左脳×右脳で人にしか創れない未来と、新たな常識を創出し続ける

左脳×右脳で人にしか創れない未来と、新たな常識を創出し続ける

株式会社Bulldozer 代表取締役 尾和 恵美加

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2021.12.01

尾和 恵美加(おわ・えみか)

株式会社Bulldozer 代表取締役

大学卒業後、日本IBMにコンサルタントとして入社。デンマークにあるビジネススクールKaospilotへ留学。その後帰国し、2018年に株式会社Bulldozerを設立。アート思考を活用したコンサルティングで、企業の価値創出、課題解決に取り組んでいる。

アート思考をご存知でしょうか。芸術家の思考方法をビジネスの場に取り入れるという、新しい思考法です。近い将来、人間はAIに仕事を奪われてしまうのではと話題になっていますが、企業がこの先も存続するためには、AIにはできない唯一無二の価値や文化が欠かせません。こうした新しい概念や価値を生み出すことこそがイノベーションであり、そのために今、必要なのがアート思考であると話すのは株式会社Bulldozerの尾和代表取締役です。自身の哲学と本質を見抜く目で、アート思考を活用したコンサルティングを行う尾和様にお話を伺いました。

 

 

不名誉だった「右脳爆発系」がすべての始まり

 

 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、尾和さんが起業されたきっかけをお聞かせください。


大学を卒業後、日本IBMにコンサルタントとして就職し、デザイン思考という思考法を使った働き方改革のプロジェクトで、製造業や物流、航空関連など様々な業界の働き方改革に携わりました。


自分ではコンサルタントは天職だと思って入社したのですが、社内で「右脳爆発系」とあだ名をつけられてしまったのです。コンサルタントは左脳を駆使して、ロジカルに課題解決をするもの。私はそうではなかったということに気付かされた時期でした。そんな私がコンサルタントとして結果を出すために、自分自身の価値について真剣に考えるようになっていきました。そして同時に、自分の価値は「右脳」にあると再認識したのです。


また、2045年にAIが人間の能力を超えるシンギュラリティ問題が話題となった頃、「人間の価値とは何か」を考えるようになりました。人間ができることは0から1を生み出すことで、それがこれからの時代のテーマになるのではと思ったのです。

実際に0から1を生み出すクリエイティブな環境に身を投じてみようと考え、週末はファッションデザインスクール「coconogacco」に学びに行きました。スクールで芸術家の人たちは左脳と右脳をかけ合わせて作品を創作していると分析し、左脳と右脳をかけ合わせることで、0から1が生まれるのではという仮説が生まれました。

 

そのことを検証するためにデンマークのビジネススクールKaospilotへ留学を決意。しかし、実際に留学してはみたところ、私が当初イメージしていた学びとは違うと感じて中退しました。また、現在の主軸事業の「アート思考」の元になるプロジェクトの構想ができていたこともあり、学ぶよりも起業をすることを決めました。

当初、スペイン・バルセロナで起業しようと考え、デンマークから引っ越しをし、現地で事業のためのリサーチを数ヶ月間行いましたが、最終的に日本で起業することになりました。その理由はヨーロッパで過ごして観察した結果、新しい時代への鍵を握るのは日本だと感じたためです。そうして2018年に設立した株式会社Bulldozerは2021年9月で4期目となりました。


日本IBM時代につけられた「右脳爆発系」というあだ名も、今では自分を表現する肩書になっています。


 

正解がない時代に、それぞれの答えを生み出すアート思考

 


--貴社の事業内容について改めてお伺いできますでしょうか。


アート思考を活用した企業への各種コンサルティングを行っています。


アート思考とは、芸術家の0から1を創り出す思考力をビジネスのプロセスに取り入れる考え方です。よく「芸術的なセンスがないので、難しいのでは」と聞かれるのですが、芸術的なセンスは全く必要ありません。芸術家は自身の中に哲学や理想を持っていて、それらを形にするために深く考え、その発見や提案を伝える結果として世の中に作品を生み出しています。同じことをビジネスの現場でも活用するのがアート思考なのです。


