アフリカで日本の農業を広めて「日本の美味しい農業」を知ってもらいたい

アフリカで日本の農業を広めて「日本の美味しい農業」を知ってもらいたい

株式会社唐沢農機サービス 代表取締役 唐澤 健之

カテゴリ: その他、従業員数: 10〜49

2022.02.25

唐澤 健之 (からさわ・たけゆき)

株式会社唐沢農機サービス 代表取締役

東御市生まれの東御市育ち。高校卒業後、プロのスノーボーダーになるため、世界中のスキー場を巡り、スノーボード漬けの日々を過ごす。その後、知人の紹介でカメラレンズのベンチャー企業に入社。その経験から経営や起業にも興味が湧き、「自分で事業を起こしたい」という気持ちが強くなる。26歳のときに「次に何かやるなら田舎に帰ってやろう」と決意。地元で父が農機具の修理工場を営んでいたため、弟と二人で後を継ぎ「株式会社唐沢農機サービス」として法人化。農家が儲かるにはどうしたらいいか、という考えのもと、マーケティング事業も展開中。

 

 

いまだにIT化の流れが普及せず、旧来の形態を維持し続けている農業業界。そんな農業業界に一石を投じるべく、農機のインターネット上での販売に着手している株式会社唐沢農機サービス。「誇りと証」という企業理念をもとに海外進出も行なっている同社の代表取締役唐澤氏にお話をお伺いしました。

 

 

父の後を継ぎ農機具会社として起業

 

 

 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、唐澤さんが起業されたきっかけをお聞かせください。

 

高校を卒業した後、すぐにウインタースポーツのスノーボードをやるためにカナダのウィスラーに行きました。そこから直接ニュージーランドに行くということを2年ほど続けていました。

 

ただ、周りが就職し始めた段階で、とある人がスタートアップで携帯電話のカメラの開発を始めるということで、一緒に参画させてもらいました。それが20歳から26歳ぐらいまでの時です。ガラケーの全盛期でNECやサンヨーが主流だったときに、携帯電話のカメラに搭載させていただき、一気にベンチャーから上がっていき、最後はM&Aされました。 

 

26歳の時に、自分で起業したいと考え、その会社を辞めて起業しました。そこで、父が個人事業としてやっていた農機具修理工場の後継ぎをし、法人化しました。

私は、26歳まで勤めていた会社での経験が特別役に立ったというわけではありません。他の企業の代表者さんも、そのビジネスでなくても成功してるだろうという人はたくさんいると思います。業種や業態は関係なくて、素直な気持ちと成長力、それをどうにかしたいという想いがあれば、この業界ではできると思います。

 


「誇りと証」を胸に農機販売のEC化を当たり前にしたい

 

 

--現在農機具事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。

 

長野県の東御市にある唐沢農機サービスといういわゆる農機具屋です。農家さんが使う農機具の販売・修理をしている会社です。私の父が個人事業主として始めたのが平成4年になります。そこから平成19年に私が事業継承して株式会社化しました。私と弟が一緒にやり始めて、そこからはいろいろ事業展開があり、インターネット事業にも参入しました。

 

現在は、大きく2つの事業を展開しています。

 

1つ目は、農業機械のマーケットプレイス“ノウキナビ”事業です。対面での農業機械販売・修理・レンタルも行なっています。

 

2つ目は、ノウキナビのコンテンツ制作を手がけながら様々な業種のクライアントのWebサイト制作やWebコンサルティング等を提供するWeb事業です。

 

この2事業のシナジー効果で、農業の業界でアナログ×デジタルの融合を目指しています。

 



--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。

 

企業理念は「誇りと証」です。会社で働く従業員には、家族や友達に誇れる仕事をしてほしいと思っています。自分が何か成し遂げた、自分の力で新しいプロダクトができた、何かサービスができた、何か残せたっていうことは良いなと思います。そのために「誇りと証」という理念を掲げています。 

 

 

--ホームページを拝見し、「挑戦が世界を変える」という言葉がありました。この意味合いを詳しくお伺いしたいと思います。

 

挑戦が世界を変えるというのは、挑戦した人にしか成功も失敗も与えられない、ということです。私たちの農業界は「これからどうなるの?見るのはおじいちゃんとおばあちゃんだけでしょう?」と言われますが、そういうことを言う本人の朝食は、みんな農業でできているんですよね。そういうところに一石を投じないと、無理か無理じゃないかということはわからないです。 そういう思いを込めて「挑戦が世界を変える」という言葉にしています。

 

 

--若手の方で法人化して農業関連の事業をやられてる会社さんも増えていますが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。

 

日本で若手がスタートアップしていくかどうかは、そこまで重要ではないと思っています。理由は、日本の国土は世界の2%しかなくて、日本の人口が減り続けているからです。これは事実として変えられないことだと思っています。

