田中 啓介(たなか・けいすけ)
Mikatus(ミカタス)株式会社 代表取締役社長
大学卒業後、メリルリンチ日本証券株式会社に営業職として入社。その後、株式会社インボイスで財務戦略部長、事業統括本部長を経て、2016年に現Mikatus(ミカタス)株式会社の前身であるアカウンティング・サース・ジャパン株式会社へ代表取締役社長 CEOとして入社。2019年にMikatus(ミカタス)株式会社に社名を変更し、現在に至る。
中小企業経営者が税理士に求めるニーズの変化にともない、税理士は今、生き残りをかけてモデルチェンジを迫られています。創業以来、クラウドサービスで税理士の業務支援を続けているMikatus(ミカタス)株式会社。同社の田中代表取締役社長に事業の概要や今後の展望についてお話をお伺いしました。
社名に込められた3つの思い
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、田中様の経歴についてお伺いできますでしょうか。
外資系企業に新卒で入社し、営業として働いていましたが、当時のお客様からお誘いを受けたことがきっかけで転職しました。もともと金融系の会社にいたということもあり、転職先では財務や経営企画を主に担当しました。
その中で、転職先がリーマンショックの影響により業績が悪化する危機がありましたが、責任者として事業の建て直しに尽力し、危機を免れることができました。その後退職して、現在の会社に社長として入社しました。
--ちょうど2年前に社名を変更されたと伺いました。社名に込められた思いについてお教えいただけますか。
Mikatus(ミカタス)は、「味方」と「三方」、そして「US」という英単語をかけ合わせて名付けました。まず味方には、当社のお客様である税理士さんの味方となり、一緒に税理士業界を盛り上げていきたいとの思いを込めています。
三方については、「三方良し(さんぽうよし)」の言葉からきています。三方とは、税理士さんと、税理士さんの顧客である中小企業、そして当社を指します。税理士さんの顧客である中小企業が潤っていなければ、税理士さんや当社の繁栄もあり得ません。ですから、私たちは、税理士さんの先にいる中小企業も見据えて、ビジネスをしていきたいと考えています。
最後にUS。これは、当社の顧客である税理士さんとワンチームになり、当社のミッションやビジョンを実現したいという思いを表しています。味方と三方とUS、それぞれの言葉への思いを結び付けて、2019年にMikatus(ミカタス)という社名へ変更しました。
クラウドサービスで税理士を支援する
--ありがとうございます。貴社の事業について、あらためてご説明をお願いいたします。
当社は税理士向けのクラウドサービスを展開しています。税理士の仕事は、その主な顧客である中小企業や個人事業主の税務申告をサポートすることで、私たちはこうした税理士の仕事を支援するクラウドサービスを提供しています。
ひと昔前は、税理士の仕事は税務申告を主としていました。しかし、今は税務申告だけでなく、中小企業の経営面も支援していかないと、税理士として中小企業から選んでもらえないという現状にあります。そういった点も含めて、私たちはクラウドサービスで税理士をサポートすることを事業として行っています。
--貴社の独自性や強みについてもお教えいただけますか。
税理士向けに特化したクラウドサービス、まずこれ自体がユニークだと考えています。すでに、税理士向けのサービスを展開している事業者もおり、またクラウド会計システムと呼ばれる部類のシステムを展開している事業者もいます。しかし、私たちは「税理士向けサービス」と「クラウド会計システム」の両方をかけ合わせたサービスを、一番初めに提供し始めた会社であると言えるのではないでしょうか。
他にも、一般企業向けに展開している会計システム事業者が多いなか、私たちは会計と税務システムを税理士向けに提供しているという点で、他社との大きな違いがあります。また、税理士向けにシステムを提供している他の会社は、元々クラウドを事業としていなかったため、今ようやくクラウドシステムに着手し始めている状況です。そういった点にも、私たちの独自性があるのかなと思っていますね。
--ありがとうございます。それでは逆に、貴社が課題としていることは何かございますか。
課題はたくさんありますね。特に、税理士向けシステムにおいては、私たちのシェアは数パーセントに満たないため、まだまだシェアを伸ばしていく必要があります。そのためには、もっと多くの税理士さんに当社と当社のサービスを認知してもらわなければいけません。そこが一番の課題ですかね。