今はVUCA(ブーカ)時代と言われ、将来の見通しがつかない世の中です。余計にデータやトレンドに惑わされやすいわけですが、だからこそ一人ひとりの思考や価値創出が重要になり、現代の課題解決法としてアート思考は適していると考えています。弊社では1000年先にも続く価値や、土台となる礎を企業様と共に創り、イノベーションを起こしていくことを目指しています。



--具体的にどんなコンサルティングを行っているのか教えてください。


主にワークショップ型でアート思考をお伝えしています。まずはクライアント様よりニーズをヒアリングし、目的に合わせてオーダーメイドでワークショップを設計します。

ワークショップは文字の他、体を動かして表現したり、絵を描いたり、香りを使ったりといったアクティビティです。文字だけで伝えきれない部分を立体感を持たせて表現するのが目的です。


本来、企業の中期経営計画では独自の哲学や経営理念がいちばん先にあるべきだと考えています。ところが、実際には、SDGsやDX、5Gなど技術や手法の取り入れの達成ばかりが目立つ計画を立てている企業が多いのです。DX化などは手段にしか過ぎないのですが、目的と手段が逆になっている例は多く、こうしたことは社員の日常業務でもしばしば起こります。

しかし、ワークショップを通して、社員一人ひとりが自身や会社の哲学を明確に把握し、“会社を自分ゴト化”することで、企業に唯一無二の価値や文化を創り出すことができるでしょう。


 

--貴社のサービスはどのような業種、職種を対象とししていますか。


業種や職種を問わず、幅広くサービスを提供しています。これまでの導入実績は9割以上が大手企業で、最近ではリピートのご依頼も増えてきました。首都圏だけではなく、地方の企業様へのサービス提供実績もあります。コロナ禍以降は、オンラインでもワークショップを開催しています。


ワークショップに参加された方からは、「普段考えないことを考えられるきっかけになった」「会社を自分事として考えることができるようになった」「会社の歴史を知り新しい概念が得られるようになった」などのご感想をいただきました。



--貴社のサービスの独自性は何でしょうか。


弊社の独自性は、過去、現在、未来と、時間軸を飛び越えて物事を見るワークショップを通じたコンサルティングにあります。そうでないと、立体的に観察して、本質的な哲学や価値を導き出すことはできません。

いわゆる内発的動機や感性・直感よりも、もっと大きな目線、そして高い視座が、本当にイノベーションを起こすためには必要になるからです。創業者はどんな人物だったのか、当時の時代背景や風土など、会社の歴史を分解していくことで、会社のアイデンティティを理解できます。ミクロからマクロまで幅広い視野を持つことが、新たな常識を創り出すことにつながるのです。

 


アート思考で世の中にイノベーションを起こす



--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。

アート思考が世の中のスタンダードになったら、次の段階では、アート思考のプロセスを経て作ったサービスや商品を開発することへシフトしていきたいです。いわゆる社会実装であったり、文化実装とも言えるかもしれません。それによって日常生活全体にもアート思考が浸透していくと、その人やその会社にしか生み出せない価値で溢れた時代になりますね。

 

また、私の起業家人生をかけて、タイムトラベルサービス“時代留学”を作ることが長期的な目標です。ここで言うタイムトラベルサービスとはVR、AIなどの技術を駆使して、過去に戻る体験ができるものです。

自身の常識を変える方法として、最も効果があるのは海外留学のように地理軸を変えるよりも、常識や前提がより異なる時間軸を変えること。なぜなら、歴史を知らずして未来は作れないと考えるからです。500年間で起こったイノベーションを知らないと、次の500年に届くものは作れません。そのため、オンリーワンの価値を生み出す土台になるものとして、タイムトラベルサービスを実現したいと考えています。


 

--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?


アート思考という言葉は、"アート"とついているので一見とっつきにくく感じるかもしれません。ですが、哲学や再定義が本質的な価値で、正解のない時代に正解を出していくためには、欠かせない要素となります。新規事業に関わらず、イノベーション創出の方法を模索していらっしゃる企業様はぜひ一度ご相談ください。


 

--本日はどうもありがとうございました。


 

株式会社Bulldozer

https://bulldozer.co.jp/


 

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