舩越 裕勝(ふなこし・ひろかつ)
株式会社インターパーク 代表取締役社長
1973年生まれ、北海道出身。湘南工科大学機械工学部卒業後、新卒で株式会社ムトウに入社し、子会社である株式会社エムエムアンドニーク大阪支店に配属。医療用のレーザーやメスを医療機関と共同開発・販売。その後、一般財団法人札幌市環境事業公社での技術担当員を経て、2000年にインターネットとの出会いをきっかけに大学時代の友人と有限会社それゆけ僕らの有限会社(現:有限会社ソレボク(長野県))を共同経営。2001年に札幌で起業。現在まで社会に役立つインターネットの活用法を模索、進化し続けている。
日常生活でのスマホ、業務でのパソコン、それを支えるインターネットは現在の世界になくてはならないものですが、実は誕生してまだ30年余りです。ビジネスシーンでのインターネットの活用法や収益化できるビジネスモデルが確立されていなかった2000年にインターネットの可能性に惹かれ、20年以上インターネットサービスを開発してきた株式会社インターパーク代表取締役社長の舩越さんにお話を伺いました。
普及期にさしかかったインターネットビジネスの可能性に惹かれ、IT業界で起業
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、舩越さんのこれまでのご経歴と起業されたきっかけをお聞かせいただけますでしょうか。
1996年に機械工学系の大学を卒業後、株式会社ムトウという医療用機器の販売メーカーに入社しました。配属されたのは子会社である株式会社エムアンドエム(現:株式会社エムエムアンドニーク)の大阪支店です。最先端テクノロジーを利用して医療機器の自社開発を受け持っている会社で、医療用のレーザーや超音波メスなど医師と一緒に研究・開発して販売していました。
その後、将来的により発展する可能性のある仕事がしたいと1998年に転職。地元の札幌に戻り、一般財団法人札幌市環境事業公社の技術職員として採用され、ビン・缶・ペットボトルの分別・資源化の施設の技術担当員として約2年半勤務しました。ただ、自分の適性はこの立場では活かせないのではないかと常に感じており、簿記や大型特殊免許など様々な資格を取得したのですが、やりがいを見つけられずにいました。
そして2000年、大学の友人同士で会社を起業しようという話が持ち上がりました。まだISDNでインターネット使い放題がない時代、長野県諏訪地域ではケーブルテレビを利用してインターネットが使い放題であると聞き、面白い環境だと考えました。そして、それ行け僕らの有限会社(現:有限会社ソレボク)へ「独立することを前提に1年だけやる」と決めた上で経営に参加しました。地域に根差した飲食店情報サイトを作ったり、クライアントのHPを作ったり、システム開発をしたり。普及期のインターネットビジネスの中で知識や経験を積みました。
その後、2001年に札幌に戻り、インターネット事業を行う株式会社ちえぶくろを起業。起業前には、事業の方向性を決めるために、札幌でインターネットビジネスを立ち上げている経営者にアポイントを取ってインタビューをしました。そのときに分かったことは2001年当時、インターネットで収入を得るビジネスモデルは誰も作れていないということでした。
そのため、ビジネスモデルは自分たちで構築するしかないと、ブログサイト、検索サイト、中古車業界向けサイトなど、試行錯誤で研究開発を続けました。ただ、札幌だけでビジネスをするのは難しく、サービスは東京の基準で作らなければならないと確信、起業して5年目ぐらいから東京に来るようになりました。
「何がビジネスモデルの中で必要か」を常に考えながらサービスを研究・開発
--現在展開されている事業について、詳しく教えていただけますか。
現在の事業の柱は3つのサービスです。
・見込み客を増やすマーケティングツール「クラウドサービスサスケ」
「商談前の見込み客の導入意欲を高める」ことに特化したクラウドサービスで、1,000社以上のインサイドセールス支援・導入実績があります。
契約は最初にクライアントと接触があった後、どういう接点を持っていくかで決まります。その接点(誰と、何回、どういう機会で)を社内で共有・管理して点数化し、MAとリアル、オンラインとオフラインを繋げてリードデータの一元管理ができるシステムです。
2009年にサービスを開始したサスケはバージョンアップを重ね、現在90以上の機能があります。インサイドセールス機能やデータの登録・統合機能以外にも、名刺の自動入力やWEB行動解析、マネージャー向けのスタッフの稼働集計や、営業向けの日報記録(案件・商談管理)など多彩な機能があり、リード→SFA→CRMという社内のビジネスシーンの連携を可能にします。
・仕事で使う050電話アプリ「SUBLINE(サブライン)」
スマホにアプリをインストールするだけで仕事用の電話番号が持てるサービスで、10,000番号の発行実績を持っています。
「クラウドサービスサスケ」の認知度が上がり、クライアントからの要望が叶えられるサービスになった段階で、他のサービスを生み出したいと社内で議論する中から生まれました。サスケに含まれているクラウドCTIというインターネット電話の仕組みをヒントに生まれたサービスで、申し込みから5分以内で番号が取得できて、1番号300円で電話番号が持てます。
