山崎 春奈(やまざき・はるな)
株式会社Cannpass 代表取締役社長
東京外国語大学アラビア語科卒業。石油会社、リクルートキャリアを経て、外資系メーカーに在籍中。
会社員として働きながら、PRプランナー/PRライターの活動を始め、2020年8月には株式会社Cannpassを設立して代表取締役に就任。会社員と経営者というパラレルキャリアを実践している。
社員の副業を認める企業は増えてきましたが、本業がおろそかになるなどのネガティブなイメージがまだ残っているのではないでしょうか。しかし、副業をすることで自身の心のバランスを取ったり、副業で得た経験を本業に活かしたりすることもできます。会社員を続けながら、PRを軸とした人材育成・キャリア支援サービスを展開する株式会社Cannpassを立ち上げた、代表取締役の山崎様にお話を伺いました。
キャリアを追求した結果たどり着いた「二足のわらじ」
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、山崎さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
東京外国語大学でアラビア語を専攻し、新卒で石油会社(現・ENEOS株式会社)に入社しました。もともと海外への興味が強かったため外国語大学に進学したのですが、そのなかでもアラビア語を選択した理由は、英語ができる人は多いので、他の人ができない言語ができるようになりたいと考えたためです。また、中学生の頃にアメリカで同時多発テロがあり、中東の政治や文化を学びたいと思ったのも理由の1つでした。
1社目では、岡山県の海上物流の部署に配属され2年半勤めましたが、年功序列を重視する日本的な社風が合わず、リクルートキャリアに営業担当者として転職しました。リクルートキャリアを選んだのは、1社目と真逆の社風に惹かれたからです。もともと知人からキャリアの相談を受けることもあったので、入社してから人材業界は自分にマッチしていると感じましたね。
現在勤めているドイツ系のメーカーはリクルート時代の取引先で、一緒に働かないかと誘っていただいたのがきっかけで入社しました。外国語大学を卒業していることもあり、英語で仕事をしてみたい、グローバルな環境でチャレンジしたいという思いがあり、外資系企業ならそれが叶えられるのではないかと考えたのです。
ドイツ系メーカーでの仕事が本業で、2020年に立ち上げた株式会社Cannpassの経営者という立場は副業です。2016年より本業とは別に、株式会社itty selectionに所属し、副業でPRプランナー/PRライターとして活動していました。そして2020年に同社の事業を譲り受ける形で自分の会社を立ち上げることになったのです。本業か副業かにかかわらず、どちらも本業という気持ちで取り組んでいます。
PRの仕事に出会ったのは偶然でした。数年前、個人で働けるスキルを身につけたいと思い、さまざまな勉強会に足を運んでいた時期がありました。そのなかの一つがPR会社である株式会社itty selectionの社長が開催していたPRライターの入門セミナーだったのです。未経験からできるということで気軽に始めてみたのですが、取り組むうちにPRは自分が仕事で大切にしていることや大事にしている姿勢に近いと考えるようになりました。
会社員・経営者の両方の視点を持つことが強み
--貴社の事業内容について、改めてご説明をお願いいたします。
弊社の事業はPRとキャリア、人材育成に軸足を置いています。プレスリリース・採用PR記事作成、Webコンテンツ作成など、PRライティングを中心とした、企業やフリーランスの広報&PRサポートが主なサービスです。
また、PRの仕事に興味がある方に向けて「広報・PRプランナー&PRライター養成講座」を運営しています。未経験からPRができるようになる講座で、受講生は女性が多いですね。この講座の卒業生を中心に、弊社では現在30〜40名の副業・フリーランスPRライターを抱えています。PRライターには一人で仕事を進められるレベルの方から、スキルアップ中の方までいらっしゃいますが、仕事を任せながら成長してもらうという人材育成の側面もあります。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
自分自身が副業として経営者をしているので、会社員と経営者の両方の視点を持っているのが強みです。大企業側の事情がわかることは、企業と仕事をするうえで役立っています。また、キャリアや人材育成の面では私自身が副業したい人や独立したい人のロールモデルになれます。また、外資系企業に勤めているので、取材など、英語が必要な場面でお手伝いできることも強みですね。
自社でライターを抱えているものの、案件ごとに適切なライターを選んで仕事をアサインするのに苦労されている企業様は多いのではないでしょうか。弊社におまかせいただければ、企業様に合ったPRライターを私の方でアサインし、さらにPRライターからのアウトプットは最終的に私がすべて監修したうえで納品しますので、クオリティ面も安心してご依頼いただけます。
--どのように講座受講者やクライアントを獲得されていますか。
講座受講者はWebマーケティングやイベントによる集客が多いです。また、SNSでコツコツと発信もしています。
一方、クライアントさまの多くは紹介で弊社を知ってくださっています。PR事業に携わる弊社のポリシーとして、アウトバウンドの営業はしていません。インバウンドのお問い合わせをいただけるよう、コンテンツづくりなどはコツコツ進めていますが、今のところは知り合い経由でお仕事のご依頼をいただくことが多いですね。
副業する人のロールモデルに
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
PRの必要性を感じている企業様は増えていると思いますが、社内に専任の担当者を置くのは難しい場合も多いのではないでしょうか。弊社は、そのような企業様を外部のパートナーとしてサポートしていきたいと考えています。また、PRができる人材の育成を弊社がお手伝いをすることも可能です。
PR=広告というイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、本来PRとはコミュニケーションをデザインするものです。そのため、PRを学ぶことは一般のビジネスパーソンにもメリットがあります。いずれはそういった方向けにPRを教えられるようになったら良いと思っています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
自社内で広報PRに取り組みたいが人材が育たない、足りないという課題を持っている企業様はぜひご連絡ください。
また、私自身が現在外資系企業に勤めているため、単なる翻訳ではなくグローバルな視点でのPRサポートもできます。日本向けプレスリリースなど、自社内で対応が難しいといった場合に、お声がけいただけましたら幸いです。
ゆくゆくはPRという分野を超えて、女性のリーダー育成にも力を入れたいと考えています。人材育成、リーダー育成、スキルアップなどをイメージしていますが、女性がどのような課題感を持っているのかを知りたいので、そういったことが話せるつながりもほしいですね。
社員が副業をすることに対して、本業がおろそかになってしまうのではないかなどネガティブに捉えている企業様はまだ多いのではないでしょうか。しかし、一人の人が叶えたいことを100%満たせる会社はなかなかありません。そのため、副業をすることでバランスを取り、幸福度が高まる場合もあると思います。また、副業で経験したことを本業に還元することもできます。今後も私自身が副業を目指す人のロールモデルになりたいですね。
--本日はどうもありがとうございました。
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