雪山 大(ゆきやま・たけし)
株式会社アルナ 代表取締役
上智大学卒業後、ハンドバッグ専門商社で2年間勤務。その後、1998年に父親の経営する株式会社アルナに入社し、2001年に専務取締役、2009年に代表取締役社長に就任。
同じ作品でも額縁に入れるのと入れないのではまったく違って見えるそうですが、特に若い世代は額縁に額装するという経験をしたことがある方は少ないのではないでしょうか。今回は額縁の中でも珍しいアルミ製の額縁を製造されている株式会社アルナの雪山様にお話をお伺いしました。
父の想いを継いで代表に就任
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、雪山さんが代表に就任されたきっかけをお聞かせください。
1994年に上智大学を卒業し、ハンドバッグ専門商社で2年間、百貨店向け営業として勤務しました。1998年に父の経営する株式会社アルナに入社し、外回り営業、国内外の仕入、総務を経験しました。2001年に専務取締役、2009年に代表取締役社長に就任しました。
デザイン性の向上により多様なニーズに対応し顧客満足度向上へ
--貴社の事業について、改めてご説明をお願いいたします。
弊社は額縁の専門メーカーです。額縁には木製額縁、樹脂製額縁など様々な種類の額縁がありますが、弊社はアルミを使った額縁をメインに製造しています。ユニフォームケースやバットケースなど立体的な物を入れるコレクションケース作成を強みとしており、プロ野球の球団やJリーグなどとお取引をさせていただく関係で、優勝チームやMVP選手の記念品を飾るような額縁の製造も行っています。
もう一つの強みは、2019年よりデザイナーと手を組んで、アルミ製の特性を活かしたデザイン性のある額縁を企画、製造していることです。デザイナーの力も借りて、2019年&2021年にグッドデザイン賞、2020年にアジアのデザイン賞、2021年におもてなしセレクションを受賞しました。額縁業界でこのようなデザイン賞をいただくケースは稀なことです。
弊社の本社は埼玉県ですが、鹿児島に工場があるため、地理的に首都圏や関西などの消費地に近い企業と納期のスピード、価格で張り合うのは難しい面があります。その分、顧客満足度に直結するデザイン性や営業担当者のクオリティを磨くことに注力しています。
--一般的な額縁とアルミの額縁はどのような違いがあるのでしょうか
デザインや色合いはもちろん異なりますが、アルミ製額縁は希少性が高いというのが最も大きな違いです。以前は少品種、大量生産がベースでしたので多くの額縁は木製や樹脂で、そのほとんどは海外製のものでした。しかし、現在は多品種、小ロットで多様なニーズに即座に応えられる生産体制を整えることが重要で素材自体の品質も注目されるようになってきました。そのような時代の変化から考えてもアルミ製の額縁は求められるものと考えています。
額縁を使う機会はどのような業種業態でもありますので、弊社は業界やロット数に縛られず、様々なお客さまからでもご注文を承っております。個人のお客様からのご注文に対応出来るよう、オンラインストアも持っております。受注生産で額縁一枚、数千円からお買い求め頂けますので、この機会にアルミ製の額縁に興味を持っていただけると幸いです。なおコレクションケースは一万円程度の商品が中心です。
--課題と感じていらっしゃる点があれば教えてください。
機械化ができないことです。ほぼ受注生産で手作業が多いので、可能な限り機械化してスピードを上げたいと思っています。少子化や人手不足の問題なども懸念されますので、弊社のような規模の企業でも機械の導入は検討していかなければいけないと思っています。しかし、時間や段取りを考えると、手作業の方が早いのでなかなか動けずにいるのが実情です。ものづくり補助金などの制度も活用しながら、3〜5年以内には機械化を進めたいと考えております。
派手さよりも着実性。300年続く企業を目指す
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
父が0から立ち上げた会社ですので、長く継続させたいという気持ちをは常に持っています。売り上げや規模を拡大するよりは継続性を重視しており、300年は続く企業にしたいですね。
そのために、従業員満足度を高めることにも日々取り組んでいます。取り組みを進めている途中ですのでまだ改善すべき点はありますが、社内の雰囲気や働きやすさに関しては他社よりも自信があります。
先ほど申し上げた通り、安易に売上や規模の拡大を追うのではなく、多くのお客さまとしっかりと接することで末永くお取引を続けることが目標です。
スポーツ業界に強い弊社ですが、現在の中心は野球です。今後はサッカーやバスケットボール、卓球の業界でも使用していただきたいと考えており、この業界のなかでの優位性を活かし、スポーツ業界で地位を築くことを目指しています。また、ペットや音楽、ベビー用品の業界にも展開し、新たな製品を販売していくつもりです。
新規の得意先に関しては紹介が多いです。競合が3社ほどおりますが、そのなかでも弊社が選ばれるのはデザイン性やコレクションケースなどの立体的な額装を得意としていることが理由であることが多いですので、これからもこの部分に注力していきたいと思います。
今後も規模や売り上げにはとらわれず、継続することを重要視していますので、派手さは無くても着実に事業展開していきたいです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
額縁に作品を入れる前と後では印象はまったく異なり、それはお子さまが描かれた絵でも何百万もするような絵画でも変わりません。額装することで作品に対する思いも変わりますし、ご自身のモチベーションも上がると思いますので、そのような経験をぜひ味わっていただきたいですね。そして、その額縁が弊社の商品であれば嬉しく思います。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社アルナ
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