喜多村 若菜(きたむら・わかな)
株式会社fruor(ミートキャリア) 代表取締役CEO
大学卒業後、コンサルティング会社へ就職。その後、人材採用に携わる中で、子育て中の方など働き方に制約のある方が将来のキャリア形成がイメージできずに悩む方が多いことを知る。「ライフイベントを機にキャリアを諦める人をなくしたい」と想いを馳せ、一念発起して2019年に株式会社fruorを設立。現在は個人、法人向けにキャリアカウンセリング事業を運営中。
働き方は人それぞれであり、ライフステージに合わせて働き方を柔軟に選択できることが理想ですが、実際はとても難しいのが現状です。そんな中、個人のライフステージに合わせ、プロのキャリアカウンセラーが個人に伴走しながら、一人ひとりにあった働き方やキャリアの悩みを解消するオンラインキャリア相談サービスがあるのをご存知でしょうか?
今回はミートキャリア(meetcareer)のサービス名で「ライフステージに合った働き方を支援する」事業を展開する、株式会社fruor代表取締役CEOの喜多村若菜様にお話を伺いました。
課題を解決したいという思いで働き方・キャリア形成のサポートをする事業を起業
--本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、喜多村様のご経歴をお聞かせください。
大学卒業後、民間企業のコンサルタント部門で仕事をしていました。当時の私は自分なりに「目指すべきライフスタイル」というものを持っており、プライベートと仕事を上手に両立したいという将来像を描いていましたが、自分の周りにはそういうロールモデルはおらず、私も具体的にイメージすることができていませんでした。
その後、教育系事業を行う会社に転職し、人材採用や事業開発に携わりました。そこで子育て中の方とたくさん接して気づいたのが、「10年後のキャリア形成のイメージを持つのは難しい」というのは、自分だけでなく多くの方の共通課題である、ということでした。
「しっかり働き続けたい」「キャリアを積んで成長をしたい」という高いモチベーションを持っていても、実際には子育てなどで制約がある人たちのキャリア形成の選択肢は多くありません。だからといって私は諦めたくないと強く感じました。
人材紹介業界では、高スキル人材やフルコミット人材が重宝される傾向にあります。しかし、労働人口が減少する中、そういう人材は非常に限定的であり、私のやりたい「一人ひとりの働き方を変えていくこと」の根本解決は既存の人材業界ではできないと感じました。
そこで既存の人材業界にはないサービスを通して、様々なライフステージがある中で1人ひとりに合ったキャリア形成ができるような世の中にしたい、という思いから「ミートキャリア」を立ち上げました。
--2019年1月に創業をされていますが、それ以前に起業したい、自分で何かしたいという思い、きっかけがありましたらお聞かせ頂けますか。
学生の時から起業には関心がありました。私の家族や親戚にはサラリーマンがおらず、自営業として手に職を持った働き方をしている人ばかりだったので、何となく自分もそうなりたい、と思っていました。
自分も親族のように手に職をつけようと、いろいろ模索をしてみたものの、なかなか見つけることができませんでした。ただ「自分にできること」「やりたいこと」を見つけたいという気持ちは持ち続けていました。
そこで考えたのは「手に職をつける =なにかの専門家になること」から「社会課題を自分の手で解決することで、その領域の専門性を身に着けたい」ということだったのです。まさに発想の転換ですね。
傾聴だけではない提案型のカウンセリングで、幅広い悩みを解決へ導く
--現在取り組まれている事業に関して改めてご紹介頂けますか。
メインは、「ミートキャリア」というキャリアカウンセリング事業になります。
オンラインでプロのキャリアカウンセラーに相談できるサービスを提供しています。コロナ禍の世相を反映し、利用者は非常に増えてきております。
最大の特色は、求人紹介をしないところです。エージェント機能を持ってしまうと、こちら側にとって恣意的な支援になってしまいかねず、本当に相談者に寄り添えなくなると考えたからです。求人紹介をしないからこそ、その人が実現したいキャリアに対して中立的で具体的なアドバイスができます。
また、ミートキャリアのキャリアカウンセリングは、一般的なカウンセリングスタイルとして多い「傾聴」だけに留まりません。カウンセラーは人材業界や企業人事の経験者が多くキャリア支援の経験は豊富ですが、さらに育休復職や管理職などの経験や、フリーランスや副業などの多様な働き方を経験しています。そのため、転職以外の選択肢の提案や具体的なアドバイス、目標とアクションプランの設定まで行うことができるのも特徴の1つです。
相談者のお悩みは本当に様々なのですが、もともとミートキャリアに来る方の傾向としては年収を増やしたいという相談よりも、「自分にあった働き方」「自分のやりたいこと」を実現したいという相談が多いと実感しています。「現職にモヤモヤを感じている」等具体的に相談内容が言語化されていないケースも多いので、悩みを深堀りをしつつ課題を整理するところから対応しております。
