緒方 雅広(おがた・まさひろ)
西ノ宮互厚産業株式会社 代表取締役
千葉県市川市出身。高校卒業後、日新製鋼の下請けである製鉄工場で勤務。退職を考えていた頃に職人の後継問題があり、3代目社長に声をかけてもらったことをきっかけに西ノ宮互厚産業株式会社へ入社。
西ノ宮互厚産業株式会社では 多種多様なスリッター加工やリワインドを手がけています。5台あるマシンのうち、最も適切な1台で加工を行っており、クオリティの高い出来映えを期待できます。フィルム全般も取り扱っており、印刷品、ラミネート品、カットサンプル、ジョイント作業、除電作業、異物除去など、あらゆる製品の製作が可能です。フィルムスリット加工を軸として、社員の安心・安全を追求しお客様の発展に貢献することを理念に掲げている、西ノ宮互厚産業株式会社の代表取締役である緒方氏にお話をお伺いしました。
フィルム加工をオールマイティーに手がける
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、西ノ宮互厚産業株式会社さんの歴史についてお聞かせください。
1937年東京の亀戸にフィルム加工専門の個人企業西ノ宮化工を創立し、主にスリッター機の製造からフィルムのスリッター加工まで手がけていました。
1954年大型機械増設とCO2削減についての規制が厳しくなった頃、千葉県の松戸に移転した形です。
2008年物流動線の変化と運送会社から新設倉庫の一部を譲り受けたことから、現在の茨城県へ移転しました。
--現在フィルム事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
フィルムスリットは、一般の方にはなかなか理解していただけないかと思います。フィルムメーカーさんのフィルムを作っていますが、フィルムというのはトイレットペーパーをすごい大きいプラスチックのロール状にしたようなものです。最終的にはお菓子の袋や一般的な生活用品の外装、そしてパソコンの基板などで使用されています。
実は、お菓子の袋は規格がない状況であり、オーダーメイドで作製されるのが一般的です。しかし、メーカーで作るモノは標準品しかないため、メーカーで作らないものを主に手がけています。32mm幅~1,680mm幅まで、スリット可能となるワインディングの機械を5台揃ており、作業室はクリーンルームを具備して、多種目・多目的用途のフィルム類にスリット加工できる点が魅力となっています。メーカーが作っている標準品をメーカーが希望する仕様に加工をしています。
--フィルム系と聞くと耐熱性のイメージがありますか?
そうですね、弊社でよく行っていたのが業務用の真空パックのフィルムなどの検品です。
実は、あの真空パックは材質が1枚なのに11層構造であり、日本で製造できるのは数社しかありませんでした。ヤマト運輸で使われている、段ボール内で製品をラッピングするフィルムのスリッター加工をほぼ100%請け負っている状況です。
--主な取引先は?
食品、生活、建材、医療関係のフィルム加工をオールマイティに手がけており、お客様は大手メーカーや商社様です。コロナの影響でアパレルなどの様々な業種と繋がりが増えてきています。
--同業他社があるものなのでしょうか?
ありますね。スリッター業者は関西にとても多くて、逆に関東にはあまりありません。
しかしそもそも、スリッター業界自体がとても狭くて、メーカーと仕様書を組んで取引をすることから、ISOの関係上、取引先が激しく入れ替わることがあまりありません。よって、他社とのシェアの取り合いもあまり発生していない状況です。また、メーカー様の意向で勝手に変更しにくいという理由もあって、ユーザーの取り合い自体もあまりありません。
小ロットでも柔軟に生産対応が出来る点が強み
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
短納期という点を強みにしています。通常のメーカー様の場合、オーダーを受けたら次の人にスリットして、その翌日発送というケースが多いのですが、弊社はオーダーを受けて即日加工して発送することが可能です。
実際に、最近ではオーダーを受けて3時間で発送した事例もあります。長ロットの注文よりも小ロットのご依頼が多く、長ロットの作業間に小ロットの作業を差し込むことで短納期で対応できる点が強みとなっています。
また、メーカーの標準品からオーダーメイドで製品を加工も手がけています。
スリッター加工業界全体を盛り上げる存在になりたい
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
元々加工屋であるため一般販売はしていませんが、今後インターネット販売でやろうとしているのが医療用ガウンの販売などです。また、段ボールや化粧箱の販売も考えています。
--例えば、フリマアプリでものを売る際に使用する袋などはニーズがあるのではないでしょうか?
確かに、パッケージプラザがありますが商社を通過していることで、どうしても価格が高くなりがちですが、弊社に直接オーダーいただくことで安く入手できることからニーズがあると考えています。
--他にも、どのようなことを計画されていますか?
コロナの影響で、お客様の足取りが減ったため、YouTubeを始めることによって宣伝を始めています。また、職人さんが減ってきていることから同様にYouTubeにてスリッター加工や、自社についての情報発信をしています。講師して、新入社員を対象にした技術についての教育や研修を行い、ものづくり文化の発展をしていきたいですね。実際に、1月にスリッター加工についての講師として技術研究会から依頼が入っている状況です。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
YouTubeのコメント欄や、SNSを通じて他業種の職人さんと繋がることに新鮮さを感じて刺激になっているのでもっとたくさんの職人さんと繋がりたいですね。そうすることで新たなネットワークを作って情報が集まりやすい環境を作っていけたらと思っています。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社西ノ宮互厚産業株式会社
https://www.nishinomiya-sl.com/
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