どこよりも良いものを開発して、日本のITをもっと良くする。

どこよりも良いものを開発して、日本のITをもっと良くする。

TinyBetter株式会社 代表取締役社長 樋口 昭太郎

カテゴリ: 動画制作・WEB制作・デザイン制作、従業員数:

2021.11.23

樋口 昭太郎(ひぐち・しょうたろう)

TinyBetter株式会社 代表取締役

 

 

2001年、東京大学卒業後、株式会社オービックに入社する。入社まもなく独学でC#を習得して、グループウェアHignelを開発。またC#のフレームワーク作成・展開、人材の育成に取り組み、会社の収益増に大きく貢献した。2017年、TinyBetter株式会社を起業。IT技術に関する広く深い知識と経験をいかし、最新のIT技術や本格的なプログラミングを活用した経営コンサルティングに取り組む。プログラミングは奥が深いとして、今なお毎日プログラムを書く。

 

コロナウイルス感染症の影響を受け、リモートワークはさまざまな業種でもはや当たり前となりました。それに伴い、リモートワークを円滑に進めるために欠かせない社内システムに対するニーズが高まっています。使いやすいことはもちろん、業種や仕事内容にフィットするツールが求められているいま、チャット機能とタスク管理を備えた国産で唯一の総合ワークスペースを開発した、TinyBetter株式会社の樋口様にお話を伺いました。
 
 

史上最速で昇進を果たす

 


--本日はよろしくお願いします。早速ですが、樋口さんのご経歴についてお聞かせください。
 

 新卒でシステムインテグレータのオービックに入社しました。新人研修で初めてプログラミングに触れ、研修終了後は開発部に配属されました。入社当時は単調な仕事を担当していたのですが、あまり面白みを感じられず、自分でプログラムを書こうと一念発起し独学でC#を勉強し始めました。当時、C#が発表されたばかりで社内にはC#を使っている人が少なく、独学で学ぶしか方法がなかったのです。

 

その頃、社内ではIBMのNotesがメーラーとして使われ、サイボウズ社のサイボウズとガルーンがいくつかの部署で導入され始めている状態でした。この状況をみて「これくらいなら自分で作れるのではないか」と考え、入社1年目の終わり頃から、家に帰っては寝る間も惜しんでC#とASP.NETでWEBのシステムを作り始めました。新人研修でプログラミングを始めた社員が、独学でC#を学び、半年ばかりでシステムを提案したことで、周囲にはかなり驚かれました。

 

いざ完成したシステムを上司に見せると、まずは開発部、その後は徐々に他の部署にも導入されるようになり、入社3〜4年目には全社で使用されるシステムになりました。家で寝る間も惜しんで作っていたのでHignelという名前をつけてもらいました。


 

--オービック在職中は人材育成にも尽力されたと伺っております。具体的にはどのようなことをされたのでしょうか。

 

入社2年目に新人研修を担当するようになり、プログラミング言語をVisual Basic(以下VB)から将来性のあるC#に変更しました。当時、社内には研修を担当できる人がおらず外部講師を招いていたため、受講者およそ60人×10日間の講習費用が600万ほど掛かっていました。私はサブ講師として参加していたのですが、外部講師の講義内容とサンプルのソースコードが決して良いモノとは思えず、講習終了後に「来年は私が担当します」と上司に提言したのです。

 

翌年は例年より新人が100人程度多くいたのですが、160ページを超えるC#の本を作り、10日間の講義を私が全て一人で担当しました。翌年以降はサブ講師をつけてもらいサブ講師のC#の教育をしつつ講義内容をブラッシュアップしながら研修を行うことで、社内にC#を使えるメンバーが増え、会社の技術力を支える人材が少しずつ増えていきました。
 

 

--人材育成と並行してシステム開発にも取り組んでおられたのですね。

 

はい。入社5年目になると、Hignelに自分の名前がついていることもあり、社内で私のことを知らない人はいない状態になりました。管理職や経営陣にも評価されるようになり、史上最速のスピードで昇進できました。
 ちょうどその頃、会社の新しいシステム基盤開発の仕事を任されることになりました。これまでアクセスやVBで作ってきたシステムを全てC#で作り直すという大きなプロジェクトです。


 

--このプロジェクトでは、具体的にどういったことをされたのでしょうか?
 

当初は各拠点でパッケージを作って販売していました。ですが、横浜の販売システムと大阪の販売システムがあり、ソースコードが全く異なるという状態でした。システムの品質は各支店のトップのエンジニアの技量が上限になります。またオブジェクト指向言語ではないVBで作っていたため品質がそこまで高くありませんでした。さらに、同じようなプログラムをそれぞれの支店で開発していたので二重開発になり、全社で見ると無駄な作業も発生していました。
 

そこで、コードを統一するとともに、各支店から優秀な人材を集めてチームを結成し、新しい基盤づくりを主導しました。このプロジェクトで東京本社に集まったメンバーは作った基盤を支店に戻って広める予定になっていました。そのため自分は前に立たず、各メンバーに任せることにしました。主体性を持って取り組むとプログラムに対する理解の深さが生まれ、支店に戻った時により効率よく展開が進むと考えたからです。メンバーからはもっと手伝って欲しいなどの不満も言われましたが、支店に戻った後は結局自分でやる必要があります。そのため、自分がどう思われるかよりも会社のためにベストな判断を優先してプロジェクトを進めていきました。
 

社内の精鋭を集めて作ったフレームワークなので品質も高く、不具合も減少しました。また、各支店で使用しているソースコードが統一されたことで支店間でのサポートも可能になりました。例えば、遅延しそうなプロジェクトに対して他の支店などから流動的に人を派遣し、赤字プロジェクトの発生を減らすことが可能になったのです。元々の会社の強みである優れた営業力に加えて経営層が徹底的な案件のリスク管理をした結果、年商は現在では600億にまで伸び、営業利益率が20%から57%と大幅に向上しました。
 

