「EIGA」の文化を世界に広げていきたい。 映画業界とIT業界の繋がりから、日本と海外の架け橋に

「EIGA」の文化を世界に広げていきたい。 映画業界とIT業界の繋がりから、日本と海外の架け橋に

映画ランド株式会社 代表取締役CEO Jason Wong

カテゴリ: 、従業員数:

2021.11.14

ジェイソン・ウォン(Jason Wong)

映画ランド株式会社 代表取締役


1986年生まれの香港出身。幼い頃にテレビで放送されていたことをきっかけに日本映画に興味を持ち、監督を目指すため東京工芸大学の芸術学部映像学科へ入学し映画制作を専攻。大学で「学科賞」を受賞し卒業後、映画宣伝会社入社。積極的に映画宣伝・新規事業開拓のサポートを行う。退職後に映画ランド㈱を立ち上げ、代表に就任。現在は日本の映画業界を広げるためのデジタルサービスを展開中。

 

 

日本映画を作る夢めざし来日。自身の経験がきっかけで生まれた映画チケット予約サービス

―本日はよろしくお願いします。早速ですが、ウォンさんのこれまでのキャリアや起業のきっかけをお聞かせください。

 

僕は香港で生まれ、父と母、男3兄弟の家族で貧しい環境で育ちました。当時はおもちゃもなくて唯一の楽しみがテレビで、当時は昼間にモノクロの映画が放送されていて、そこで小津安二郎さんや岩井俊二さんの作品を見て日本映画に興味を持ちました。他の国とは違う要素を感じ、「自分もこういう映画を作りたい!」と思ったのが大きなきっかけです。


 

―ウォンさんが感じられた日本映画の特徴についてお伺いしてもよろしいでしょうか?


映画もドラマもそうですが、日本の作品は「間」を大切にしているところです。例えば、ハリウッドの映画はテンポよく展開する作品が多いですが、日本の映画は沈黙といった「間」の作り方がとても巧みで、僕はそこにリアリティーを感じています。人はいつも会話をしているわけではありませんし、何も話していない時間もあります。何も話していない、何も音がないのに、その映像の中で登場人物の感情やメッセージが表現されているところが日本映画の好きなところです。



―日本映画を客観的に見たことがなかったのでとても新鮮です。事業を始めるにあたり、ご家族から反対されたとお伺いしました。その反対を押し切ってまで事業を進めてきた、その原動力はどこにあったのでしょうか?


「やると決めたら実現する」その強い気持ちだと思います。両親は同じような苦労をして欲しくないからと、安定的な金融関係の仕事に就くことを望んでいました。幼い頃から勉学に励んでいましたが、“果たして本当にいいのだろうか?”、“これは本当に僕自身がやりたいことなのか?”と疑問を抱くようになりました。

そして一大決心をして日本へ行き、東京工学大学へ入学しました。在学中は色々な映画を作り、そのまま制作に進もうとしましたが、自分の力に壁を感じたこともあり、「まずは映画市場について理解しよう」と映画のPR会社に入社しました。

そこで働く中、映画の宣伝手段は映画館のチラシやTVCMばかりであることを知り、ITの力が生かされていないと感じました。また、当時は上映中の映画や映画館の場所、上映時間などをまとめて検索できるサービスが全くありませんでした。近くの映画館や上映時間を調べたり、座席表を確保するまでに時間がかかったりすると、途中で面倒になってしまい諦めてしまう方は多いと思います。


 

―すごくわかります。特に、今はシステム上でチケットの予約を取ることが多いので、仕組みがややこしいと途中で諦めてしまいますね。


はい、当時はまだ「デジタル」という言葉が映画業界に浸透していなく、ITの力を活用されていなくてもったいないと思い、自分でサービスを作ろうと考えました。今はたくさんの映画アプリや映画サービスが登場していますが、観たい映画や近くで上映されている映画館、座席表の予約までまとめてできるサービスを実現したのはかなり早かったと思います。

当時はそのようなアプリがなかったので、リリース半年で約20万人のユーザーが利用してくださいました。おそらく、多くの方が僕と同じ不便さを感じていたのではないかと思います。



映画館をもっと身近に感じてもらいたい“こだわり”

―現在、映画を中心とした事業を展開されていると思いますが、貴社の主軸事業について詳細をお伺いできますか?