当初は売上が広告宣伝費の4分の1という赤字からのスタートでしたが、現在は収益性が上がり、このサービスだけで年商1億を突破しました。
・誰でもオリジナルアプリを再販・直販可「サスケWorks」
2020年に開発した、ノーコードWEBアプリ作成ツールです。プログラミング言語を知らなくても、ドラッグ&ドロップでアプリを作成・販売できます。
世の中には多数の業務効率化アプリがありますが、「複雑な機能はいらない、Excelより少し使いやすいものがほしい」というマーケットは一定数あります。そんな現場のニーズに対応した業務効率化ツールを低コスト、短期間で作成・運用できるツールです。
また、アプリを作る能力はあるものの、販売に関しては知識や経験がないというエンジニアを支援することで、DX(デジタルトランスフォーメーション)で収益を得られる人が増えればという狙いも持ったツールです。
--魅力的なサービスばかりですね。営業活動はどのようにされているのでしょうか。
自社サービスは自社営業がメインです。特にリアルで見込み顧客と出会える展示会に力を入れています。弊社のツールは展示会と相性がいいようで、見込み顧客が直接弊社とコンタクトを取ってくれるので、テレアポや広告などからでは出会えない方との出会いがあるので良いですね。
弊社のブースにいらっしゃる方は、既に課題を抱えていらっしゃることが多いので、展示会での成約率も高めだと思います。ただ、展示会でお話を伺い弊社のサービスを説明したからといって、すぐに契約が決まることはあまりありません。
「クラウドサービスサスケ」で各展示会に出展していると、何度もお会いするお客様がいらっしゃいます。「前回の悩みはこれ」、「今回の悩みをこれ」と話をお伺いするうちに、大体いつ頃どのようなサービスを導入されるかが分かりますね。例えば、3年前にお会いした方が今年の展示会で決めてくださる、というように。このようなデータ分析ができるのも、弊社のツールの強みです。
--「強み」という言葉が出ましたね。あらためて、貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
弊社のアイデンティティは、新しいサービスをゼロイチで作る研究開発の技術力だということです。ゼロイチで開発する。「価値を感じていただくサービス」を作ることに関して妥協しない、そのために何がマーケットで求められているのかを考えながら、ゼロからサービスを作る開発メーカーとしての技術力が一番の強みだと思っています。
弊社にお越しくださるクライアントは組織内のデータの一元管理に悩んでいる、もしくは、導入しているシステムが複雑すぎて利用しきれていない、そんな悩みをお持ちの方が多いです。クライアントの課題や悩みに寄り添って、解決につながるサービスを提供し続けるために、常にサービスをバージョンアップし続けています。
そのために、「新しい発想、研究開発を一緒にできる人を作っていく」ことにも注力しています。つまり採用と育成ですね。できるだけ新卒を採用して会社の未来に投資しつつ、企業としての成長スピードを支えるには新卒だけでは間に合わないため、中途採用で戦力を補強する、そして、彼らに企業文化を育成していく。属人的だけではなく、考え方まで含めた育成システムのような仕組みも作らなくてはと思っています。
「潜在的なモノゴトの本質を見極め新たな価値を創造する企業」を目指し、進化し続ける
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
本質を見極める力を養って、新しいサービスを生み出し続けたいですね。
弊社のサービスは現在は全てサブスクリプションモデルです。まだ世の中、リースで事務機器などモノを売っている時代。その中で弊社は受託開発を実施しながら、並行してサブスクリプションで「クライアントを1件ずつ積み上げる」ビジネスモデルへ徐々にシフトしていきました。もちろん会社として、何度も危機に面した時期もありました。しかしながら、乗り越えるたびに次のステージに進んでいきましたね。組織体制、サービスのあり方、人とお金のバランス、どんな状況でもクライアントのために安定した経営を継続できるビジネスモデルが必要です。そのためには、常にクライアントに必要とされるサービスを提供し続けなければダメだと心がけています。
私たちインターパークは進化し続けます。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
現場の声を聞いて、一度弊社のサービスを試していただければ、と思います。
弊社の全てのサービスには特徴があり、「現場が使いたい」からと管理部門に掛け合って導入してくれることが多いです。経営者や管理部門が求めている情報を集めるツールもありますが、ビジネスを動かしているのは現場だと考えています。現場がクライアントのためにデータを管理し、また現場の効率化に向けて自分たちのために使えるツール。それらが弊社のサービスには揃っています。
課題や悩みがありましたら、まずはご相談ください。どんなサービスが貴社に必要なのか、どんなツールがあれば現場が助かるのか。一緒に考えながら、貴社にとって価値のある仕組みを提供できるようお手伝いいたします。
--本日はどうもありがとうございました。
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