桑田 一成(くわた・いっせい)
株式会社エコリング 代表取締役社長
兵庫県姫路市出身。大学卒業後、郵政省に入省。
2000年に簡易保険福祉事業団を退職し、翌年5月に前身となるインターネットコンテンツ販売会社を設立するが失敗。極貧生活の中、ヤフーオークションで生活用品を販売した経験が、全国初のブランド品買取専門店「エコリング」創業のきっかけとなる。
現在、全国に直営店舗を展開中。
販売部門では、ヤフオク!ベストストアアワード11年連続受賞(最長受賞記録更新中)。また、業者専用卸売販売であるエコリングトレーディングセンターを設置。その後海外進出し、香港、タイ、カンボジアに拠点を持つ。
日本を含む世界中の国々で、人間の出すゴミが適切な処理をされずに放置され、環境に悪影響を与えています。そのような環境問題を、世界規模のリユース事業によって解決することを目指す、株式会社エコリング代表取締役社長の桑田様にお話をお伺いしました。
極貧生活で開始したオークション、日本初ブランド品買取専門店立ち上げのきっかけに
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、桑田さんのこれまでのキャリアや起業のきっかけをお聞かせください。
大学時代に飲食店の経営をしていました。その期間にバブル景気が崩壊し、事業を売却した後、就職活動を開始しましたが、就職氷河期であったことや大学を二年間留年していたことが原因で就職先を見つけることに苦労しました。その後、無事に郵政省に就職が決まり、7年間勤務をしました。郵政省時代には、千葉県旭市かんぽの宿の予算確保や温泉開発を担当していました。
転機となったのは、郵政省のOA化(オートメーション化)推進に貢献したことでした。実は、中学生の頃からプログラミングに興味があり、独学でゲーム作ったことがありました。継続してプログラミングに興味を持っていた私のために上司がPCを購入してくださり、結果として郵政省のOA化に貢献でき、事務次官から表彰されました。その経験から自分のビジネスマンとしての実力に自信がつき、個人事業主として独立することを決意しました。
--ありがとうございます。個人事業主としては、当初からブランド品の買取に関わる事業をされていたのですが?
いいえ。現在とはかなり異なるIT技術に関わる事業をしていました。当時、ドイツのベンチャー起業が開発した、映像が3Dとして見える技術の日本販売独占権を持った個人事業主として独立をしたものの、私が持っていた3D表示技術への需要は高くありませんでした。また、一つの3Dコンテンツ作成に80万円ほど必要であった独立期の半年後には、一つ8万円で作成できる技術が開発され、ますます需要は減っていきました。
個人事業主としての利益が芳しくなく負債を抱えた私は、身の回りのものをヤフーオークションに出品しました。自分が出品した物が必ず売れるように、オークションは1円からスタートさせていました。当時はこの方法は珍しく、新聞に特集されたことで、私のオークションそのものが注目を集めました。この勢いに乗ろうと考え、質屋の商品を買い付けてインターネットで販売する事業モデルで、自分の会社を大きくしていきました。
事業拡大のヒントとなったのは、質屋が利益を生む仕組みでした。
友人から商品の販売を頼まれた際に質屋に鑑定を依頼したところ、2万円という買取価格を言い渡されました。しかし、同じ商品をインターネットで販売したところ7万円という価格で販売することができました。一瞬のうちに数万円から数十万円の利益を生む質屋の仕組みに感動して、日本初のブランド品買取専門店を立ち上げました。
ブランド品に特化した理由は、家具などの価格変動の激しい商品とは異なり、必ず需要があると考えたからです。
2つの事業によってほぼ全ての国内回収品をリユース可能に
--現在、どのような事業に取り組まれてるかお伺いできますか?
主に二つの事業に取り組んでいます。
一つはブランド品の買取専門店の運営です。店舗で仕入れたものは、インターネットで販売をしたり、日本国内で売ることのできなかった場合は海外へ輸送したりしています。
二つ目は「エコリングtheオークション」による世界的なプラットフォーマーとしての事業です。「エコリングtheオークション」はBtoBのオークションプラットフォームで、海外のバイヤーも参画している世界的な市場です。今後の海外展開の拡大には必要不可欠な事業となっています。
この二つの事業を行うことによって、エコリングでは「ブランド品だけでなく、不用品も買い取る」ことが可能となっています。海外バイヤーが参画しているプラットフォームを活かし、日本国内で不要になってしまったものは海外で販売しています。まずはバンコクで販売し、売ることができなければカンボジアへ。カンボジアでも売ることができなかった商品は、バンコクの孤児院へ寄付をしたりフリーマーケットで販売をしたりしています。このような流れで、日本で回収した不用品のほぼ全てをリユースできるようにしました。
--御社の独自の取り組みや強みをお伺いできますか?
独自の取り組みとしては、海外展開を行う際に社員自らが行きたい国を選んで、その国での事業拡大を担当することが挙げられます。一国に1人しかいない駐在員に、全ての決裁権を任せていることも、他の会社からすると珍しいことだと思います。
海外に赴任した社員が1年目に行うのは、とにかく遊んで情報収集と人脈拡大をすることです。会社にとって、この情報収集と人脈拡大の1年間は、利益は生まれません。
しかし、この1年は社員への投資活動であり、例え失敗をしたとしても、海外での挑戦から得た経験を社内に持ち帰ることが会社にとっての価値になると考えています。
強みは、回収した商品をほぼ全て売り切る体制があることです。国内のインターネット販売先だけでなく、海外にも多く販売先を持つことが強みに繋がっています。
そのため、お客様が持って来て頂いた商品は極力買い取るようにしています。
世界を巻き込み、身の回りのもの全てを商品に
--今後の事業展望についてお伺いできますか
将来的には、日本だけでなく全世界の不用品をゴミにせず、リユースしていく動きを広めるために、「アジア全域を内需として捉える」ような事業拡大をしていきたいと思っています。そのために、まずは国内のゴミ問題の解決に貢献していきたいです。
日本では毎年25万人もの人口が減少しています。この25万人分のゴミは、十分な処理がされずに残ってしまい、処分に必要な国家予算は莫大なものとなっています。
エコリングは、このような日本が抱える社会問題を解決するため、身の回りのものをゴミにするではなく商品にしていきたいです。そのために、人々が身の回りのものを整理するタイミングに出会うことのできる、特別養護老人ホーム・運送会社・引越し屋との繋がりを作りたいと考えています。
実は、業者が集まってリユース商品のオークションを行っているのは、世界中で日本だけです。エコリングが中心となって、全ての不用品をリユースする動きに全世界の企業を巻き込むことができれば、ゴミ問題を含む環境問題の解決に繋がるのではないかと考えています。
--ありがとうございます。
最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
不用品・使用しない商品が出てきた場合、ぜひエコリングにお問い合わせ下さい。加えて、年間40店舗ほど新規出店をしているため、両社にとってのシナジーを創出できるような企業様がいらっしゃいましたら、是非ご一緒にお取組みさせて頂ければと思います。
また、海外展開を考えている中小企業様がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡下さい。アジアを中心に10カ国のネットワークを築いた経験やその方法を共有致します。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社エコリング
https://ecoring.co.jp/
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桑田 一成
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