主に、映画館のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を行っています。アプリ・ウェブでエンドユーザー向けの映画館チケット予約サービスはもちろん、映画館向けのチケットシステムやデジタル会員サービスを提供したり、映画館専用ウェブサイトなどの事業も行っています。

事業を始めた当時は、映画館向けのシステム会社が少なく、映画館側が利用できるシステムの初期費用が高額なため、導入したくても簡単に導入できないハードルがありました。一般的に、買い切りのシステムですが、それだとキャッシュが潤沢ではない映画館がデジタルを利用したくても利用できません。じゃあどうすればいいのか?と考えたところ、いわゆる「サブスク」、今では「SaaS」と呼ばれている月額従量制モデルでのサービスを提供することにしました。



―初めてサブスクを導入したことによって、システム導入に対する映画館のハードルも下がったのですね。当初と比べて、システムも向上しているのでしょうか。


はい。サブスクモデルを採用したのは業界で初めてでしたし、別途費用なしで日々システムのアップデートを行っています。今後はもっとたくさんの劇場と皆さんを繋げていきたいと思っています。
 


―そんな貴社の独自性や強みはどこにあるのでしょうか?


映画館やお客様とのコミュニケーションを大事にしているところです。映画業界に貢献したいと思っていますし、大画面、大きな音、感情の共有など、映画館でしか味わえないことはたくさんあると思っていますし、僕は何としても映画館を守りたい気持ちがありますので、当社では「More Cinema in Life ~ITのチカラで、映画館をもっと身近に~」というビジョンのもと、映画館に行く人を増やすことをミッションとしています。



―そのミッションを少しでもクリアするために意識されていることはありますか?


「映画業界・映画館にどう貢献できるか」という使い手目線に徹底的にこだわり、使い手と一緒にサービスを育てていく環境を重要視しています。

我々はあくまで「作り手」であり、「使い手」ではないです。クライアントと一緒にサービスを構築していくために、フィードバックをもらいやすい関係がとても重要だと考えています。そのために、クライアントには開発費が発生しない形でもサービスをアップグレードできるサブスクモデルにしました。

クライアントがフィードバックしやすくなり、日々のフィードバックがサービスの成長の糧になるので、結果的にサービスの機能としてクライアントに還元します。クライアントやユーザーが増えるほどフィードバックもより明確になり、課題がより見えてくるので、それに対する施策を立てられるという好循環が形成されます。クライアントやユーザーと共に映画業界を盛り立てていきたいです。


 

「EIGA」の文化を世界に広げていきたい。日本と海外の架け橋として、映画業界のスケールアップを

―それでは、今後の中長期的な事業展開についてお伺いできますか。

 

映画業界の規模をスケールアップしていくことです。最近は、ライフスタイルの変化によって、映画に触れる機会がどんどん減っています。僕自身、日本映画を含め、すべての映画を通じて人生が変わり、豊かになりました。それは世の中の皆さんにも通じることではないでしょうか。

韓国映画の「パラサイト」がアカデミー賞を獲れたのは作品の素晴らしさだけでなく、ハリウッド業界とのパイプがある会社が上手にアメリカ現地で宣伝していたのも理由の1つです。だからこそ、海外の人たちに知られていない日本映画はもちろん、ITの力を生かしながら、「SUSHI」や「MANGA」「ANIME」のように、日本映画は「ジャパニーズ・ムービー」ではなく、「EIGA」という文化を海外に広めていきたいと思っています。
 

―最後に、Professional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

チャレンジしたいことはまだたくさんあります。個人的には、日本と海外の架け橋になることが大きな目標の1つですので、海外展開などいろいろな企業様ともぜひ交流を深めていきたいです。事業を海外展開したい、海外のものを国内販売したい企業様がいらっしゃれば、ぜひ声をかけていただけたらと思います。


--本日はどうもありがとうございました。

 


 映画ランド株式会社
https://eigaland.com/


 

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プロフィール

映画ランド株式会社代表取締役CEO

Jason Wong

予約対応劇場数最大級!映画チケット予約情報サービス 映画業界初!映画館向けのSaaSサービス

会社情報

映画ランド株式会社
「More Cinema in Life. 〜ITのチカラで映画館をもっと身近に〜」というビジョンのもと、映画館のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を中心に、エンドユーザー向けの映画館チケット予約サービス、映画館向けのSaaSサービスを提供しています。