町田 正一(まちだ・まさかず)
株式会社アスマーク 代表取締役
アパレルの専門学校にてデザインを勉強後、アパレルメーカーへと就職。営業や商品企画の仕事を経験。独立を志すも、バブル崩壊により断念。その後、IT系のコンテンツ開発会社に入社。未経験のIT業界で2年間営業を担当後、起業を決意。試行錯誤の中で「マーケティングリサーチ」産業と出会い、2001年に有限会社マーシュを設立。2018年に「株式会社アスマーク」に社名変更。
マーケティングリサーチ業界は年間約2100億円が動くマーケティングリサーチ市場。国外の市場は760億ドルとも言われています。近年では、スマートフォンやタブレットなどの普及により、年々増加しているインターネットを介した市場調査ニーズ。それに伴い、リサーチ業界へ新たに参入する企業も増えており、競争に拍車をかけています。そんな中、業界での新たな試みを次々と挑戦し続ける、株式会社アスマーク代表取締役の町田氏にお話をお伺いしました。
アパレル業界から一転、マーケティングリサーチで起業へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、町田さんのこれまでのキャリアや起業のきっかけをお聞かせください。
私は学生時代から洋服が大好きで、いずれはアパレルメーカーを自分の手で作りたいと考えていました。そこで、アパレルの専門学校に入り、デザインを勉強して、アパレルメーカーに就職。営業や商品企画の仕事を経験しました。
本来はそのまま独立したかったのですが、世の中はちょうどバブルが弾けるタイミングで、在籍していた会社の売り上げが5年間で半分にまで落ち込み、倒産寸前の状態となってしまいました。そのため、起業は一旦断念しました。
--そこからどのような経緯でIT業界で起業するに至ったのでしょうか?
その後、30歳を過ぎてから出会ったのがインターネット系のコンテンツ開発会社でした。
ITの世界は未経験だったのですが、2年間営業の仕事をやっているうちに業界にも馴染み、この分野で起業したいという意思が固まっていったのです。
いよいよ形にしようと試行錯誤している中で、「マーケティングリサーチ」という産業に出会ったことが有限会社マーシュを設立するに至ったきっかけです。
(※株式会社マーシュは、2018年11月12日より「株式会社アスマーク」に社名変更しました。)
膨大な会員数を誇るリサーチ事業とコロナ禍での新たな挑戦
--現在、貴社では市場調査事業を中心にさまざまな事業を展開されていると思いますが、具体的にどのようなお取組みをされているか聞かせて頂けますか?
弊社では、現在、2つの事業を主軸として展開しています。
- 市場調査
- HR Techサービス
市場調査事業として展開しているインターネットを使ったマーケティングリサーチについてお話しします。例えば、弊社が運営・管理しているアンケートモニター募集サイト「D STYLE WEB」では、全国にインターネットを通じて約90万人の会員がいます。
仕組みとしては、まずエンドクライアントである一般企業からの依頼を受けます。そして、特定の商品やサービスの評判について会員にアンケートを取らせていただき、リサーチを実施。ここで用いるのは、定量調査と定性調査という2つのリサーチ手法です。具体的には、ネットリサーチやオンラインでのインタビューによって情報を収集しています。
--貴社にマーケティングリサーチを依頼するエンドクライアントにはどのような企業様がいらっしゃるのでしょうか?
主なクライアントの特徴としては、日用品や化粧品、食品系を製造・販売する大手企業が多いですね。弊社のリサーチ情報を商品開発や品質改良のヒントにしておられます。
--貴社では、クライアント獲得・拡大のために、どのような工夫をされているのかお伺いできますか。
弊社では、クライアントとの距離感を縮めるため、電話やオンラインによる接触頻度を増やす営業に努めています。また、足を使った営業も得意としています。
さらには、海外調査も展開しており、海外のクライアントに向けて日本でリサーチしたり、海外にいる消費者の意見を集めて日本の企業に届けたりもしています。
--その他の取り組みについてもお聞かせ頂けますか?
その他の事業としては、ネットリサーチのノウハウと分析力を活かして、「HUMAP」というサービスを企業の人事部門に向けて展開しています。
HUMAPは、6つのHR Techサービス、「在席管理 / サンクスカード / ES調査 / ハラスメント防止 / パルスサーベイ / RPA」から成っています。HUMAPを社員アンケートなどに活用していただき、組織の働き方改革を総合的に応援しています。
--その他、貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
社員みんなが、丁寧に真面目に真摯に、お客様に向き合って仕事する文化が根付いているところが弊社最大の強みです。
もう一つの強みは、ネットを通じて情報を提供してくださる、全国におられる会員の皆さまです。2000社あるリサーチ会社の中でも、膨大な会員数を保有する会社は10社ほどしかありません。
社員の負担を減らすことでクライアントへ価値を還元する
--町田さんの今後の中長期的な事業展望についてお聞かせください。
リサーチの仕事を、ある程度機械化・分業化して、工場でものを大量生産するような仕組みづくりをしたいと考えています。夜中まで残業して気合で乗り切る業界の体制を1日も早く改善し、社員のプライベートの時間を大切にできる日を実現したいと強く思っています。そして、業務を効率化した分、例えばクライアントへの気遣いなど、プラスαとなる部分を伸ばしていきたいですね。
また、海外市場調査業務については、外国人のスタッフを増やして事業を拡大したいですね。
企業の人事部門に向けたHRTechサービスも更に拡大していきたいと考えています。
新事業である、リサーチに特化したオンラインインタビューツール(i-PORT voice)の機能をブラッシュアップすることで、リサーチのDX化を図りたいですね。それにより、地方にいる人や、体の不自由な人、海外の人も気軽に繋がれるオンラインツールにしたいと思案しています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
弊社は先を見据えてアクションを起こしておりますが、リサーチ業界の中だけで何かを成し遂げることが厳しくなってきています。しかし、他の業界と組み合わせることにより、多様な可能性を感じています。
さまざまな業界の方と意見交換をし、お互いの業界をより良くしていきたいと考えていますので、リサーチ業と組んだら面白そうと思ってくださる方がいましたら、ぜひお声がけいただけたらと思います。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社アスマーク
https://www.asmarq.co.jp/
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町田 正一
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