姜 大成(かん・てそん)
株式会社ビズリンク 代表取締役
2009年大学卒業後、銀行に就職。その間実家の倒産を経験したことによって起業を決意する。2012年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に転職。社内ベンチャーの立ち上げをゼロイチで経験し、トップセールスとして事業をけん引。2015年株式会社ビズリンク(旧Growther)を創業。趣味は多岐にわたるが、中でも読書は年間100冊読破する読書家。
これまでの資本主義社会は市場競争による経済成長を成し遂げましたが、お金を多く保持する個人や組織によって社会の格差を助長するシステムとなっていました。しかし現代社会はインターネットが一般化し、メディアは個人が持てるようになり、誰でも社会にインパクトを与える機会を得られるようになりました。今回は働き方の多様化が進む現代において、フリーランスを中心としたITプロ人材のスキル・労働力をシェアできる仕組みをインフラ化し、箱に囚われず働いていける仕組みを提供することで、全ての人が平等に可能性を最大化できる社会作りに邁進する、株式会社ビズリンク代表取締役の姜 大成(かん そてん)様にお話をお伺いしました。
難病から奇跡的に回復。「社会に貢献したい」という使命感を持つ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、姜さんのご経歴からお聞かせください。
大学卒業後は銀行に入行し、3年勤めた後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)の社内ベンチャーの立ち上げメンバーとして参画しました。ちなみに、参画した社内ベンチャーは非常にエネルギッシュなメンバーが集っていて、当時の直属の上司はその後独立して見事上場を果たしています。
その社内ベンチャーでは、顧問事業の立ち上げを3年ほど経験させていただき、トップセールスになりました。そして管理職も経験した後に独立しました。最初は、Growther(グローサ―)という会社を立ち上げ、Bizlink(ビズリンク)という社名に変更して、今に至るという経歴です。
--大学を卒業後は銀行に入られたということですが、そこから別の業界に転職をされたきっかけについてもお伺いできますか。
話は随分と戻るのですが、15歳の時に突然下半身麻痺で車椅子生活を強いられるという「ギランバレー症候群」という難病にかかりました。ゆくゆくは心臓も止まるといわれる難病でした。一時は自分の人生を恨み、自暴自棄にもなりましたが、病気と向き合い生きていくことを決心した頃、突然にして治ってしまうという奇跡が起こったのです。世界でもまれに見る事例でした。
そこから、奇跡的に生かされた命を無駄にしないためにも「何か社会に貢献しなければ!」と人生に対しての使命感を持って生きていました。将来的には起業しようという考えを持ちながら大学時代に事業を二つ立ち上げてはいましたが、まずは社会に出て学びを得たいと考え、銀行に就職したのです。
銀行では、リーマンショックの時代と重なっていたため融資を積極的に行う以上にお金を回収する仕事が多くありました。その結果、銀行としての利益を得るためには融資の必要がないというところに頭を下げてお願いをするのです。それでいて返済を待ってほしいというところに対しては、無理を言ってお金を回収していました。そんな金融業界の「晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」という言葉の真髄を実体験し、「これが資本主義の実態だな!」と感じました。
もちろん闇金のようにひどいものではなくて、不良債権化している債権の回収などです。家族が役員をやっているような小さな工場に行くと、子供たちから借金取りのように見られていたのを今でも覚えています。
また、同じ頃に父親が長年経営していた会社が倒産をするという憂き目にあい、実家は競売にかけられ、突如として家も車も全ての資産を失いました。丁度、私が銀行に務めている間の日中に行っていた債権の回収をされる側の立場での経験を味わうという、中々なハードシングスな経験をしました。
そうした経験から経済の仕組みや社会の環境を変えるような事業を立ち上げたくて、15歳の時に感じた使命感を達成しようと思ったのです。そこでまずは、起業家を多く出している営業会社に転職をして、修行を積んでから起業しようと思いました。
人材プラットフォーム Bizlink(ビズリンク)を軸にしてさまざまな事業を展開
--現在お取組みをされている事業について、ご紹介をお願いします。
フリーランスの人材を4000名ほど集めているBizlink(ビズリンク)という人材マッチングプラットフォームの会社経営をしています。そしてこのプラットフォームを軸にして、さまざまな事業を展開しています。
フリーランスの業務委託紹介サービス「ビズフリ」
フリーランスのミドルレイヤーからハイレイヤーまでの方々に特化した人材と案件のマッチングサービスです。フリーランスエンジニアをメインにしながら、webデザイナーやwebディレクター、マーケター、コンサルタントの方々などさまざまな職種の方々にご登録をいただいており、IT系のベンチャーからメガベンチャーに至るまで多くの企業にご活用いただいております。
