堤 香苗 (ツツミ・カナエ)
株式会社キャリア・マム 代表取締役社長
神戸女学院に入り、女優になりたいという夢にむけて早稲田大学に入学。早稲田大学では、アナウンス研究会に入り、在学中はアルバイトでラジオのアナウンサーの仕事に従事する。卒業後は芸能事務所に所属し、テレビの仕事に従事する。その後、お母さんが活躍できる世の中を目指したいという想いを胸に、株式会社キャリア・マムを設立する。
全国のお母さんの悩みであるフルタイムで仕事に従事できないことは本人だけでなく日本にとってもチャンスロスになります。株式会社キャリア・マムでは「家族を大事にして自分のスキルも大切に」の考え方をベースに育児を行うお母さんの働き方の改善に注力し、企業の人出不足やコスト改善に役立てるサービスを展開しています。今回は代表である堤様にお話を伺いました。
フルタイム外勤ができないお母さん方も活躍できる仕事を!という想いを胸に起業
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、堤さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
神戸女学院に入り、そのまま大学にまで進む予定でしたが、女優になりたいという夢があったため、指定校推薦という形で早稲田大学に入学しました。
大学では、沢山のアナウンサーを輩出しているアナウンス研究会に入りました。当時は知らなかったのですが、自然と関西弁が出てしまい、標準語に治すため先輩が時間を割いてくれたことを後にアルバイト先の社長から聞かされました。
それがとてもうれしく、こんな自分でもお役に立てることがあれば!という想いと、様々な仕事に挑戦したい!といった意欲などもあり、ラジオの仕事に挑戦しました。
卒業後は芸能事務所に所属し、少しずつテレビなども増えてきました。その中で、オーディションでは才能よりも年齢によって選ばれるという現実に直面しました。また、アナウンス技術とは違う容姿などの理由で選ばれるというのが悔しくてなりませんでした。
当時すでに結婚もしていたこともあり、子供を産んでも仕事のキャリアが積み重なることをしたい!と思うようになり、添乗員の仕事を始めました。しかし、子供が生まれると思うように時間が取れず、働けなくなってしまったのです。
さらに子宮がんの検査に引っ掛かり、検査入院をする中で心に誓ったことがありました。それは、「子供にとって良かれと思う日本の世の中を作っていくため、お母さん方にもっと自信を持って勇気づけることをしたい」ということです。
そこで、働き方を変えることで彼女たちを活用できる環境を提供したいと考え、株式会社キャリア・マムを設立しました。
誰でも・いつでも・どこでもチームで請負受託するという働き方を考案
--現在、アウトソーシング事業を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
元々フルタイムで外勤ができない人たちを活用するにはどうしたらよいか?というところから始めました。現在メインとなっている事業は、企業から受注したアウトソーシング事業になります。
このアウトソーシングについては、原則在宅で1人で一人前相当の働き方ができないという方が多くいらっしゃいました。そのため、3人で3分の1人前、10人で10分の1人前というような形を採用しました。そうすることで誰でも・いつでも・どこでも・自分の得意なことを自分のやれる量だけ、チームになって請負受託をするというような働き方ができるようになっています。
仕事の内容については様々で、アンケートのデータ化やオンライン採点、アノテーション、口コミプロモーションなどのBPO業務があります。
1つめの「アンケートのデータ化」の具体的な内容については、アンケート内容のデータ化を実施しています。このアンケートのデータ化も当初はワープロでした。ところがその後パソコンが普及するようになり、パソコンで行えるプログラムソフトの活用や翻訳の仕事の依頼なども来ました。
2つめの「オンライン採点」では、土日に行われる模擬試験をみんなでオンライン採点します。塾は月曜日から始まるので、その前日の日曜日の夜にみんなで作業を分担して行うというのが今最も大きな仕事となっています。
3つめの「アノテーション」はアノテーションというAIに学習させるために必要となるデータを作る仕事です。
4つめの「口コミプロモーション」は対象者を探し、記事・経験談等を書いていくというライティングの仕事になります。
ほかにも、東京都の創業支援の施設としてコワーキングの運営を行っています。コワーキング施設では珍しいのですが、保育室が併設された施設もあります。
こうした保育室が併設された施設が全国にも広がればよいと思い、コワーキング施設のフランチャイズ展開も計画しており、NPOさんと一緒に徐々に進めています。
--ユーザー様からの反響だったり、この事業をやっててよかったなと思うエピソードについてお伺いできますか。
私自身は、生まれた時に心臓に穴が空いていたので3歳まで生きられるかどうか分からないと言われていました。そのため何とか死なさないようにと、あまり外にも出してもらえず、人との関わりというのは、両親と本だけでした。
