村本 彩(むらもと・あや)
irodori Branding株式会社 代表取締役
九州大学を卒業後、2005年にサントリー(株)(現サントリー HD)に新卒で入社。3年間営業職として働き、その後はマーケティング部門のブランドマネージャーとして10年ほど酒類の新商品開発・ブランド育成に携わったのち2018年に独立。
著書に『「個人」「小さな会社」こそ、ブランディングで全部うまくいく』
「人やモノやサービスにはそれぞれ輝くべき場所がある。それぞれが最も輝く場所を見つけ、届けたい相手にとっての価値や魅力へと変えていく。ブランディングの力で『もったいない』をなくしたい」、そんな想いで成長を続けるirodori Branding株式会社。代表取締役である村本氏にお話を伺いました。
誰にとっても必要な、ビジネスや生きる上での本質に関わるもの
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、村本様が起業されたきっかけをお聞かせください。
私は大学卒業後、2005年に新卒でサントリー(株)(現サントリー HD)に入社し、営業・酒類の新商品開発・マーケティング戦略に携わるブランドマネージャーを経て2018年に独立し、現在のirodori Branding株式会社を設立しました。
ブランドを育てるという経験を踏まえて起業をしたという形になります。
--ブランディングの会社とはどういったものなのでしょうか。
ブランディングは、想いを持って生み出された商品やサービスが世の中から消えないように、本来持っている魅力を正しく伝えるためのスポットライトの当て方を考える仕事です。
ブランディングと言うと、「盛って、良く見せること」「高級品がやることでしょう?」「敷居が高そう。意識の高い人がやるもの」そんなイメージをお持ちの方が多いように感じます。
でも本当は、誰にとっても必要な、ビジネスや生きる上での本質に関わるものです。
サントリーで働いていた時は、TVCMや電車広告といったマスマーケティングによる商品ブランディングを行っていましたが、現在は個人の方や中小企業様がWEBを通してブランディングを行い、商品やサービスを広げていくお手伝いがメインとなっています。
--大企業のブランディングとの違いは何かありますか?
個人や小さな会社の場合、商品やサービスと、それを提供している人との距離が密接です。そのため、商品やサービスが売れる・売れないということが、自分の存在価値を認められたり・否定されると感じることも多く、心を置き去りにブランディングはできないんですよね。
心を大事にブランディングのサポートを行うというのが一般的なブランディングとの一番の違いでしょうか。
--イメージとしてはコーチングに近い形になるのでしょうか。
要素としては半分程度はそういった部分もあるとは思います。コーチングとコンサルティングを状況に応じて使い分けているといった形でしょうか。
--最終的な起業の決め手となったものはあるのでしょうか。
私には2人の子供がいるのですが、1人目の出産をした後に、念願だった新商品開発部という部署に復職をしました。そこで、ゼロから新しいブランドを生み出すというプロジェクトを担当したのですが、その商品がまったく売れなかったのです・・・。
すごく想いを込めて作った商品だったのですが、すぐに終売が決まり販売ストップとなってしまったのです。その時に「自分にはもう少しやれることがあったのではないか?」という無念さや不甲斐なさ・悔しさを強く感じました。
その経験から、たとえいいものを作ったとしても、どこをどう切り取るかによって物が売れたり売れなかったりというのは本当に紙一重なんだなと痛感しました。想いを持って生み出した商品が、陽が当たることなく消えていくのは本当に切ないのですが、会社という環境上、数字が伴わなければ続けられないという側面もあります。
あの時の自分のような想いをする人を少しでも減らしたい、頑張っている人や企業を応援したいという思いが最終的なきっかけかなと思います。
ブランディングは「自分たちの価値を見出すスキル」
--現在取り組まれている事業について詳しくお伺いできますか。
個人の方や中小企業様がWEBを通してブランディングを行い、商品やサービスの認知を広げて売上を伸ばしていくために、講座やコンサルティングを通してサポートを行っています。
売上を作っていくためには、マーケティングの戦術的な視点も必要となります。
ただ、どんなに戦術を練っても、商品やサービスの一番のウリや価値のポイントを見誤っていては戦術も活きないんですよね。ですので、まずは光を当てるポイントを慎重に見つめ直していきます。
それを、キャッチコピーやビジュアルで一瞬で目に止まり、価値が伝わるものへと集約していきます。その先に、売上に着地させるための道筋を設計し、プロモーションを行っていきます。
--もう一段階上のステージ、さらなる発展を目指すためにはどのようなことが必要とお考えですか。
1つは、社内にマーケティング部門がないような企業様にマーケティングやブランディングの考えを導入していただき、事業を発展させていくことの支援をやっていきたいです。
もう1つは、ビジネスを越えた領域で、「自分たちの価値を見出すためのスキル」としてブランディングの考え方を広げて行けたらと思っています。
例えば、自分が所属するコミュニティの中で自分自身の長所や短所を見極めたり、どうすれば自分を活かすことができるのか?といったことを考えたりする際にも役立ちます。
日本人は自己認識力が低く、かつ外に対するパフォーマンスが苦手な方が多いですよね。ですが、自己認識力を上げて他者認識とつなげていく力というのは、今後一層必要で重要な力になってくると考えています。
教育現場や人材育成の現場にもブランディングの考え方を応用させていくということも、長期的には取り組んでみたい分野です。
人と人との絆を深め、ビジネスにもっと温もりを
--村本様の今後の展望についてお伺いできますか。
ブランディングは大きく2つの側面に分けられます。
1つは、お客様や市場に向けて、商品やサービスの魅力や価値を伝えていくマーケット向きに行っていくもの。
もう1つは、インナーブランディングと呼ばれる社内向けのもの。組織やチームの中で一緒に働く人たちが、自分たちの会社や商品・サービスに価値を見出すことにより、強い結束で同じ方向に向かって進むことができるようになります。
どちらも事業にとって大事なもので、私はブランディングというのは人と人との「絆」であると考えています。
売上もお客様との絆が強くなった結果として上がっていくもの。そう考えると、ビジネスは心の通ったとても温かいものだと感じられるのではないでしょうか。
ブランディングを通して、ビジネスにもっと温もりも与えられたら嬉しいなと思っています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか。
マーケティングやブランディングといったものがどういったものかイメージが難しい、導入をしてみたいがどうしていいか分からないとお考えの個人様や企業様がおられましたらぜひ一度当社へご相談ください。
--ありがとうございました。
irodori Branding株式会社
Professional Onlineでは無料で経営者インタビューに掲載いただける方を募集しています。
お問い合わせフォームよりご連絡ください。
プロフィール
村本 彩