多根 和宏(たね・かずひろ)
株式会社DNAファクター代表取締役
株式会社アルプロン執行役員
金沢大学薬学部卒業。28歳のときに創業し、通販事業をスタート。株式会社アルプロンと合併して、取締役に就任。2020年に株式会社DNAファクターを合併し、代表に就任。遺伝子検査を通した自社商品の開発と受託開発に取り組んでいる。
遺伝子とは自身の情報そのものであり、正しく理解する事で病気を未然に防いだり、自分の未知なる能力を開花させたりと様々な可能性を秘めています。株式会社DNAファクターは一人一人が持つ遺伝子を解析し、パーソナル商品の開発に取り組んでいます。今回は、そんな株式会社DNAファクター代表取締役の多根様にお話をお伺いしました。
遺伝子の解析の有効性を感じてM&Aし、DNAファクターの代表へ
--まず初めに多根様のご経歴をお伺いできますか。
大学は金沢大学の薬学部を卒業しました。元々会社を創業したのは28歳の時で、通販販売事業をしていました。その中の1つの商材がプロテインやサプリメントだったのですが、製造メーカーのアルプロンと5年前に合併し、株式会社アルプロンで製造販売一体事業をリスタートさせました。
DNAファクターは2015年の創業で、当時出資しており、一昨年残りのすべての株式を取得したため完全子会社にしました。完全子会社化した時点で経営に参画して代表に就任し、現在はDNAファクターの代表とアルプロンの執行役員を兼任しています。
--サプリメントの通販事業で創業されていますが、この事業を選択された理由はございますか。
薬学部で学んだということが自分のベースになっています。薬学の体に対する考え方をサプリメントという形で提供できればなと思い、この業界に踏み込みました。
また、2010年以前はいわゆる楽天などのモール型ショップが全盛の頃だったので、丁度そのタイミングで通販の業界に参入したという形です。
--株式会社DNAファクターを子会社化するにあたってどのような想いがあったのでしょうか。
この会社が扱っている遺伝子の解析が元々行っていた事業に有効ではないか、と考えたのです。遺伝子を解析するということは、パーソナル商品を作ることになります。最近では様々なパーソナル商品が結構出てきていますよね。そのため、商品設計をしていくうえで有効だと考えたのです。
異業種との協業も視野に、パーソナル商品の制作に注力
--現在取り組まれている事業について、改めてご説明お願いします。
事業としては2つに大きく分かれていまして、1つは自社で商品を開発して販売するというものです。開発している商品の種類としては、特にお子さんの能力開発や性格分析といったものから、ダイエットのプログラムまで幅広いです。最近ではペットの遺伝子解析もスタートしました。
もう1つは受託開発事業を行っており、先方の要望に合わせて商品を設計して開発するといった形です。
各事業が占める比率はちょうど半々ぐらいです。最近は、PCR検査を含めたコロナなどのウイルス系の検査もしています。
--実際に開発されたものの販路というのは、通販サイトが中心なのでしょうか。
通販に限定しているわけではありません。弊社の商品は通販サイト、もしくは販売代理店様の販売サイトもしくは店頭で販売している物もあります。例えば、最近でいうと歯医者さんで販売しているものもあります。
--事業の課題感でいうと、どういうことが挙げられますか。
一般認知の部分です。あとはプロダクトの遺伝子を検査するのは弊社の得意分野ではありますが、遺伝子からの商品設計はあまり得意ではないです。そのため、商品設計に関しては協業して進めていきたいと考えております。
--認知拡大に向けた施策があればお伺いできますか。
現在はYouTubeチャンネルを運営しています。遺伝子は日常生活の中でも接点が少ないと思います。そのため、認知拡大のためにはYouTubeやSNS周りが有効だと考え、取り組み始めました。コンテンツが特殊なため、有名ユーチューバーの方にコンテンツを提供する形でタイアップをしています。
参考①:https://www.youtube.com/watch?v=grXBZSG4--E&t=42s
参考②:https://www.youtube.com/results?search_query=DNA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC
占いのような要素を加味した恋愛遺伝子検査ということを行っておりまして、性格分析からその理想の相手のイメージを出してくれるようなコンテンツをYouTubeで配信したりしています。
--先程協業を視野に入れているとのお話がありましたが、具体的にイメージされている業界などはありますか。
大きく2つあり、1つが教育分野です。子どもの能力の遺伝子検査をしているので、それに合った教育プログラム開発や個々に合ったものを提供できるような企業様です。
もう1つは美容業界です。美容と遺伝子は親和性が高く、肌質検査など色々できることがありますから、それに合った商品の提供ができる企業様とパートナーシップを組んでいきたいです。
また、海外展開もすでにしており、中国語などの翻訳によりサービスの提供をスタートしております。そのため、海外販路を拡大できるパートナーも募集中です。
--貴社の独自性や強みをお伺いできますか。
1つ目は、検査数の多さです。未就学児による子供の検査領域で考えると、おそらく日本で1番検査をしているのではないかなと思います。去年までで1万人終わっているので、今年の分まで含めると1.8万人程になります。
2つ目は、正確性の高さです。検査の手法は古典的な検査をしてるのですが、正確性の高さは他社さんには真似できないところだと思います。
弊社ではダイレクトシークエンス法という、一個一個の遺伝子を見ていくやり方をしています。他社さんですと一気にマスデータをとるというイメージですが、弊社は遺伝子を一つずつ調べているので正確性が高いということが強みです。
パーソナル化に応える一人ひとりに合ったサービスの開発が目標
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
遺伝子は人に必ずあるもので血液型のようにカテゴリーを分けると、それに合ったサービスが提供できます。パーソナル化がトレンドになればなるほど、人間のカテゴリー分けが必要なので、それを提供できるサービスを開発することが中長期的な目標です。
また、今後は美容領域の方と協業し、美容化粧品のパーソナルブランドの立ち上げに取り組む予定です。更に、ペット系のサービスのリリースもしておりますので、ペット業界の方とも協業を試みていく予定です。
--すでに動き始めた取り組みなどがあればお伺いできますか。
パーソナル商品の設計をするにあたって、いわゆるヒアリング調査が必要になってきます。遺伝子の基礎知識をまずつけることが大事なので、エステ業界で遺伝子カウンセリングができるようなカウンセラーの育成を今年は始めようと考えています。
カウンセリングと共に遺伝子の解析をし、その人に合った施術や基礎化粧品をエステ店舗からスタートさせたいです。ある程度母数が集まればデータが取れるので、それを元に商品の設計をして行くという形を来年以降できればいいなと思います。いわゆる遺伝子取り扱い技術施術者を増やすといったようなイメージです。
--エステの業界の方たちにプラスアルファで取得してもらう形でしょうか。
そうですね。サービスの多様性が絶対に必要になってくるはずなので、全員に同じサービスを提供するのではなく、個々にあったものを提供してあげるべきだと思います。例えば、お肌の検査により、その人にあった施術や基礎化粧品の提案など、パーソナル化は今後も拡大していくはずです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
昔はつながりを持つことは大変な時代でしたが、今の時代はメッセンジャーでメッセージを送ることからスタートできたり、仕事が非常にスピーディーにできます。遺伝子というと、世の中的にはクエスチョンマークから入ると思いますが、できる事はすごくたくさんあります。こういうことができないかというような提案を頂ければ回答ができますので、ぜひメッセージをお待ちしております。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社DNAファクター
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