西山 典孝(にしやま・のりたか)
有限会社 丸井食品三重工場 代表取締役専務
18歳で光通信IEグループに入社。その年の新入社員営業ランキングでは粗利部門、台数部門で全国一位を獲得、新規事業の立ち上げ等を経験し退職。退職後カナダバンクーバーへ留学。帰国後生まれ育った三重県にてイベントオーガナイザーやインターネット回線の営業代理店の開業、マネジメントなどの経験を積み、2010年に父の経営する有限会社丸井食品三重工場へ入社。テレワークの普及や少子化による主要取引先の売上の減少が見込まれ、営業のノウハウを活かした事業作りを求められることに。
近年、ヴィーガンやベジタリアンなどの動きが加速しています。その業界に目をつけ、事業拡大を目指しているのが有限会社丸井食品三重工場です。父が経営している同社の業績が下降しているなかで、その立て直しを求められ入社した代表取締役専務の西山氏にお話をお伺いしました。
得意の営業経験を求められ、父が経営している会社に入社
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、西山さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
18歳で光通信IEグループに入社しました。そこでは営業において、部門一位を獲得することもありました。さらに、カナダへ留学に行き、帰ってきた後は営業代理店の開業、マネジメントを行なっていましたが、2010年に父の経営する有限会社丸井食品三重工場に入社することになりました。
元々私どもの会社は、学校給食や産業食に多く提供していたのですが、テレワークの普及や少子化により、主要取引先の売上の減少が進んでいました。そこで、父から、光通信IEグループで培った営業のノウハウを活かした事業作りを求められることになり、有限会社丸井食品三重工場に入社したという経緯があります。
薄利多売から経営方針の転換により立て直しを図る
--現在調味料の事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
液体、粉末、味噌などの粘体の業務用、個包装を主体とした調味料、スープ、たれの製造販売をしており、調味料製造の中では幅広い調味料製造をしています。卸先は、学校の給食や、トヨタ自動車の産業食などがメインになっています。伊勢うどんのタレのシェア率は60%で三重県下No.1です。
薄利多売による利益率の低さにより何年間か赤字を計上することもありましたが、およそ10年前、小麦レススープと出会いました。小麦アレルギーの方向けという印象が強かった小麦レススープですが、取引先からの希望でグルテンフリーの食品販売を検討すべく、グルテンフリー製品について調べ始めました。すると、アメリカではダイエット食品としても多く用いられていることを知り、市場規模がとても大きいことがわかりました。そこで、協力会社との共同開発によって、グルテンフリーのインスタントラーメン商品の販売を開始しました。
私が入社したときの社内環境が非常に悪かったので、社内の環境を改革すべく奮闘していました。ただ、そこで考え方のすれ違いからベテラン勢がやめていき、開発レシピを盗まれ、彼らに取引先を奪われてしまい、売上の10%ほどにあたる2,500万円を奪われてしまいました。
ベテラン勢がいなくなり、売上も落ちていたところで、若い職員同士で話し合いの場を作って会社の立て直しを図りました。そこで、食品の衛生管理をきちんと行うために、HACCPの導入を行い、月1回の勉強会から始めました。また、利益率を高めるために話し合いを継続して行い、ヴィーガンの方やハラール認証などに向けて自社の商品を製造していくことになりました。また、私自身も経営の勉強をし、事業計画を立てたり、自社の商品の現状をまとめたりして事業を進めています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
調味料は料理には必要不可欠な品物です。調味料の特化型として、ヴィーガングルテンフリーをプッシュしている現状です。また、日本アジアハラール認証で初の粉末スープによる取得を果たしました。現在では、全国から製造依頼が殺到中です。
また、海外への進出も視野に入れておりまして、マレーシアに進出するドン・キホーテに対して積極的に営業を進めているところです。また、ハラール認証の取得をきっかけとしてイスラムへの販売も視野に入れています。
アレルギー商品の管理に力を入れたり、アメリカにおける食品販売を展開するためにUSA FDAを取得したりもしています。
社員全体で会社に貢献すべく、自主的にセミナーに参加したり、SDGsの委員会を開くなどの活動も積極的に行なっています。
「おいしい」にもう一つの喜びを
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
提供する商品に対して「おいしい」にもう一つの喜びや付加価値をつけられるようにしたいと考えています。その中で主に取り組んでいくのは、ヴィーガングルテンフリーが主力になるような働きかけです。そこに向けて、開発研究所の建設により、強みである開発力にさらに力を入れ、ヴィーガンの商品開発を加速させていきたいです。
また、環境問題の解決にも取り組みたいと思っており、ペットボトルやプラスチックを使うことが多いため、10年以内に全てバイオマスプラスチックでリサイクルのできるものに変えていきます。現在は、太陽光パネルの設置、照明のLED化など取り組めるものから少しづつ環境への配慮を進めています。
さらに、カナダ留学の経験を活かして、ローカルなところを重要視しながらも、グローバルな視点を持って商品づくりをしていきたいとも思っています。日本だけでなく、海外への進出を視野に現地の文化にも受け入れてもらえるような商品づくり、環境づくりを進めていきます。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
麺つゆなど調味料全般でグルテンフリー化が進んでおり、新たにヴィーガン認証の取得に向けて動いています。一次原料、二次原料と掘り下げて、仕入れ先のメーカーさんにも確認をとって製造をしていますので、そのような点でも安心していただけると思います。ヴィーガンやグルテンフリーの健康食品を取り入れた事業をされている方、始められる方はぜひ弊社へお声がけいただけると幸いです。
--本日はどうもありがとうございました。
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西山 典孝
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