鈴木 友也(すずき ともや)
M’s株式会社 代表取締役社長
1986年、神奈川県・横浜市生まれ。15歳から両親の都合でアメリカ合衆国バージニア州マナサス市で過ごし、米国市民権を取得。2012年ノーザンバージニア州立大学卒業。同年に帰国し、外資系人材紹介会社、テスラモーターズジャパン合同会社を経て、2020年にM’s株式会社代表取締役社長に就任。
ヘアメイクには表情や心まで変えてくれる力があります。しかし、魔法のようなヘアメイクを施す実力を身につけるには長い時間がかかり、ライフプランとキャリアの両立は簡単ではありません。そのような現状を変えようと、ヘアメイクアップアーティストの正社員雇用など業界では珍しい取り組みを実施しているM’s株式会社代表取締役の鈴木様にお話を伺いました。
会社立ち上げの目的は家族と社員を守ること
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、鈴木さんのこれまでのキャリアや代表にご就任されたきっかけをお聞かせください。
生まれたのは神奈川県の横浜市ですが、15歳の時に両親の都合でアメリカ合衆国バージニア州マナサス市へ引っ越しました。2012年にノーザンバージニア州立大学を卒業するまでアメリカで過ごし、米国市民権も取得しています。
大学卒業後は日本に戻り、外資系人材紹介会社のTMC Japanへ入社しました。約2年勤務したのち、2014年からはテスラモーターズジャパン合同会社でも働いた経験があります。
現在、私が代表取締役社長を務めているM’s株式会社は妻であるヘアメイクアップアーティスト 松本江里子とともに2020年1月6日に立ち上げました。設立の背景には、家族と社員を守りたいという思いがあります。実際、株式会社の形を採ったのは3名のヘアメイクスタッフを“雇用”するためでした。家族と社員を守るのは私自身の目標でもあります。
江頭2:50さんがYoutubeチャンネルで披露した地雷系メイク、熊田曜子さんの鬼滅の刃・ 禰豆子コスプレメイクが弊社が手掛けた主な作品です。その他、テレビ番組の激変メイク企画など多数の実績があります。
“社員”として”教育”することで業界の働き方を変えたい
--貴社の主軸事業であるヘアメイク事業について詳細をお伺いできますか。
弊社のヘアメイク事業部 (M's hair&make-up)ではヘアメイクアップアーティストの松本江里子を中心に、日本トップレベルのアーティストヘアメイク技術を提供しています。主に芸能、音楽、声優をはじめとする業界の演者様、アーティスト様を中心とした出張ヘアメイクを担当しています。
スチール撮影、ミュージックビデオ、小規模イベントから、武道館や東京ドームなどの大規模ライブイベントなど、個人としてもチームとしても多数の実績を積んできました。
ヘアメイク業界ではマンツーマンが多いのですが、チームとして現場に入らせていただくことで、"M's"にしか提供できない技術力、対応能力、引き継ぎ力などでクライアント様、アーティスト様に貢献できるような体制を構築しています。
また、一般のお客さまのためにHair Make Salon M’s(ヘアメイクサロンエムズ)というヘアメイク専門サロン店舗も運営しています。
ナチュラルヘアメイクからV系、ガールズバンド、地雷系メイク、量産型女子、女装メイク、ハロウィンメイク、ドールメイクなど幅広いヘアメイクにも対応できる隠れ家的ヘアメイクサロンです。
一般の方もメイクをすることで自信がついたり、勇気がでたり、なにかをするときのポンっと背中を押せるようなそんなヘアメイクの提供をテーマに社員全員共通認識を持ち運営しています。
--他の事業者にはない、貴社ならではの取り組みを教えてください。
弊社の独自性は、ヘアメイクアップアーティストを”社員”として”雇用”し、新卒・アシスタント期間から時間をかけてしっかりと育成をしていることです。一般的にヘアメイクアップアーティストはフリーランスとして活動している人や、事務所に所属していても個人事業主として仕事をしている人が多いのです。しかし、弊社は業界では珍しく、正社員として雇用しています。
その背景には、社員のライフプランをサポートしたいという思いがあります。ヘアメイクアップアーティストは女性が多いので、結婚・出産などでキャリアを諦めてしまう人は少なくありません。正社員雇用を通して弊社がライフプランをサポートすることで、キャリアを積んでほしいと考えています。