そういった経験から、アナウンサーという仕事を経験した今でも、人とのコミュニケーションは未だに取りづらいところがあります。そうしたことから私と相手との関係性についても、私なりの考え方というのがあります。
それは私との関係性において、相手がどう変化していくかというのが、私にとっての興味や関心・喜びなのです。つまり私は自分のことを触媒だと思っており、触媒というのは相手を変化させた後は消えてなくなります。
それと同様に相手が良い方向に変わっていくことに何か関われたらいいなと、良い方向に変われる跳び箱の飛び台が私の仕事だと思っています。それこそ私という飛び台からジャンプすることで、様々な可能性にチャレンジしてくれることがうれしいのです。
できるかどうかは二の次で、万が一、着地に失敗しても仕方がありません。それよりもジャンプ台の前で引き返されてしまうほうが残念だと感じます。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
キャリア・マムの働き方というのは、「家族を大事にして自分のスキルも大切に」というものなので、比較的家族思いの人が多いと思います。また教員免許を持っている人が2000名以上いるので、とにかく曲がったことが嫌い、正しいことをやっていきたいといった誠実な女性も多いですね。
元々私自身が、良い未来を子供たちに渡したいということからこの会社を設立したので、大なり小なりそこに賛成している方々だと思っています。従って、隙間時間に稼ぐとか、嘘をついて沢山儲けるといった人もまずいません。そのため、お客様の7割から8割にはリピートしていただいております。
現在テレワークを進めていますが、テレワークは大きな工場や多くのデスクを持たなくても、500名とか1000名という大人数での仕事が可能です。そうした点もコストレスでパフォーマンスを上げることができる大きなメリットだと思います。
一人でも多くのお母さんのキャリアを支援していきたい
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
現在の弊社のビジネスモデルは労働集約型なのですが、そうしたアウトソーシングというのは相手の会社の都合によって発注が止まってしまうこともあります。それこそ川上と川下の例えで言うと、川下の立場に当たります。
そこで私たちにとって川上の仕事というのは、通わずに働き方を広げていくことです。そうしたことからも第3の事業とも言われるコワーキング、その地域ごとに活躍できる場所のフランチャイズ展開を進めていきたいです。
また、今登録は10万〜20万人となっていますが、実際に仕事をしていただいているのは3000人程度です。このようなアクティブユーザーを早く1万人まで引き上げたいです。3000人の時点で5億円の売上があるので、1万人にもなれば、10億に到達します。
もちろんその段階まで持っていくには、仕事の幅を広げ、単価も上げていく必要があると思っています。そのためには、学ぶということを楽しんでいただけるような環境作りが重要であり、私が今後提供していくべき課題です。
また、現在eラーニングの協業をすすめています。まだ教育段階なので外の力も借りながら作っていきたいと思います。ただし学んで終わりではなくて、学んだことを使って稼ぎ、その資金を投資・寄付をするという次元へと発展させていきたいです。
それこそ全国のお母さんたちが、使うとか貯めるというのではなくて、投資をして寄付をし始めたらこの国は、とてつもなく化けるのでは、と思うのです。その次元まで持ってくために、まずは稼ぐということをしっかりやっていきたいと思っております。
--今後取り組んでいきたい案件などあればお伺いできますか。
私たちの業務の1つにミステリーショッパーという覆面調査があります。この覆面調査にも目的の異なるものが2つあります。
1つめは、フランチャイズ展開をしている全国のお店のサービスクオリティーを統一しておきたいという時に、各お店の覆面調査の仕事をいただけると全国の会員さんにマネージャーがテレワークで支持できるのでコストがかかりません。
2つめが、プロモーション型の覆面調査で全国各地域に登録しているキャリア・マムの会員さんに依頼ができるのでゼロから開拓するよりも手間がかかりません。
その他不動産オーナーや民泊事業者さんにとっても、地域のキャリア・マムの会員さんを使ったお仕事の依頼が可能です。さらにはメンターという伴走者のシステムや引きこもり支援など、そうしたシステムも活用していただけます。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてピーアールやメッセージをいただけますか?
成長している企業様の場合、社員さんも業務で多忙で新しいプロジェクトに余剰人員を割けないということがあると思うのです。そうした時にキャリア・マムの在宅ワーカーは、ポテンシャルが高いので使っていただければと思います。
また新しい人材活用の1つとして、キャリア・マムのチーム型の請負受託というシステムも活用していただければと思います。
--本日はありがとうございました。
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