篠本 高基(しのもと・こうき)
イーライフ株式会社 代表取締役
神奈川県横須賀市出身。2003年に大学を卒業し大手福祉用具会社に入社。以降営業職を14年間務める。営業成績では常にトップを維持し、2013年にはエリアブロック管轄のマネージャーに抜擢される。2016年からは優れたサービスの会社を作るために独立し、E-LIFE株式会社を設立。ITを駆使した営業手法や独自の社員評価制度を構築し業績を伸ばしていく。2019年7月には横浜青葉支店を開設し、2020年には相模原営業所・湘南営業所を開設するなど運営規模を拡大中。
現在の日本社会で大きな課題と言えるのが年代別の比率の中で中高年の数が増え続けていることによる高齢化社会。数年後には国民の3人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入する可能性があることを提唱した専門家も少なくありません。今回はそうした課題がある中、福祉用具レンタル業などを通して高齢化社会の日本で良いサービスを目指すイーライフ株式会社の代表取締役である篠本様にお話をお聞きしました。
経営を自ら学ぶために大手を辞め独立。介護業界での経験を活かしより良いサービスを目指す
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、篠本さんのこれまでのキャリアや起業されたきっかけをお聞かせください。
大学卒業後、2003年に福祉用具会社に入社し、14年ほど営業として勤務していました。明るい性格なのと積極的に行動するタイプなのが営業に向いていたようで成績は常にトップの位置にいました。そうした活躍が認められ、2009年には同社の営業所所長、2013年からはエリアマネージャーとしてより責任のある業務に携わりました。
その後、2016年にイーライフ株式会社を起業しました。現段階で社員は40名程在籍しており、営業所4つを設立できるような企業にまで成長することができました。営業所は横浜に2店舗、湘南と相模原に1店舗ずつあります。
起業したきっかけは自身で経営について学びたかったからです。株式投資を通じて様々な会社を見ていく中で少しでも早く自身で経営を学びたくなりました。また年功序列の会社ですと50歳や60歳あたりにならないと経営には関われないため、それならやらない後悔よりやった後悔の方がいい!と自分で会社を立ち上げました。あとは、思い描いていた会社像があったので、それを実現したかったというのもあります。ただ、実際に行動に移してみるとやはり理想と現実のギャップに悩みました。
--具体的にどういった部分で悩んだのでしょうか?
会社を起業する前は、こんな社員と一緒に働きたい、投資もしたいと様々なことを考えていました。しかし、会社を立ち上げた後は人が来ない、お金が無い、売り上げも少ないという厳しい現実を突きつけられ、経営の大変さを肌で感じました。最初は自分が投資した資本金がどんどん減っていき、命を削るような思いでした。
ただ、営業の時もそうだったのですが、やってやろう!という気持ちや諦めないしつこさは人一倍強いので地道に一つひとつの課題をクリアしていきました。
何より一度決めたことはやり抜くしかないと信念を貫きました。
--現在介護・福祉事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
弊社では福祉用具のレンタルや医療機器のレンタル・販売を行っています。かっこよく言うならば、商社という部類に当てはまるかもしれません。扱う福祉用具の数々は専門の卸会社からリースや購入しています。
そして、もう1つのメイン事業と言えるのが介護リフォーム関係です。こちらは家の中に手すりを付けたり、段差を無くしたりして高齢者の方が生活しやすい環境を整える事を目的とした事業になっています。この2つの事業を国の介護保険制度の中で行ってきました。
その他の業務としてはWEB事業やホームページの作成、動画の作成、カタログ、印刷、福祉用具に特化したコンサルティングなどの事業を行っています。
会社として一体感を持ち介護用具のレンタルやリフォームで高齢者社会のマーケットに参入
--説明して頂いた介護・福祉事業は個人向けのサービス、つまりBtoCの形態になるのでしょうか?
BtoCではあるのですが、厳密に言うと一般の方に営業をかけるのではなく、施設のケアマネージャーさんを対象にしているのが現状です。そうすることにより、ケアマネージャーさんが受け持つご利用者様を紹介してくれるようになります。
--介護・福祉業界だと高齢化社会が長年の課題になっていると思うのですが、そこに対するお考えをお聞きできますか?