 

--経営に多大な貢献をされていたにも関わらず、なぜ独立を決意されたのでしょうか。きっかけやタイミングについて教えてください。

 

オービックでは経営層からの信頼を得て自由にやれる環境でしたが、やれる事はやり切ったという感覚がありました。優秀な人材を育成できるシステムがきちんと機能していましたし、フレームワークの品質も安定していました。経営層にも実績を評価されていてとても居心地が良かったのですが、逆に貪欲さがなくなっている自分も感じていました。いい人に囲まれとても過ごしやすいという環境が、自分にとっては少し物足りなかったのです。そこで、会社に入った頃のように何もないところからチャレンジしたいと考え、独立することにしました。


 

戦略的・戦術的に工夫を凝らす
 

 

 

--独立時の思いを叶えるために、御社ではどのような取り組みをされているのでしょうか。事業戦略についてお聞かせください。

 

コロナ禍ではどういったサービスが必要なのかを考え直して、チャット、タスク管理、座席表の3つをベースに新しくHignullという名前でゼロから作り直しました。何もないところからまた始めたのでNULLという名前をつけました。
 

リモートワークを行う際の最大のネックは、いかに円滑なコミュニケーションを取るかということです。他社のシステムはよくできたものもありますが、やはり問題点もあります。そこで、自分でより使いやすいものをゼロから作っていこうと考えたのです。


 

--具体的にはどのような点を改良されたのでしょうか。
 

リモートワークをすると他人の作業内容が見えづらくなるため、タスクを可視化して管理する必要があります。そこでHignullでは個人、リーダー、経営者など、様々な立場の人にとって使いやすいシステムを目指しました。例えば、かんばん、一覧、カレンダー、担当別、ガントチャートなどそれぞれの立場の人にとって見やすいビューを用意しました。全てが可視化されるため、経営者はHignullを見るだけでスタッフの働き方が一目瞭然で分かります。また、タスクをしっかり管理することで社員の管理や監視をするツールを使う必要がなくなります。

 

さらにリモートワークでのコミュニケーションのためにチャット機能を作成しました。既存のチャット機能よりもUIを改善し、要対応フラグ、返信ツリー、日付アクセス、リアクションのカスタマイズなどの機能を作成して会社のニーズとカルチャーに合った使い方が出来るように工夫しました。
 

既存の国内のサービスではチャットと本格的なタスク管理(かんばんやガントチャートなど)の両方を備えたサービスがなく、別々のサービスを使用する必要があります。ですが、弊社のシステムはこれらをオールインワンで提供でき、かつ一つひとつが既存のものより優れた機能を持たせることを目指しました。ユーザーに喜んでもらうために、既存のものに負けないシステムを作るプロセスは本当に面白いと思います。


 

--樋口様がそれほどまでにエネルギッシュに活躍できる原動力は何ですか。

 

プログラミングの奥が深く、非常に面白いからだと思います。私はもともと、ゴールは遠い程面白みを感じるタイプです。しかも「とにかく頑張る」のではなく、いろいろと工夫することに魅力を感じます。プログラミングはとても難しく膨大な知識が必要で未だに自分が出来るようになったと思えません。それだけ難しいと感じていますが、同時に学ぶ面白さも尽きることがありません。
 

私は今でもすべてのコードを一人で書いており、こだわって作ることでシステムの機能は格段に向上します。自分で調べて実装して、部品化するというステップは、とてもおもしろく、奥が深いことを実感しています。プログラミングに関する専門的な情報は日本語では得られないことが多いので、海外のサイトなどもチェックしながら仕事を進めます。10年くらい前からは自分の記事も投稿しており、高い評価をいただいております。


 

--非常に魅力的なお話ですね。その他にも様々な事に取り組まれているかと思いますが、詳しくお伺いできますか?
 

共同経営者がエンタメ系に強いので、舞台演出やCM制作にも取り組んでいます。一昨年は映画も作成しました。また、コンサルティング業務も行っています。本格的なエンジニアでビジネスについて話せる人は少ないのが現状で、ITやDXで相談に乗ってほしいという声をよく頂戴します。


 

業界に特化したシステムを作る


 

--今後の展望についてお伺いできますでしょうか。

 

仕事に関わる基本的な機能、カレンダー、タスク管理、チャット、予約管理などについては随分と機能が充実してきたので、今後はその上に業務に特化した機能を作っていきたいと考えています。


 

--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?


 

現在、信販、信販、建設、士業、建設など、さまざまな業種で取り入れていただいておりますが、今後はさらに幅広い業種、業界でご活用いただけるよう、TeamsやG Suiteとの連携機能を充実させていく予定です。また、業界に特化した機能を共同開発していく取り組みを行っております。例えば歯科医院のクリニックの受付システムの構築や、ケグの管理という特殊な業務のあるビールの醸造業界向けの原価管理システムを開発中です。
 

今後も各業界向けの共同開発は進めていく予定です。人材派遣、メーカー、商社など各業界に特化した優れたシステムを作っていきたいと思っているのでもし興味がある方がいれば是非連絡いただきたいと思っています。
 

これからも、どこよりも良いものを作って、さまざまな業種、業界で使っていただくことで、TinyBetterという会社の名前の通り、日本のITをより良くすることに貢献したいと思っております。ぜひ皆様の事業をITの面からサポートさせていただければと思います。


 

--本日はどうもありがとうございました。


 

TinyBetter株式会社

https://www.tinybetter.com/

 

 

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樋口 昭太郎

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