渡邉 良文(わたなべ・よしふみ)
株式会社ヒップスターゲート EA&FOUNDER(創業者)
1976年、神奈川県生まれ。株式会社ヒップスターゲート EA&FOUNDER。富士通株式会社を経て、人材育成業界へ転身。数社の研修会社にて講師、コンサルタント、営業統括マネージャーを経験。2007年、日本を代表する大手電機メーカーの新入社員1200人の研修を総合プロデュースし、大規模研修における独自のノウハウを蓄積。
2010年5月、人材教育コンサルティング会社「株式会社ヒップスターゲート」を設立。現在は受講者を主体とした研修に注力をして商品・サービスを開発。
著書:勝手に人が育っていく!社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け(かんき出版)
人材不足が問題視されている昨今、従業員一人ひとりが力をつけることが大事な時代になりました。多くの企業が人材育成に取り組んでいますが、あまり効果が出ていないケースも散見されます。今後の日本社会において欠かせない人材育成について、新たな観点から取り組んでいる株式会社ヒップスターゲート EA&FOUNDERの渡邉様にお話を伺いしました。
研修という切り口から、人材不足を解消していきたい
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、起業のきっかけをお聞かせください。
もともと起業に対して興味はあったのですが、不安が大きくあと一歩踏み出せない状態でした。しかし、様々な会社を経験する中で全権限のあるオーナー社長に自分の身を預けるよりも、自分で舵を取った方がリスクが少ないという考えに至り、起業を決意しました。
--御社ではどのようなサービスを中心に行っているのでしょうか?
人材育成コンサルティング会社として、民間企業や地方自治体に向けて研修という形で人材育成の支援をしています。他には、人材育成に繋がる動画やe-learningなどの教材やコンテンツを作成しています。
楽しめる内容、スピード感を大事に事業を展開
--貴社が運営する研修はどのような流れで進んでいくのでしょうか?
利用する研修の内容によって違います。60分で研修を完結できる「ロクゼロ」や、1日間をかけて行うビジネスゲーム研修などがあるので、それぞれ進み方は異なります。ただ、真面目に研修を受講するだけではつまらないと弊社は考えています。
実際に、「研修は退屈だ」「仕事をしていた方がいい」と考えている社員の皆さんも多いでしょう。その気持ちは痛いほどわかります。だからこそ、研修が楽しくなるような工夫を細部に施しています。
例えば、テキストの内容や構成、デザイン1つにも妥協していません。全ての研修において共通しているのは、楽しみながら進めていける点でしょうか。もちろん楽しむだけでは遊びになってしまうので、真面目かつ楽しめることを意識しています。
--研修を楽しむ、非常に素敵な考え方ですね。その他、研修を行う上で大切にされていることはありますか。
研修は課題を解決するために行います。課題を放置すれば企業の不利益は大きくなってしまいますからね。そこで大切なのがスピード感です。課題は早めに解決しなくてはいけません。しかし、課題解決に適したコンテンツを都度作成していては、研修の実施に年単位で時間がかかってしまいます。
一方、弊社が用意する多数の教材から、課題の解決に適したコンテンツを選択していただければ、研修をタイミングよくスピード感をもって実施することができます。
--新型コロナウイルスの影響もあり、対面での研修は難しくなっていると思いますがどのような対策をしているのでしょうか?
オンラインでの研修を取り入れています。受講者が会場に集まるのはリスクがありますし、今後も時代の流れを読んで、柔軟に研修のスタイルを変えていく必要があると感じています。
--先ほど研修が60分で完結できる「ロクゼロ」というサービスが登場しましたが、こちらについて詳しく教えてください。
ロクゼロとは、弊社が力を入れているストリーミングの学習コンテンツです。
人材育成が滞ってしまう要因に時間不足、資金不足、ファシリテーターを担う人材の不足があります。研修はアナログな繋がりが重要であり、また、会社はあくまでもチームで動いているので、1つのテーマに対してチームで答えを出すことが大切です。そのためには複数人が集まれる時間の確保が必要なのです。しかし「そんな暇があったら営業に行って来い」と考える経営者は少なくありません。
さらに、研修にかけるお金がない、効果的な研修を実施できる人材がいない、という問題もあります。それらすべてを解決しているのがこのロクゼロです。
まず、60分という短い時間で研修が完了するため時間の確保が容易です。昼休みなどを有効に活用すれば、チーム全員が集まることも難しくないでしょう。そして月額換算しますと1人あたり660円〜でロクゼロの全学習コンテンツを利用できますので、資金不足も解決しています。
最後に人材不足ですが、ロクゼロにはファシリテーターマニュアルが付属されています。これには一言一句セリフが記載されているので、それに従って進行すれば、社歴・業務経験年数・スキルを問わずに誰でも研修を進めることが可能です。
個人に適した研修を提供していくことで、業界のパイオニアを目指していきたい
--今後の展望についてお聞かせ願えますか。
人材育成に十分な資源を費やせているのは、上場企業などの予算がある企業が多いです。しかし、日本に存在する企業の9割が中小企業なので、できれば中小企業に人材育成へ投資をしていただきたいと考えています。
ただ、中小企業にとっては、資金、時間、ファシリテーターを担う人材確保の理由から人材育成の壁は高く、また、社員教育に対して壁を作る経営者の方が多いのも事実です。
私たちは人材育成の壁をなくすことを1つの目標にしています。そのためには強制的で堅苦しいイメージの研修ではなく、任意の勉強会といったスタイルを導入していくことが重要と考えています。まだ未開拓の領域ではありますが、パイオニアとなれるよう、これからも追求を続けていきます。
また、今までの研修は学習コンテンツを自社で作っていました。それぞれの企業が独自に研修方法を定めて実践していくという方法が多かったと思います。
しかし、時代の流れは早いです。去年作成したコンテンツが今年も通用するとは限らない。毎年のようにコンテンツを作成していては時間がいくらあっても足りません。
私は、これからはコンテンツを選択する時代になると思います。弊社で作成した学習コンテンツを同業他社やエンドユーザー様が選択する、そうしたビジネスモデルが一般的になると思います。そのため、事業としての将来性は高いと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
「売り上げを伸ばしたい」と考えている企業の方は多いと思います。しかし、売り上げを伸ばすために人材を集めるのはナンセンスです。まずは現有人材の教育に力を入れ、総合力の底上げを図ってみてはいかがでしょうか。
特に中小企業の場合、知名度や資金力の観点から、どんなに優れたエージェントを活用したとしても、即戦力となる社員を獲得することは至難の業です。しかし、教育によって現有社員を戦力化することは十分に可能です。それによって組織力は高まり、売上高の向上に繋がります。
現有人材の教育に、少しでも興味のある方は、ぜひ気軽にお声がけください。
--本日はどうもありがとうございました。
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