--今お話し頂きました税理士さんの認知の拡大について何か施策や、お考えはお持ちでしょうか。
そうですね。認知の拡大に関しては、宣伝広告の施策に力を入れ始めています。私たちは今まで資金が無い中、事業運営に一生懸命取り組んできて ようやく黒字転換し、お金が貯まる会社になってきました。しかし貯まった資金を認知拡大のためだけに投入しても、認知だけ先行して製品が伴わなければ、投資の意味がありません。その辺りのバランスも上手く調整しながら、認知拡大の施策を講じていかなければならないと考えています。
--今現在の税理士さんのアプローチというかターゲットのリード獲得に関しては、どのように動かれてきたのですか。
リード獲得に関しては、コンテンツマーケティングを軸に様々な施策を実行しています。具体的には、オウンドメディア「Lanchor(ランカー)」の運営、オンラインセミナーの開催、ホワイトペーパー資料の配布などを通じ、税理士さん向けお役立ち情報の提供に注力しています。
お客様がシステム導入を決めるにあたっては、対面でうちの良さをきちんとお伝えすることも大事なポイントです。また、システム導入後にきちんと運用していただくためにも、当社の製品の良さをきちんと理解して頂いた上で、導入を決めて頂くという方向にもっていかなければと思っています。
経営面や財政面も支援できる税理士が必要とされる時代に
--中長期的な事業展望についてもお話をお伺いできますでしょうか。
税理士の業務は、今モデルチェンジを迫られている状況にあると考えています。企業の税務部分をサポートするだけの税理士では、過当競争もあってなかなか生き残るのが難しく、まず中小企業に選んでもらえません。私たちは税理士さんと一緒に生きていくと覚悟を決めていますので、この税理士のモデルチェンジを支援していかなければいけないという使命感があります。
税理士に求められているのは、税務申告だけでなく、中小企業の財務面や経営面の支援も含めたサービス提供です。私たちのクラウドサービスである「A-SaaS(エーサース)」は、税務申告の効率化のみならず、中小企業の財務面・経営面も支援できるサービスです。これをもっとブラッシュアップしていく必要があると思っています。
しかしながら、クラウドサービスだけで税理士さんを100%支援するのは実際難しい部分があります。そのため、税理士さんのスキルアップのために、セミナー等を通じて、「こういう知識やマインドが必要だ」、「こういうことを中小企業は求めている」といったことを税理士さんと共に学べる場を、今後もっと提供していかなければいけないと考えています。
--ここ数年でコロナという問題がでてきました。集客面や経営面において貴社ではどのような対策をされてきたのですか。
お客様とのコミュニケーションについて、コロナ前は対面を基本としていましたが、コロナ後はZoomを使用しています。結果として約90%がオンラインに置き換わりましたね。
東京と大阪と名古屋にしか拠点がない中で、北海道から沖縄までのお客様をカバーしなくてはなりません。昔はお客様の元を直接訪問しなければならず、お会いする機会を創出するのにも制限がありましたが、ありがたいことに今は、Zoomでミーティングさせて頂くことが当たり前になってきています。効率も良くなりましたので、悪くはないかなと思っています。
一方で、Zoomだと微妙なニュアンスが伝わらなかったり、相手の意図を汲むことが難しかったりもしますので、そういう点ではデメリットを感じることもありますね。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか。
当社は税理士向けのサービスを提供している会社であり、税理士さんとともに日本の中小企業を救える一番の担い手だと思っています。経営資源が限られている中小企業であっても、顧問税理士がいないというケースはほとんどありません。日本の中小企業を救えるのは、いつもそばで伴走してくれる税理士さんです。志ある税理士さんと一緒に、日本の中小企業を盛り上げていきたいと願っておりますので、わたしたちの考え方に賛同頂ける税理士さんや中小企業さんがいらっしゃったら、ぜひ一緒にお仕事させていただきたいなと考えています。
--ありがとうございました。
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