内野 匡裕(うちの・まさひろ)
株式会社彩ファクトリー 代表取締役
2002年に日本IBMシステムズ・エンジニアリング株式会社に入社。退職前の1年ほど、シェアハウスに住むことになったのをきっかけに起業を志す。起業するに当たってスキルが必要だと感じ、ベンチャー企業への転職を決意し、株式会社ドリコム、株式会社マイネットジャパンで経験を積む。その後、2009年に個人事業主として彩ファクトリーを設立。2012年に法人化を果たす。
社会で一般化してきたシェアハウス。現在は様々なシーンでご利用頂けます。しかし、シェアハウスが普及しだした当初は、お金がない人がたどり着く場所だったと言います。そのような中、シェアハウスにプライスレスな価値を感じ、シェアハウスのイメージを変えるべく、「コンセプトシェアハウス」を運営する株式会社彩ファクトリーの内野様にお話をお伺いしました。
シェアハウスで様々な思想に触れ起業へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、内野さんのご経歴と、起業されたきっかけをお聞かせ頂けますでしょうか。
2002年に日本IBMシステムズ・エンジニアリング株式会社に入社し、大規模チーム開発効率化コンサルティング、銀行系Webシステム開発、IBM開発プロジェクト向け新技術研修の開発・講師を担当しました。同社に勤務した5年のうち、退職前の1年ほど、シェアハウスに住むことになったのです。
シェアハウスで様々な職種の方や起業家の方と触れ合う中で、今後の選択肢として「起業」を考えるようになりました。起業するに当たって足りないピースを集めるために、武者修行としてベンチャー企業に入社することを決意し、2007年に株式会社ドリコムや株式会社マイネットジャパンで経験を積みました。そして、2009年に個人事業主として設立したのが彩ファクトリーです。今ではコンセプトシェアハウスを17棟プロデュースしています。
「安宿」を「コンセプトシェアハウス」に。プライスレスな価値を提供
--コンセプトシェアハウスで起業しようと思った理由を教えてください。
起業当時、シェアハウスは「安宿」でお金がないから仕方なく住んでいるというイメージが一般的でした。しかし、実際にはいろいろな職業の大人たちが生き様を語り合うことで視野が広がっていく、とても美しい光景が広がっていました。
私自身も実際にシェアハウスに住んでいた時に、血の繋がりのない他人が一緒のコミュニティで家族のように語り合っているのを目の当たりにし、感動しました。これほど美しい光景はないと思えるような瞬間でしたが、世間のイメージのためにシェアハウスに住んでいることは恥ずかしくて言えないというのが実情でした。
自分は価値を感じているのに、社会的なイメージが低いことに疑問を覚え、このギャップを埋めるためにデザイナーズシェアハウスや起業家シェアハウスなどコンセプトを掲げることで、節約のために利用するシェアハウスではなく、自分の人生を前に進めるための体験のためのシェアハウス、シェアすることで高め合うという価値観を広めるためにコンセプトシェアハウスに特化しようと思いました。
--貴社の企業理念に『人と人を繋ぐ』がありますが、こちらの理念に込められた想いとはなんですか?
多くの人に夢や目標を持ってもらいたいとの思いを込めています。ものが豊富な日本の中でなぜ今が幸せだと思えていない若者が多いのかという疑問から全てが始まりました。
シェアハウスに感動したポイントの一つに「視野が広がる」があります。私自身、視野が狭くてもがき苦しんだ若手の1人でした。いい大学を出ていい企業に勤めて、その中でステップアップしていかなければいけないという強迫観念に囚われ、このレールを踏み外すと後戻りはできなくなると常に悩んでいました。
しかし、シェアハウスにはフリーランスの方も多く在籍していました。彼らとの交流を通して気づいたことは、それを解決するのは自分自身が視野を広げ捉え方を変えること、いつどこで何を選んでも自分次第で幸せになれるということです。この感性を多くの方に広めることで「挑戦なんてしてはいけない。夢をもってはいけない」という考え方を変えるのが使命だと感じております。
--現在、起業家シェアハウスや英会話シェアハウスを運営されていますが、業務内容について詳しくお伺いできますか?