 

ただ世界の人口は増え続けていて、増え続けていく人々が生きていくために必要なのは食です。食を支えるのは全部農業です。スタートアップは世界を見据えてビジネスをするという目線が、私は必要だと思います。 

 

若手の農家さんに多いのが、「良いものを作って中国・香港の富裕層に食べてもらいたい」という思いですが、もうそんな時代ではないと知った方がいいです。今は日本の物価が変わらないのに対して世界の物価が上がってるので、世界から見たら日本のマーケットは安いです。以前は東南アジアが安いから観光に行ってたことと同じです。マーケットを客観的に見る思想が必要です。

 

 

--貴社の強みを実績も踏まえてお聞かせください。

 

日本国内のマーケットで農機の市場は、新品の農機においては経産省から出ている試算を見ると、年間3,000億円です。その3,000億円のうち、0.5%しかEC化されていません。EC化されていないということは、インターネットで買えないものはない時代であるにもかかわらず、日本の農機はインターネットを介して購入できない商品が圧倒的に多いのです。

 

私たちはウェブマーケティングをしていますが、ネット上に載ってないものは世の中にないものと同じです。皆さんはわからないものや知らないこと、これ欲しいなと思った瞬間にネットで調べます。そうなるとネット上に載ってないことは世の中にないのと一緒です。全商品をインターネット上に載せて、まず買える世界観から進みましょう。買える世界観を作った後にどうコンテンツ化していくか、というところが我々の圧倒的な強みです。 

 

今後メーカー自体もDtoCに変わると言われています。ダイレクトにコンシューマー向けに売らなくてはいけないと言ったときに、おそらくメーカー自体も売るためにマーケティングをしなくてはいけない。その上でプラットフォームを使わなくてはいけない。それが楽天なのかAmzonなのかはわからないですが、専門職に特化すればするほど、そういうプラットフォームを使わざるを得なくなってきます。それができるというところが弊社の圧倒的な強みです。 

 


アフリカに日本の農業を届けたい

 

 

 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。

 

商船三井さんと提携をしておりまして、今はアフリカのマーケットに挑戦しています。なぜアフリカかというと、社会的課題を解決するSDGsへの全世界的な取り組みや、これからアフリカの人口が急増するところに目をつけたからです。

 

2050年までに、アフリカの人口は25億になると言われています。世界人口が100億人に対して25億人、つまり4人に1人はアフリカ人になります。今はケニアを攻めているのですが、アフリカって大丈夫なの?と思われる方も多いと思います。ですが、実際は日本より遥かに発展しています。

 

ケニアは日本より携帯電話普及率が高いですし、GDPの50%はモバイルマネーで決済されています。私も実際にケニアでケンタッキーを食べたのですが、1食1,000円ぐらいで、日本とほとんど変わりません。1,000円で食べられるということは、1,000円で食べられるアフリカ人がいる、それが現実です。

 

 

--日本製品をアフリカに輸出するというプロダクトになるのでしょうか。 

 

私が行いたいのはアフリカや世界の土地で日本の農業をしたいということです。一番の理由は日本の農業は技術革新をしていて、米は200種類ぐらいあるなど、美味しいものがたくさん作られているからです。

 

農業の世界では、その土地に合わせた反収、0.1ヘクタール当たりの収益性を図るわけですが、そういう技術的に革新している日本の農業をアフリカの土地でやりたいと思ってます。それで、結果的にアフリカから見たら日本式農業をやるので日本の農機が選ばれる、というロジックです。 

 

 

--アフリカで日本の農業ができるのか、気候的な問題はないのでしょうか。

 

植物は太陽と水と土があれば育ちます。それらはアフリカにも当然あります。植物の生育は積算温度で決まり、コシヒカリの場合、苗を植えてから芽が出てから毎日温度を積算していって、それが1,000度になったら収穫できます。ケニアのような赤道直下では光合成の時間が長くなればなるほど、生産時間が短くなります。

 

そのため、日本の農業ができないわけではなく、現在もケニアでは研究用にコシヒカリが作られています。また、アフリカでは65%から70%が農業従事者で、農機を使う可能性がある潜在的な人口が日本とは全く違います。

 

 

--ありがとうございます。

最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

 

海外マーケットに攻めていきたいメーカーさんとパートナーを組みたいです。世界の人口の多くを占めるアフリカ系の人をターゲットにしていきたいと考えています。

日本の農機は合わなかったりするので、農機を売りたいわけではありません。日本より発展していて、もっと農業を展開でき、携帯電話の普及率も高い、そんなアフリカで日本の農業の技術を伝えていきたい。

 

 

--本日はどうもありがとうございました。

 

 

株式会社唐沢農機サービス

https://www.karasawanouki.co.jp/renewal2020/

 

 

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