乾 文良(いぬい・ふみよし)
株式会社エピグノ 代表取締役
新卒で入社した企業ではセールスマーケティングを担当。退職後はMBAを取得し、ファミリー企業で経営企画、ファイナンス、M&Aに従事した後、株式会社エピグノを起業。
「全ては未来の患者と家族のために」をミッションとして掲げた株式会社エピグノでは、全国の医療・介護機関に向けて、人材マネジメントシステムの提供を行っている。
医療や介護という分野はどの時代にも必要とされるものですが、現代においてこれらの業界では、人材マネジメントに関する課題を抱えています。医療・介護業界が抱えている人材管理に関する課題の解決のためにヘルスケアシステムの提供を手がける株式会社エピグノ代表取締役の乾様にお話を伺いました。
長く愛され未来まで残り続ける事業のために起業を決意
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、乾さんのこれまでの経歴や起業されたきっかけをお聞かせください。
私の実家がインフラ系の会社を経営していた家系だったため、幼少期から経営者のやり甲斐や感動、マネジメントの重要性、またインフラ産業の尊さを傍で感じて育ちました。
そのため、人生を懸けて経営する会社の事業はインフラ産業のように「未来にまで愛され、残り続ける事業」でありたいと思っていました。
「医療・介護従事者が患者さんや自部署のスタッフのために1秒でも多くの時間を使えるようにするためのマネジメントサービスを作りたい」と思って起業したのが株式会社エピグノです。
起業のきっかけは、私の父親にあります。私の父親は産業系のインフラ会社で2代目を勤めていました。そこではハードウェアやソフトウェアの販売を行っていたのですが、継ごうと考えたときにまだ私の能力が醸成されていない部分にぶつかりました。そこで、限られた時間の中で効率的に学ぶために、新卒で入社した企業を退職し、国内外のビジネススクールへ進学しました。
それから父親の会社に戻り、経営に携わりましたが、父親と経営方針で合わない部分があったり、役員と衝突することもありました。その理由としては、それぞれが持つ会社のビジョンが全く異なる点にありました。
長く愛され、未来まで残り続ける事業を行いたいと考えるようになったときに、ビジネススクールの同級生で今の共同創業者である志賀とまた話すようになり、そこで未来のために残り続ける医療系の会社を創ることを決めたのです。
--会社名であるエピグノの由来についてお聞かせください。
由来となったのは古代ギリシャのとある言葉です。歴史を遡ると、医学というものは古代ギリシャから始まっています。そこで扱われた言葉の1つに、エピグノーシスというものがあります。これは「叡智」という意味を持ちます。
日本には経営が厳しい医療機関が多く存在します。そこで医療機関の経営やマネジメントをよくしたいという思いから、古代ギリシャの言葉を用いてエピグノという社名をつけました。
医療・介護機関のための人材管理事業を展開
--現在、御社では医療・介護機関向けのマネジメントシステム事業、コンサルティング事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
事業において大切にしているのは病院、そして在宅診療を行うスタッフのためのマネジメントです。医療や介護の世界では、スタッフの顔と名前が一致せず、それぞれがどういった能力を持っていてどのような評価がされているのか、こういった情報の共有が難しい部分があります。
そのほか、スタッフのエンゲージメントやモチベーションの向上や採用、評価、最適配置など、問題は尽きません。
病院における人材に関する問題を解決するのが、エピグノが手がけている「エピタルHR」です。在宅診療向けには「エピタク」と、それぞれ別製品で事業を展開しています。
--現状の医療業界が抱えている課題や問題点について詳しくお聞かせください。
様々な部分において、マネジメントが10〜20年前のままで止まってしまっているのが医療や介護の世界の現状です。しかし、命に触れる業界でドライに物事を変えていくのが難しい部分もあります。
その中でも、現場の業務改善のために、DXを進めることはとても重要だと思っています。現場で煩雑に行われる業務は、弊社システムを通じてそこまでストレスなく負担軽減することができるようになりました。
一方で、医療や介護におけるIT環境は、Wi-Fiが入りにくかったり、個人情報の問題があったり、1人につき1台のパソコンがあるわけではないので不便だったりと、ほかと比べて特殊な部分があるのも課題です。
--御社が提供するサービスによって、どのような課題解決が図れるのでしょうか?
医療業界では、人材マネジメントがうまくできていない場合が多く、さまざまなことが要因になって職場を離れてしまう人も多いです。
エピグノの人材管理システムを導入することで、人材マネジメントが改善されれば、職場から離れてしまう要因の解消に繋げられます。
--実際にユーザーの方々からどういったお声を頂戴していますか?
人材マネジメントが改善されることで業務が楽になり、管理業務の効率化部分に関してお客さまからお褒めのお言葉を頂くことが非常に多いです。また、今までは可視化・共有化されていなかったそれぞれのスタッフのスキルや職務履歴情報,モチベーション情報を把握し、能力や人間性の細かな理解に繋がっています。
--ユーザーにとって非常に満足度の高いサービスとなっているのですね。御社の独自性や強みについてもお伺いできますでしょうか?
社内に医療従事者として豊富な経験をもったメンバーがジョインしていることです。実際に、医師経験者2名、看護師経験者3名が在籍しています。
よくクライアントの方からも聞くのですが、従来の医療システムベンダーの場合、担当営業とエンジニアがヒアリングに来ます。すると、現場の医療従事者が真に求めるニーズを理解するのが難しくなってしまい、結果、現場のニーズとは異なったシステムになるケースが往々にしてあります。
弊社では業界に精通する人材がヒアリングを行うため、細かなニーズを正確にキャッチし、改善していくことが出来ます。やはり医療業界の人材は他業界とも比べ、専門職の集まりです.そんなスペシャリティの高い医療スタッフのマネジメントには必ず「専門性の管理」が必要になります。弊社システムは医療業界特化型である強味を活かし、医療スタッフ特有の専門性を管理できるものになっています。
日本で一番のヘルスケアHRテックを目指して
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
将来的には、全国の医療・介護機関で活用される人材マネジメントシステムを目指しています。医療や介護業界には、業界特化型で人材のマネジメントシステムを提供している会社がありません。これからの医療・介護従事者の逼迫状況からも、医療・介護機関は民間企業以上に、マネジメントが必要だと思います。ヘルスケア人材を幸せにできるように、日本でパイオニアとして地位を築いていきたいです。
--御社が抱えている次の課題についてお聞かせ下さい。
ヘルスケアというのは、今の時代大きな注目を集めているマーケットです。
しかし、マネタイズの難しさも冷静に考えながら、マーケットの拡張をしていかないといけないのが次の課題です。
--アライアンスを組みたい業種についてお聞かせ下さい。
医療機関の製品を販売している業界は、近年で時代が変化してきているハードウェアリズムな業種です。
ソフトウェアの販売や人材ビジネスついて、経営レベルで悩まれている企業様がいれば、是非協業したいと考えています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
近年、ヘルスケア業界でも「デジタルヘルス」という言葉が浸透、医療・介護機関が民間企業に求めるものも経営レベルの課題解決にまで昇華されているように感じます。
弊社製品は医療・介護機関の中でも最重要な「人材課題」を解決するための製品です。協業下さる企業様とは共に、これからの医療・介護業界が求める新しい価値を提供し、10年20年と商売ができるような関係になればと考えています。
医療・介護機関の課題解決について検討している企業様がいらっしゃいましたら、是非一度ご連絡ください。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社エピグノ
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プロフィール
乾 文良
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