また、独自の研修資格を作り、教育に力を入れているのも弊社独自の取り組みです。同業他社では所属するヘアメイクアップアーティストに教育をしているところはほとんどありません。しかし、弊社ではヘアメイクはすごく素敵な仕事で、お客様に喜んでいただけることで、自分も満たされるような素敵な仕事だと思っていますので、長年この業界で活躍している技術者が学んだことを実践に生かせるように、ヘアセット技術などを中心に現場で耐え抜ける技術力、会話力を教えています。
--この事業を通じて実現したいことは何でしょうか。
ヘアメイク業界の働き方を変えたいと思っています。
妻である松本からヘアメイクスタッフの結婚、出産、子育てなどの思いを聞いていた私は、この業界の“働き方”について疑問を感じていました。
ヘアメイク業界では、美容専門学校を卒業してもすぐにヘアメイクの仕事ができるわけではありません。駆け出しのヘアメイクアップアーティストの仕事は、師匠・先輩のアシスタントとしてメイク道具のセッティングや道具持ち、片付け、掃除などです。アシスタント期間は3年ほどで終わることもあれば、十分な技術を身につけるまで5年から10年以上かかることもあります。
ヘアメイクアップアーティストの多くは女性であり、フリーランスや個人事業主として仕事をしています。会社員などの労働者に対しては、産休や育休、その間の収入保障などの手厚い制度が用意されていますが、フリーランス・個人事業主にはありません。
一流ヘアメイクアップアーティストになるための修行に5年から10年かかると考えると、20代後半から30代前半の仕事が一番順調な時に、結婚・出産・育児を取るか、仕事を取るかの人生の選択を考えなくてはならないのです。
そこで、業界の働き方を変えるため、妻とも相談してまず会社を設立し、今まで個人事業主だったスタッフ3名を社員として雇用したのが弊社の始まりです。
ヘアメイクアップアーティストの社会的地位を確かなものにするために
--会社経営で大切にしていることを教えてください。
「社員を大切に育てること」「トリプルウィン主義」が弊社の経営方針です。トリプルウィンとは、お客さま・取引先・弊社のすべての関係者が利益を得て、付加価値を実感すること、そしてお互いに支え合ったり助け合ったりできる関係を築くことです。
お話した通り、弊社では社員のライフプランをサポートするため、ヘアメイクスタッフを正社員として雇用することにこだわり、教育にも力を入れています。ヘアメイクアップアーティストになるための育成環境を整え、社員と働き方を相談しながら、成長を実感できる会社を目指したいですね。
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
今後はM’sブランドを確立し、ヘアメイクアップアーティストの社会的地位を強固なものにしたいですね。
そのために、 Hair Make Salon M’s (ヘアメイクサロンエムズ)ヘアメイク専門サロン事業がヘアメイクアップアーティストという職業を、より一般の方に身近に知っていただくきっかけとなってほしいと考えています。
また、ヘアメイクアップアーティスト専用のマッチングサービスサイトも立ち上げました。ヘアメイクアップアーティストにとっては安定して仕事を獲得するのに役立ちます。
一般の方にとっては普段、芸能関係の仕事が多いヘアメイクアップアーティストと知り合うきっかけや、マッチングできるメリットがあるサイトです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
ヘアメイクには人を変える力があります。
ヘアセット、メイクによって表情や心が変わる体験を芸能人やアーティスト、タレントだけでなく、多くの方に感じていただきたいと思います。
弊社では女性だけでなく、男性のヘアメイクも可能です。男性の場合は髭やクマを隠したり、眉毛や肌を整えるのが中心となります。メイクをすることで自信が湧いたり、人前に出るのが楽しくなったりしたという声をよくいただきます。
プライベートで特別な予定があるとき、大きな仕事やプレゼンテーションの前などに、弊社のヘアメイクをぜひ利用していただけましたら幸いです。
--本日はどうもありがとうございました。
M’s株式会社
Professional Onlineでは無料で経営者インタビューに掲載いただける方を募集しています。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。
プロフィール
鈴木 友也
会社情報

決裁者アポ獲得支援サービス「アポレル」に登録すると、日替わりでレコメンドされる著名な経営者と出会うことができます