーツメーカーの洗えるスーツとは全く異なります。スーツメーカーの洗えるスーツの中には、月1回ほどの洗濯を推奨していたり、専用のネットに畳んで入れるなどのケアが大変な商品もあります。
一方で、弊社の商品はTシャツや下着のような感覚で毎日洗濯していただけ、ハンガーにかけて干しておくだけで3〜4時間ほどで乾く速乾性のある素材を使用しています。また、現場では衣類に工具を入れるため「収納力」も求められます。弊社の商品ですと、上下合わせて最大12個のポケットがついています。なので手ぶらで出かけられるほどの収納力も特徴です。
弊社は元々アパレル会社ではない為、消費者/素人目線で「自分たちが本当に着たいもの」になっているかを大切に開発しました。そして、作業着を着てお客様と関わることもあるため、機能性だけでなく見た目にも拘り、「スーツのような作業着」を作るようにしました。
–スーツのような爽やかな見た目と機能性どちらにもこだわっているのですね。開発の際の苦労や課題はありましたか?
機能性を求める際に、生地の選択に苦労しました。
形がスーツになったことで、元の作業着よりも使い勝手が悪くなっては意味がありません。なので、従来の作業着よりも機能性を上げることを意識していました。よって、全国から生地を取り寄せて最適なものを熟考しました。
しかし、ストレッチ性や耐水性、そして通気性や着心地などの条件を満たした生地がなかったため、自社でメーカーと共に開発し、オリジナルの生地を作成しました。
–こだわって製作された商品なのですね。貴社のその他の商品についてもお聞かせください。
昨年新しく機能性シャツも販売を開始しました。ジャケットやパンツの着心地に引けを取らない、シャツの開発を行いました。着心地が良く、ゴムのように「伸びる」伸縮性が特徴です。この商品は個人でも、会社の制服としてもご利用いただいております。
--ありがとうございます。御社のスローガンである「Be Borderless」にこめられた思いをお聞かせください。
「Be Borderless」には、垣根を超えるという意味がこめられています。
元々は作業着としてローンチしました。ですが事業化して3年後には、技術職以外にも、オフィスワーカーからのニーズが高いことが分かりました。現場とオフィス両方で働く方も多くいるようです。その中で、よくあるブルーワーカー/ホワイトワーカーのような区分けはナンセンスだと思い至りました。
職業の垣根というのは意味がないという思いをこめて、今のスローガンを設定しました。
「Borderless」は「スーツに見える作業着」が私服やパーティー、面接などあらゆるシーンに対応できるアパレルであることも意味しています。
コラボや提携で国内での認知を高め、海外進出へ
--今後の事業展望についてお伺いできますか?
現在、商品の認知がまだ足りていない為、PRに注力して知名度をあげていくことが必要です。
従来はプレスリリースを安定的に出し、メディアに取り上げてもらうことを意識していました。今後は、他社とのコラボレーションや提携を通してのPRを考えています。例えば、ゴルフ、ラグビーのようなスポーツ系、有名デザイナー、学校制服等にアプローチしていきたいと考えております。
店舗に関しては、直営店舗の拡充を考えております。現状、個人お客様の半数がEC経由ですが、やはりECでの初回購入は心理的ハードルが高いと思います。よって、直営店舗で試着をして購入を検討していただくことでハードルを低くし、より消費者に安心を与え、購入いただくようにしたいです。
長期的な目標としては、海外展開も視野に入れております。イギリスのセレクトショップと提携をして販売をスタートしましたが、好調です。ただ、海外で作業着や会社の制服という文化を持っている国は限定的なので、どう訴求していくかは今後検討していきたいと思います。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やオンラインでの打ち合わせが増えるなど、生活スタイルが一新して変わっていくタイミングだと思っています。
このようなタイミングであるからこそ、何か一緒にコラボレーションができる会社様があれば、ぜひご一緒したいと思っております。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社オアシススタイルウェア
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