関 厳(せき いわお)
株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役
東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。幅広い業界のコンサルティング業務に従事した後、ボードメンバーとしてコンサルティング部門を統括。2012年「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念としてリブ・コンサルティングを設立。現在は当社代表に加えて株式会社Impact Venture Capitalの代表パートナーも務める。コンサルティング活動以外にも執筆・講演活動も行っており、一部著書は国外のアジア諸国でも発刊されている。
先進国として発展した現代の日本をアップデートしていくのは、いまや大企業ではなく、ベンチャー企業や中堅企業ではないでしょうか。これから注目されるのは、個々の問題にスピード感をもって対応できる中堅、ベンチャー企業です。そんな中、株式会社リブ・コンサルティングは「100年後の世界を良くする会社を増やす」を理念にコンサルティング事業を展開しています。今回は代表取締役の関氏にお話を伺いました。
小さな会社も成長できる社会が、日本の希望を生む時代に
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、関さんのキャリアや起業されたきっかけをお聞かせください。
東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社し、10年間勤務していました。そのなかで7年間は主にコンサルタントとして活動、あとの3年はコンサル部門の統括とグループ企業の統制などをおこなっていました。
もともと私は、会社に依存するキャリアが長く続かないと感じており、大手コンサル会社で勤務するなかで、30歳での独立を目標としていました。そして、独立するなら個人事業主としてでなく、新たなサービスを提供できる事業を立ち上げたいとも考えており、同社でさまざまな経験を積みました。
2012年、31歳の時にリブ・コンサルティングを創業しましたが、当時は、東日本大震災の影響から景気は最悪な時期でした。しかし5年後には、IT産業を中心にベンチャーやスタートアップが次々出てくるのは確実だと考えており、「その変革を起こすであろう若い会社の支援こそコンサルタントとしての使命ではないか」という想いがありました。
大手コンサル会社で関わるのは大企業が主だったのですが、ベンチャー企業や中堅企業とも関わる機会がありました。このような企業と大企業とでは、コンサルティングの内容で求められるものも違い、仕事の手触り感なども大きく異なります。
私たちはクライアントが望む成果を叶える会社であり、大手企業が望むような報告書を納品するコンサルティング会社ではありません。時にはクライアントの現場に入り込んで、一緒に走っていく気概があって初めて、コンサルティングを行うパートナーとして関係性を作ることができると考えております。
100年後をよくする企業を増やしたい
--現在コンサルティング事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
基本的に、弊社では2つの事業を軸に事業展開しています。
1.経営コンサルティング
経営コンサルティングにはさまざまなものがありますが、私たちは主に「セールスマーケティング」と呼ばれる、売上アップのお手伝いをしています。
ベンチャーや中堅企業では細かい戦略を求められることが少なく、限られた資金でどこに投資するかということが課題になることが多いのです。その結果、最初はやはりマーケティングセールスでいかに売上を伸ばすかというグロースといわれる類の話になります。
私たちがサポートした結果、売上が伸びれば、次は中長期的な展望をどう描いていくかという話になります。そこまでいくと、今度はこれからの経営戦略や組織人事、生産性をどう高めていくかという話に広がっていきます。
私たちは、今後社会全体の課題を解決していくであろう、中堅企業やベンチャー企業など特定の強みを持つ企業に対して経営コンサルティングを提供しています。
コストをあまりかけられない中堅企業やベンチャー企業は、今まで外部へコンサルティングを依頼することに慣れていませんでしたが、この10年間でコンサルティングへの投資額が約5倍になってきており、需要は益々高まっています。
2.DXコンサルティング
現在、中堅企業には3〜5年先を見据えた、デジタルでビジネス課題を解決するDX化が求められています。DX化は「マーケティングセールス」や「組織人事」など、全ての分野に絡むものであるため、需要はこれからもどんどん増えていくのではないかと思います。
私たちは、コンサルティングを通じて、「100年先の世界を良くするような、世の中にビフォーアフターを作るような会社を増やしていくこと」を目的としています。
100年先の世界を良くする企業とは、売上や利益だけを優先するのではなく、「社員満足度」や「顧客満足度」そして「人材の育成」「仕組みづくり」「仕組みの継続性」などを総合的に高めていける企業です。私たちはそんな企業をつくるためのお手伝いをしたいと考えています。
コロナウィルス流行や人手不足が問題となっていることから、とくに研修や社内教育をDX化することを積極的にコンサルティングしています。
現在は、それぞれの会社に「デジタルアカデミー」を作ることを進めており、自社が持つ「一般的な社会人への教育」コンテンツと「取引先企業の独自教育」コンテンツを掛け合わせて、プラットホームを展開しています。またこれからの時代に必要となる、DX人材の育成にも力を入れています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
弊社の強みは、一言でいうと「コミットDX」をテーマに、企業価値を高めるためのコンサルティングスタイルを徹底している事です。DXというと抽象的なイメージを持つ方が多いと思います。どこがどうなれば成果が上がったのか、ふんわりしていて非常にわかりにくい分野だと思います。
しかし、私たちは「売上をこの数字まで上げたい」「コスト効率をこの数字まで下げたい」などわかりやすいコミットメントをおこなっています。昨今のコンサルティング支援のほとんどがDXに紐づいているものであるため、このデジタル領域のコンサルティングを強化しています。
プロジェクトや新規事業における成果を数字ベースで明確化し、成果主義でコンサルティングを実施し、「ここでこういう効果を出す」というものを明確にしています。このように、成果を明確にしているところに他社コンサルとの違いがあると思います。
中堅・ベンチャー企業がもつ、これからの可能性
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
中堅企業やベンチャー企業に向けた経営コンサルや、DXコンサルをさらに発展させていきたいです。
もう一つは、コンサル業務自体をDX化していくこと。現在のコンサルティングは、意外とアナログな面があります。コンサルティング業界自体を変革させ、人がつくべき仕事にコストをかけてコンサルの質を高めていき、企業側が投資しただけの効果を提供できる仕組みを作りたいです。
また中堅企業やベンチャー企業に向けては、コンサルティング事業のグローバル化を進めていきたいです。現在の日本の社会の課題は「人が足りないこと」。そういった人が足りない部分の課題を、私たちがソリューションや仕組みを作っていくことで補えるようになればと思っています。
人手不足を過剰な労働で補うのではなく、外部の力を信頼して使ってもらえるようにしていきたいです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
企業が社会の課題を解決するものだとしたら、適切なサイズ感が大事だと考えています。例えば、インドや中国などでは、大きな道路や橋などを作る必要があり、大きな企業とたくさんの人材が必要です。
しかし先進国では、すでに大抵のものは揃っているので、そこまで大きな企業や多数の人材を必要としていません。中堅企業やベンチャー企業のようなオーナーシップが明確な会社の方が、社会的な共感を得やすくスピード感をもって課題を解決できるのです。
また日本は地域が課題を抱えている場合が多いので、地域のオンリーワン企業などが必要とされており、今後どんどん伸びていくと思います。今後は、そのような思いを持つ会社の時代になってくると信じています。
企業規模や表面的な条件ではなく、“世界を良くするかどうか”、“情熱や志があるか”という企業の本質にこだわり続け、コンサルティング支援を行っていきます。
--本日はどうもありがとうございました。
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