また、個人の方だけでなく、企業様からもご相談をたくさんいただいております。例えば、育休から復職された女性社員が管理職を目指したがらないとか、リモートワークが進み、管理職が社員とのコミュニケーションがうまくいかない、といったご相談が最近多いです。第三者である私たちがキャリアカウンセリングをすることで、社員の方がキャリアを主体的に捉え、前向きに働けるように支援しています。社員のモチベーションアップやメンタルヘルス対策に、キャリアカウンセリングサービスを使っていただいている形です。
個人のキャリア自律を支援しつつ、企業側の課題も同時に解決していくという、双方向の動きが必要であると考えております。
--ありがとうございます。貴社の強み・独自性をお聞かせ頂けますか。
キャリアカウンセリングサービスとしては、中長期的に利用できるよう、安価な価格帯を設定している点です。
同業他社では、転職を目的(ゴール)として2〜3ヶ月のプログラムを高単価で提供しているところが多いです。しかしミートキャリアでは、美容院やマッサージを利用する感覚で気軽にキャリア相談に来て欲しいという思いから、低価格帯を設定しています。
「ライフステージにあった働き方を実現する」というビジョンを掲げておりますので、2〜3ヶ月の短期間でキャリア形成を支援するのは、正直難しい部分があると考えております。
様々なステージで、悩みも都度変化します。そのため、長いスパンで気軽に利用していただける環境づくりが不可欠です。転職は大変重要な決断の一つではありますが、長期的な視野で見れば「イベントの1つ」です。キャリアをどのように形成していくかという全体最適化を考えることのほうが大事です。「木を見て森を見ず」では、キャリア形成はうまくいかないと考えております。
また転職に限らず、社内キャリアアップや育休復職後の働き方、上司との関係性構築等、幅広いシーンでご利用いただけるのも、特徴の1つです。
現在個人向けに提供しているサービスは、大きく分けて2つあります。
・オンラインキャリアカウンセリング
Zoomを使い、1対1で行うキャリアカウンセリング。現状の課題や不安を整理し、解決までキャリアサポーターが伴走します。個人向けサービスではおためし、1回、3回、6回のプランを設けており、おすすめの3回標準プランでは1回あたり税込9,889円で提供しています。
・大人の自己分析プログラム
キャリアカウンセラーと1対1でメール形式のワークのやり取りを通して、やりたいことや強みを見つけるプログラム。3カ月週1本の自己分析ワークとキャリアカウンセリング1回がセットになっています。税込66,000円で提供しています。
企業様向けには、オンラインキャリアカウンセリングや育休復職準備セミナーなどをカスタマイズしてご提供しています。
キャリア相談をもっと気軽に利用してもらい、認知度を高めていきたい
--貴社の課題などがありましたらお聞かせ頂けますか。
個人がキャリア形成に悩んだ時に、プロに相談しようと考える人はまだまだ少ないと感じています。また、悩まれる方はたくさんいるものの、具体的に何に悩んでいるのかがご自身で見えていないことも多いです。
こうした方たちに相談出来る場所があることを知っていただき、多くの方に利用してもらうための仕組みづくりをすることが現在の課題です。
--今後の中長期的な事業展望をお聞かせください。
現在は個人向けのサービスが主力ではありますが、今後は法人向けサービスにも力を入れていきたいと思います。
個人の価値観やキャリア観が多様化する今、会社は従業員に対し、いかにして内発的動機づけができるかが重要です。そこから「会社に貢献したい」等の意欲につながり、積極的に仕事に取り組んでいただくことで、結果として企業の事業発展に結びついていくものだと思います。
現在、企業様にはどんなニーズがあるのか、それに対し私たちがどういう形で力添えできるかを模索しながらトライしているところです。
--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
私自身が経営者として感じていることですが、自社メンバーが満足して働けているか、モチベーションが保てているかというのは、経営者にとっては非常に見えにくく、伝わりづらいです。
社員に面談で聞いたとしても素直に返ってくることはないでしょうし、コロナ禍でテレワークが進み、さらに見えづらくなっていると思います。
経営者の方ならば、こうした課題や不安は少なからず感じていらっしゃると思います。
しかし、当事者間でコミュニケーションを取るのが難しくても、第三者が介在することで、「今の仕事をどう思っている?」「ライフステージが変わるけれど、ひょっとして辞める選択肢を考えいたりする?」など本人の状態をヒアリングしながら解決の糸口を見つける可能性は広がるものです。
現在、弊社サービスを導入いただいている企業様はこの「第三者が介在する価値」を感じていただいていると思います。
少しでもご興味をお持ち頂けそうであれば、一度ご相談いただければ嬉しいです。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社fruor(ミートキャリア)
法人様向け https://www.meetcareer.net/corporate
個人向け https://www.meetcareer.net/
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喜多村 若菜
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