DX支援を目的としたプロシェアリングサービス「ビズプロ」
4000名のデータベースの中からDXのプロ人材をピックアップし、フルタイムでお仕事をしてもらうのではなく、週に1-2回や月に30-40時間など時間をシェアいただき、企業のさまざまなIT化やデジタル化の支援をするサービスです。主に、中小企業や老舗企業・地方企業などへのDX支援を展開しています。
ビズリンクキャリア
ビズリンクキャリアは子会社なのですが、今後のキャリアを見据えた転職先を斡旋させていただく人材紹介事業を行っております。特には、IT企業やDXサービス企業に対して、若手の転職希望者をご紹介しております。生涯100年時代を個の力を身につけることで解決を図るといったキャリア形成という観点から支援しています。
一般社団法人・ITフリーランス協会
フリーランスの社会福祉制度や福利厚生制度を整備して提供している協会です。他にもフリーランスの方々が必要とするサービスを企画・開発していく予定です。
これら5つの事業が主な事業内容となります。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
Bizlink(ビズリンク)に登録することで、時間や期間、場所の制限にとらわれることなく、自身のスキルや経験を活かした仕事ができます。また法人側の目線では、正社員採用と比較して柔軟性の高い人材を活用でき、ノウハウや人的リソースを必要な時に必要な分だけ確保することもできます。
そうした画期的な仕組みが功を奏して、私たちはこれまでさまざまな企業支援を実現できました。近い将来、データベースのオープン化を予定しています。クライアントとフリーランスが直接契約できるプラットフォームに変えていく予定です。不動産業界でいうところのレインズのようなイメージです。まだこの市場には中央集権型のDBが存在しないので、それ自体が独自性であり、強みになると自負してます。
--貴社のDX支援についてですが、実際にどのような業界や企業への実績があるのでしょうか。
業界としては非常に多種多様です。下着メーカーもあれば、産廃業者や葬儀屋のDX化、あるいは人材会社や飲食・建設不動産業界など多種多様です。今やどの業界においても、DX化というのは当たり前になってきていますからね。
--では反対に、現状のサービス面での課題や改善の余地などはございませんか。
プラットフォーム全般でいうと、Bizlink(ビズリンク)のブランド認知をもっと高めていきたいです。それこそエンジニアの集客という観点でいえば、ブランド想起される順位がまだまだ低いです。現在芸能人の方を広告として起用させていただいてますが、他の施策も順次行い、もっともっと強化していかないといけませんね。
データベースのオープン化に際して、上場と登録者数1万人超えが今の目標
--今後の中・長期的な事業展望についてお伺いできますか。
まずはデータベースをオープン化していくことです。そのためにダイレクトリクリーティング、今のビズリーチさんのフリーランス版の様なシステムも作っています。集客とシステムの改善についても力を入れてやっているところです。
今後の計画では、あと3年で上場させようと思っています。そのために管理体制などを含めた準備をしているところです。中・長期的な展望としては、フリーランスや新しい働き方のインフラを作っていきたいと思っています。
さらに人材の流通最大化、流通最適化という視点では、海外の人材を取り入れていくことも考えています。国内の労働生産人口は年々減少していますし、自ずと人材の供給度も足りていません。そこで、ベトナムやインドなど海外の優秀なIT人材が我々のプラットフォームを通じて、海外の企業の仕事を受けられる仕組みを作っていこうと思っています。
今のところ登録者が4000人なので、データベースのオープン化に際してまずは1万人超えを早期に実現していこうと思っています。
--広告以外に、何か施策はされていますか。
広告以外にも、SNSの活用・運用やYouTubeチャンネルなどもおこなっています。
--事業拡大に向けて、強化したい部分やお力添えしてほしい面などございませんか。
アライアンス先とか資本業務提携といったニーズはありますね。例えば財務系のコンサル会社、いわゆる資金調達支援をしている会社ですね。その他にも、純粋な事業コンサルをしている会社とか、人材紹介会社とも提携できる可能性があります。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
最後までご覧いただきありがとうございました。
同じ様な想いやビジョンをお持ちの会社様がいらっしゃいましたら、何か一緒に協力し合えるような関係性を築き、共に良い社会を創造していければと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
--本日はどうもありがとうございました。
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