世の中にないものを作り出そうをコンセプトに起業家、会社員、学生をターゲットに取り組み、メンターを含めて240名の方とのコミュニティの中で事業相談をしていくことができます。また、入居者同士で相談はもちろんイベントの告知などが容易にできるコミュニケーションツールも用意しており、セミナールームやイベントスペースを用意しておりますので、起業家同士の交流会や勉強会をすることも可能です。
現在は東京に40室、京都に30室を構えており、この事業は昨年、総務省のプロジェクト(イノベーション)の協力拠点として認定されました。
起業したい大学生、若手起業家、ベテラン経営者など幅広い方々に参加していただいています。学生の場合、就職する前に、独立した場合と就職した場合を比較でき、人生設計をクリアにできます。また、起業家や経営者の場合、自身の成功体験をフィードバックすることでセカンドライフの価値とするなど、win-winの関係を築けます。
--具体的にどのような空間を提供しているのですか?
尊敬できる方々の近くで仕事することによりお金では測れない体験や学び、刺激、感動を得ることができる空間です。
同じ釜の飯を食べていると自然とお互いの信頼関係が深くなります。弊社のシェアハウスでは共有スペースなどでこれから行いたい事業などのプレゼンを行ってコミュニケーションを日々重ねることで、成長速度を高め合うことができ、他にも重要な人物を紹介するなど、様々な面で助け合いが可能です。
コニュニケーションツール、オンラインサロンがあるほか、入居者だけの深い会話を楽しむ交流パーティーと外部の起業家との交流パーティーも設け、さらに自身の今後の事業計画の発表やその課題について意見交換する機会もあります。また、シェアハウスOBで事業に成功した方を招き、どのように苦難を乗り越え成功の道を切り開いたのか講演してもらうこともあり、新たなビジネスの発見や協業が生まれることもあります。
--英会話シェアハウスについても内容を教えていただけますか?
英会話シェアハウスでは、常に入居者の30%〜40%が外国人となるように運営しております。週2回、外国人講師による講義が受けることができ、学んだことをすぐにアウトプットする機会があります。共用のラウンジスペースもあり、外国人の方と英語での会話を楽しむこともできため、生活に英語を落とし込むことができます。
講師は各物件に2名配属させているのですが、この講師は弊社の条件にマッチした方を業務委託という形でスカウトしております。起業家シェアハウスも同様なのですが、弊社では優秀な人材をスカウトし、ノウハウを共有していただいています。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
弊社の強みは自己成長したいと思う属性の方と非常に強い信頼関係を持っていることです。
さらに、ご紹介した起業家向けのイベントなどは経営側にとっては非常に手間がかかりますが、弊社はそのような一見面倒なことに楽しんで取り組めることも強みです。それは、入居者が『プライスレスな体験』を得られるための仕組みの設計をすることが、ファシリテーションに情熱をもってくださる方を増やすことに直結するためです。
また、他社では年齢制限を設けている企業も多いですが、弊社ではそのような規制はなく、60代の入居者もいます。世代の垣根を越えてコミュニケーションを図ることで新たな発見を生み出しやすい空間を作っています。
収益構造としては、建物ごとにオーナーを募集しており、入居者が支払う家賃から弊社が既定の利率の賃料をいただき、残りはオーナーに支払う仕組みを採用しています。最近では、オーナー様からの依頼で、使われなくなった社員寮をシェアハウスにリノベーションするケースが多いですね。オーナーにとって固定資産税を払うだけのマイナスの資産を、プラスの資産に変えることができます。
コンセプトシェアハウスを日本から世界へ発信
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
都心部だけでなく地方にも展開し、多くの人に機会を与えたいですね。
単身者向けだけではなく、ファミリー用やカップル用などにも物件開発するなど事業の幅を広げることも考えています。
また、シェアハウスという概念は海外から入ってきましたが、シェアハウスでお互いを高め合うという価値は日本で生まれました。今度は逆に海外にこの価値を広めたいとも思っています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
弊社では起業家との交流や外国人との交流があるため、経営スキルの向上や語学力アップを図れます。現在では法人契約をされる企業様も多く、弊社のシェアハウスを社宅として利用されることも多くなってきました。社員に成長の機会として、また福利厚生の向上のツールとしても弊社をご利用いただけますと幸いです。
--本日はどうもありがとうございました。
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