野尻 航太(のじり こうた)
株式会社Kiva 代表取締役
大学在学中に伝統工芸の刃物を飲食店に卸す営業代理店、合同会社Puenteeを立ち上げて代表を努める。その後、IT関連での起業を目指してウリドキ株式会社に入社。フィギュアに特化したEC「4real」を立ち上げて事業を売却。その後、世界に通じるサービスを作るため2020年株式会社Kivaを創業、EC事業者のための延長保証サービス「proteger」を軸に事業を展開している。
新型コロナウイルスの感染拡大や、誰でも簡単にECショップが作成できるサービスの普及によって、日本のEC(インターネット通販)市場は、拡大を続けています。それに伴いECサイトに向けたサービスを提供する企業も増えてきました。2020年設立の株式会社Kivaもその1つ。Kivaでは、ECで販売される商品に「延長保証」を付与するサービスを提供しています。延長保証サービスとはどのようなもので、EC事業者にはどういったメリットがあるのでしょうか。Kiva代表取締役の野尻様にお話をお伺いしました。
起業のきっかけはフィギュアの売買サイトの成功
----本日はよろしくお願いします。早速ですが、野尻さんが起業を志したきっかけをお聞かせください。
高校時代に書店で、起業に関する本を手にしたのがきっかけです。会社に雇われるのではなく、起業して会社を経営して生きていくことに興味を持ちました。以来、ネットで起業家の方のインタビュー記事などを調べては読むようになって「いつか自分も起業して経営者になる」と思うようになったのです。
大学在学中には、実際に日本の伝統工芸品を紹介する会社を立ち上げました。そして、これから起業するならIT業界だと思い、買取プラットフォームを運営するウリドキ株式会社に入ったのです。
ウリドキ株式会社では、フィギュアの真贋保証付き売買サイト「4real(フォーリアル)」の立ち上げを経験しました。これが好評で、事業譲渡にも成功したことが自信となり、今度は自分で起業しようと考えました。それで2020年12月にECサイトに延長保証サービスを提供するKivaを設立しました。
--EC向けの延長保証サービスとは、どういうものなのでしょう。
延長保証とは、メーカーの保証期間が終わった後の一定期間に、故障や不具合があった場合に交換や修理を無料で行うサービスです。iPhoneやMacにつけられるApple Care+のようなものといえばわかりやすいでしょうか。
Apple製のハードウエアには、製品購入後1年間の限定保証がついていますが、それ以降も有料のAppleCare+に加入して、保証とサポートをさらに延長できます。Kivaは、その延長保証のシステムをECサイトにも導入できるようお手伝いする会社です。
ECサイトの成功のカギは「アフターサービス」にある
--延長保証サービスを提供する事業について、改めてご説明ください。
弊社は、すべてのEC事業者が、有料の延長保証を提供できるようになる「proteger(プロテジャー)」というサービスを運営しています。protegerは、ECサイトで延長保証を導入することができるサービスです。
--protegerを導入することでEC事業者には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
Protegerを導入していただくと、次のようなメリットがあります。
1 商品以外の売上向上に役立つ
延長保証を有料販売した場合には、顧客が支払った保証料を事業者と弊社でシェアします。ですから事業者の方は、商品の代金以外に延長保証によっても売上を上げられます。
2 顧客にブランドへの安心感を与えられる
ブランドへの安心感を顧客に与えられます。それによってCVRが向上するという実例もあります。特に高価な商品では、延長保証によって顧客の不安を取り除くことができます。
3 延長保証で顧客の定着をうながす
延長保証に加入した購入者のリピート率は、非加入者の約2倍に増加します。延長保証は、顧客へロイヤルティーをもたらすため、次の購入でも選ばれる確率が向上します。
4 お客様対応をprotegerに任せられる
実際に顧客から保証申請があった場合には、protegerがチャットボットやメールで対応します。ですから、運用のリソースやコストが必要ありません。延長保証対応のすべてをprotegerに任せることができます。
--どういった商品を扱うECサイトに、延長保証サービスが向いているでしょうか。
protegerの対象カテゴリーは「家電」「ガジェット」「時計」「IoT機器」「かばん」「工具」「家具」「スポーツ用品」「アウトドア用品」「靴」などです。これらに当てはまらない場合でも、弊社の営業担当にご相談いただければ、延長保証サービスの導入を促進いたします。
--なぜ、このような延長保証サービスを始められたのでしょうか。
ウリドキ株式会社でECをやっていて、集客率やCVRを向上させることの難しさを実感したことが原点です。どうやったら集客率やCVRを上げる施策が打てるだろう、そう考えていて思い付いたのが、アフターサービスを充実させることでした。
ECサイトで、売上を増加させるには、顧客への細かな気配りが大切になってきます。実際に、ECではアフターサービスを充実させることで、レビューの評価が高くなり、新規顧客の購入につながります。そのアフターサービスの重要な施策として、延長保証サービスの導入がもっとも有効だと考えたのです。
メーカー保証期間が過ぎても、いいものを長く使いたいという想いや環境への配慮から、お金を払ってでも商品の保証期間を延長したいというニーズがあります。日本でも延長保証サービスを保険会社が行ってきましたが、大企業向けのサービスが中心で、中小のEC事業者は相手にされていませんでした。
そこで、EC事業者向けの延長保証サービスができれば、事業者にとっても顧客にとってもWin-Winのサービスになると考えてprotegerを開発したのです。
将来は海外にもECの延長保証サービスを
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
まだまだ事業を立ち上げたばかりですが、今後もprotegerを国内のEC事業者様に向けて、どんどんアピールしていきたいですね。また、ECだけでなくオフラインでの展開も考えています。さらに海外進出も視野に入れて、延長保証サービスを世界に広めていけたらと考えています。
弊社の課題は、営業のリソースが少ないことですので、今後は営業担当者の採用にも力を入れていきたいですね。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
ECサイトを立ち上げるときは、集客にばかりに目がいってしまいがちです。ですが、やがて新規顧客の開拓も、徐々に頭打ちになってくるのではないでしょうか。そんなときには、アフターサービスを強化することをご検討ください。顧客の満足度が高まり、ロイヤルティーの醸成にもつながります。
「売上が上がってきてから、アフターサービスの充実に取り組もう」と考えるEC事業者様もいらっしゃるかもしれません。ですが、目の前のお客様に満足してもらえなければ、ECでは売上が伸びません。アフターサービスを考えずに、目先の集客率やCVRの向上だけに集中していたら、穴の空いたバケツに水を入れているような状態になりかねないのです。
延長保証サービスで「お客様に購入の安心感を与えたい」「アフターサービスを充実させたい」とお考えなら、弊社の延長保証アプリ、protegerがお力になれるかもしれません。弊社ではカスタマーサポートのエンジニアが、導入のサポートも行っていますのでお気軽にご連絡ください。
--本日はどうもありがとうございました。
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