ここ数年までは日本人は4人に1人が高齢者と言われてきましたが、現在は3人に1人が高齢者になりつつあると言われてきています。こうした高齢者増加は全体の人口が減少していることも関係しています。そして、高齢者が増えるという事は弊社が行っている事業のマーケットが増える事も意味していますが一方では働く人材が減少していくというのは間違いなく、特に介護業界は体質が古いので更に働く若手が減少していくでしょう。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
会社内部の独自的な部分としては社員をしっかりと評価するための制度を設けています。
創業以来、人材が最も重要な経営資源と位置付け「頑張って成果を出した社員が報われる」理念で経営をしてきました。例えば、営業に関しては自分の成果の数字と給料のテーブルを明確にしております。
昇給のタイミングも他企業では年1回が基本なのに対し、弊社では年3回用意しています。
さらにインセンティブやボーナスなどでも社員に頑張りの分だけ還元しています。
他には、社員が働きやすい環境を追求しております。コロナ以前より営業の直行直帰運用はもちろん、自宅で仕事ができるように車や機材を貸し出したり事務員などは働きやすい時間での勤務時間などは実現しております。
また、風土を大切にしている会社なので社員間の仲の良さや職場の風通しの良い雰囲気は自負しております。一度退職してもまた戻ってきてくれる社員がいるのはそういう根拠でしょう。
--サービスに関して利用者様がメリットに感じそうな部分がありましたら教えてください。
利用者様がベッドや介護器具を求めた際に素早く対応できるのが弊社サービスにおけるメリットです。ICTなどを積極的に活用している為、他社より早くお客様へお届けできるような仕組みが出来ております。
また、弊社では会社の理念である「和を大切に」というフレーズの元、業務を進めております。そのため、営業担当が仮に休みだったとしても他の従業員が業務を引継ぎ協力するような形になっているのが特徴です。
一見当たり前の事柄に思えるかもしれませんが、他社では営業担当が休みの場合対応が先延ばしにされることも珍しくありません。特に高齢の利用者様とのやり取りでは急な対応を求められることが多いため、このような事業においてはスピード力のある弊社の方が利便性が高いと思います。
「超高齢化社会」が近づき事業ニーズが高まる中で、社会的な貢献や優れた人材育成に取り組む
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
これから高齢化が加速する中でますます我々の事業が重要度を増していくのを感じています。これまでにも様々な方から老後は家で過ごしたいという声を多く聞き、現在国からも在宅での介護・ケアが推奨されるようになりました。
こうした介護機器や状況に合わせたリフォームが不可欠になった現代において、社会的に貢献できる立場として利用者様に役立つサービスを提供していきたいです。
また、社員の中には所長や役員、自身で営業所をやりたいという社員も数多くいるため、今後はそういった社員にチャンスを与えていきたいです。私自身も経営者という立場になってとても勉強になっており、大変ですが何より一心不乱に夢中で幸せなので同じような経験をさせてあげたいと思います。
ただ、管理職のような立場は会社の規模が大きくないと椅子が増えないので、まずは地に足を付けて会社の規模拡大を目指したいです。
特にこれからマーケットが増えていく神奈川県、および関東圏でもっと弊社の名前が浸透できるように頑張らないといけません。
--今までよりも力を入れていきたい分野などがありましたら教えてください。
業界の効率の悪さには逆にチャンスがあると感じております。他には、高齢者に向けた介護カタログは需要があると思うので、これからも製作していきたいです。スマホなどを使わない方や目が悪い方にとっては紙媒体のカタログ資料は重宝する存在になると思います。
--人材の採用に関して課題などはありますでしょうか?
福祉用具業界は、殆どが中小企業なので、よって会社の資本力やブランド力ではなく、何よりも人材の育成が企業の競争力に直結する業界です。
社員の人柄や人間性がこのビジネスにおいて重要になると思っています。実際、性格の良い担当社員にはお客さんも付いてくることが多いです。
ですので、まず一番大切なのは人間性や考え方であり、さらに弊社の価値観や理念に共感、共鳴してくれる人材が何よりです。弊社も近年は応募がかなり活発になり「誰をバスに乗せるか」というところは実績や学歴ではなく弊社と価値観が合う人を選んでおります。採用後は社員の個々の強みを活かし、活躍できる環境と役割を与えていきます。
商品よりも担当者の人間性を評価頂けるようにしたいです。
ちなみに弊社では、採用面接を行う前に説明会で詳しく弊社の価値観やビジョンついて解説しています。説明を受けた上で相性が良さそうだと思ったら是非アプローチをしてきてほしいです。
--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
弊社は会社としての雰囲気や一体感を大事にしている企業です。仕事が同じことの繰り返しでつまらないといったネガティブな思考にならないように、社内達成イベントをしたりしつつ「和を大切に」という理念の元、事業に取り組んでいます。
求める人材や組めそうな企業さんに関しても理念やビジョンという面で共感できる方とマッチできますと嬉しいです。スキルが凄いとかよりも、まず価値感が合うかどうかが大事だと思うので、弊社に興味を持たれましたら一度お話させて頂ければと思います。
--本日はどうもありがとうございました。
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