佐藤 豪(さとう・ごう)
株式会社インターバンクHD 代表取締役社長
新卒で入社した証券会社で商品先物取引の新規営業、外国為替の商いの営業を経験。退職後の海外旅行で自らの知識をもとに外貨両替をした経験から、マーケットの大きさとビジネスの可能性を感じ、2005年12月に有限会社インターバンクを設立、代表取締役社長に就任。
キャッシュレスが進んだとはいえ、海外旅行に行く際は事前に銀行や空港の両替商の店舗などで日本円を外貨に両替してから出発する方は多いのではないでしょうか。それらは外貨をキャッシュで入手する定番の方法ですが、実はより有利なレートで両替ができる方法があるのです。インターネットを利用し、より有利なレートで外貨両替ができる株式会社インターバンクHD代表取締役社長の佐藤様にお話を伺いました。
お金を扱うビジネスとして最も大切なのは信用
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、佐藤さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
大学卒業後、証券会社に入社し、2年半勤務しました。はじめの1年は商品先物取引の新規営業、続いて外国為替(FX)の部署で商いの営業を1年半経験しました。特に商品先物取引の新規営業は大変で苦しかったですね。しかし、その経験からいかに新規のお客さまを集めることが大切かを身を以て感じ、結果を出すことの重要性を実感できたことも現在の事業にも役立っています。
外貨両替事業を営むインターバンクを立ち上げたのは2005年12月です。会社を設立してから16年、その前の証券会社での外国為替の部署に在籍していた期間を含めると、為替の仕事は18年の経験があります。
会社を辞めたのはワーキングホリデーをするためでした。しかしその前に、海外旅行をするなかでホノルルマラソンに出場したいと思い立ったのです。そこで、自分の知識をもとに安く両替できないか調べると、銀行や両替商を通すよりも安く外貨を入手することができました。その時、この方法は一般には知られていないために競合もいないものの、大きな市場があるのではないかと気づいたのです。それが弊社を設立するきっかけでした。
もともと起業に興味を持っていたわけではなく、身近に経営者もいませんでした。しかし、自分の経験を活かせると思い、外貨両替の事業を始めることにしたのです。ところが、はじめはインターネットで集客を図ろうと考え、Web広告を出してもなかなか結果が出ませんでした。続けてオフラインの広告も試しましたが、成果が得られない時期が2年ほどあり、他の会社でアルバイトをするほど追い詰められ、挫折しかけたこともありましたね。
インターバンクという会社名は外国為替市場を指す言葉からとりました。会社名として使っても良いのか迷いましたが、帝国データバンクなどで同一名称の企業がないことを確認し、最終的には登記もできたので問題なかったようです。
弊社の企業理念は「信用で作る感動グローバル企業」です。振り返ると、設立当初に集客に苦労したのは信用がなかったからでしょう。お金を扱う以上、信用は最も大切です。弊社の公式サイトでも積極的に情報を公開し、信用していただけるように努めたことで、現在はリピーターも多くいらっしゃいます。
日本全国へインターネットを通じ、どこよりも有利なレートを提供
--貴社の外国為替事業について、改めてご説明をお願いいたします。
弊社は、インターネットで営業している外国通貨両替商です。弊社では、ユーロ・ドル・アジア通貨などの17通貨を、銀行や空港の店舗よりも安いレートで両替できます。創業当時と比較すると競合他社は増えましたが、両替レートの良さは負けません。その理由は、中間業者のコストがかからないことと、パイオニアならではの資金調達力にあります。また、日本全国へ郵送で外貨・日本円を送る通販にも対応しています。
日本では、店舗での外貨両替とインターネット通販を比較すると件数シェアは半々ですが、金額シェアは1回あたりの取引額が大きいため、店舗の方が高くなっています。しかも、コロナ禍以前は弊社の競合他社は多く存在していました。しかし、現在は競合のほとんどが外貨両替事業から撤退していますので、弊社はインターネット外貨両替商としては優位なポジションに躍り出ることができています。
--貴社の独自性や強みを教えてください。
弊社の強みは、毎日変動する外国為替市場に対応できること、粗利が1%以下である外貨両替の世界を生き抜くために必要な一定規模以上の資金力があることです。為替の動きを読み間違えれば、損を被ったり失注したりすることもあり得ます。弊社では、受注の取りこぼしを防ぐため、レート・在庫力・スピードを重視していますね。
また、先ほども少し触れましたが、弊社は現在インターネット外貨両替商としてはかなり優位なポジションにいます。新型コロナウイルスの流行による外貨両替業界への影響は大きく、コロナ禍で日本発の海外旅行の需要は99%減少したと言われています。弊社の業績も新型コロナウイルスの流行が始まった直後こそ厳しかったのですが、ある時から競合他社が次々と撤退していったため、逆に弊社に需要が集中するようになりました。おかげさまで業績もV字回復できました。
また、弊社のオフィスは東京の新宿にありますが、通販事業では遠方の方や同業者の方のご利用も多くなっています。コロナ禍で市場はかなり縮んでしまいましたが、ビジネス目的などで少しずつ需要は回復してきました。日本全国からインターネットを通じて注文ができるので、潜在的なマーケットは大きいと考えています。
小さくても強い会社として、外貨両替のリーディングカンパニーへ
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
弊社では、買付や決済などで外貨のニーズがある法人のお客さまにもご利用いただいています。今後はこうした法人のお客さまに注力するとともに、増加する外国人観光客の需要を掘り起こし、外国人のお客さまを増やしたいと考えています。たとえば、小売店とのコラボなどのアプローチを検討中です。また、外貨両替だけではなく、外国人にとってより良いサービスも作っていきたいですね。
コロナ禍で腰折れしてしまいましたが、インバウンド需要はいずれまた戻ってくるでしょう。競合他社がいなくなってしまった分、弊社は優位な立場にありますが、その立場に慢心することなく常に顧客志向改善を追求し、小さくても強い会社を目指しています。
また、外貨両替は大きな市場ではありながらリーディングカンパニーがいない状態ですので、、弊社がそのポジションを獲得することを目標にしています。お客さまに対しては、「信用で作る感動グローバル企業」という企業理念の通り、海外旅行という感動的な体験のお手伝いをしたいですね。そして、社員のためには、仕事を通じて銀行員並みの誇りと収入を得てもらえる会社にしていきたいと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
事業で外貨をキャッシュで扱う方はそう多くはないでしょうが、個人的な海外旅行などの際には弊社のサービスをぜひ使っていただきたいですね。
弊社のビジネスは、キャッシュレスの流れとは逆行していると言えるでしょう。しかし、将来的には何らかの形でキャッシュレス事業に結び付けたいと考えています。もしもキャッシュレスに関する知見やノウハウをお持ちの企業様がいらっしゃれば、お会いして協業ができればと思います。
業界にリーディングカンパニーが存在しないうえに、弊社はユニークなビジネスを展開しています。弊社について知っていただき、また信用していただくために、弊社の公式サイトではサービス内容だけでなく、私の人柄が伝わるようなコンテンツなどを公開しています。もしご興味を持っていただけましたら、お会いする前に公式サイトをご覧になっていただけますと幸いです。
--本日はどうもありがとうございました。
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