稲角 秀幸(いなずみ・ひでゆき)
株式会社ユーラスエナジーホールディングス代表取締役社長
大学卒業後は株式会社トーメン(現豊田通商)に入社。プラント輸出を行う部署に配属され、インドネシアやイラン、イラクなど世界各国で事業を推進する。2012年からは株式会社ユーラスエナジーホールディングスの取締役に就任し、2015年、同社の代表取締役に就任する。
近年、環境問題はより深刻化してきており、再生可能エネルギーにも世界的な注目が集まっています。2020年には世界の設備容量のうち、36.6%を再生可能エネルギーが占めているとのデータも出ています。そのような状況の中、1987年という早い段階から再生可能エネルギーに着目し、現在では世界有数の事業者となっている株式会社ユーラスエナジーホールディングス代表の稲角様にお話を伺いました。
多くの海外出張を経験したのち、ユーラスエナジーホールディングス代表に就任。
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、稲角さんのこれまでのキャリアやご経歴をお聞かせください。
大学卒業後は現在の豊田通商である株式会社トーメンに入社しました。入社の理由としては大きく二つあり、学生ながらに大きなビジネスに携わりたいと考えていたため、また事業を通じて国に貢献したいと考えていたためです。
入社後はプラント輸出を担当する部署に配属され、OJTとして2年間ほどインドネシアに出張しました。そこで実戦的な経験を積んだのち、イランやイラクなど様々な国を転々とする生活を送っていました。
その後も日本に帰国したかと思えば、翌年から5年間のインドネシア駐在を命じられるなど、非常に刺激的な日々を過ごしていました。言葉の壁など困難な場面もありましたが、若さゆえにメンタルが強く、今思うと非常に楽しい経験でした。
ユーラスエナジーホールディングス自体は東京電力とトーメンの合弁会社という形で既に2001年に設立されており、私自身は2012年から海外事業/経営企画/人事・広報IRの担当の取締役として同社に関わるようになり、その後、2015年から豊田通商執行役員兼ユーラスエナジーの代表取締役に就任しました。
世界有数の事業者として、世界14カ国で事業を展開。
--貴社の事業内容について、改めてお伺いさせてください。
現在は風力発電と太陽光発電の再生可能エネルギー事業、電力小売事業、また再生可能エネルギーを活用した新規事業に取り組んでいます。
元々は再生可能エネルギーの中でも、風力発電事業からこの会社は始まりました。1987年、アメリカのカリフォルニアで事業を開始、その後2000年初頭からは太陽光発電にも着手し、韓国やヨーロッパなど複数の地域で事業を展開しています。
事業をアメリカで開始した理由としては、インセンティブ制度が整っていたためです。再生可能エネルギー事業はリスクも大きく、補助金などの制度なしには事業化は難しいものです。このインセンティブ制度はアメリカがいち早く導入し、その後ヨーロッパ、日本へと広まっていきました。日本はアメリカから10年ほど遅れての導入であったため、弊社が日本に進出したのも約10年後の1999年となります。
--風力発電業界のリーディングカンパニーである貴社の強みについてお伺いできますか?
素早い情報察知能力と、案件を目利きする力が大きな強みだと考えています。
事業内容でもお伝えしたように、弊社は1987年という早い段階から再生可能エネルギー事業に参画しました。これはアメリカでの需要の高まりをいち早く察知し、かつそれが中長期的に続いていくと判断できたためです。
事業を開始するにあたって、最も重要となる風況に関して、過去50年分のデータを全て調べました。その結果、年によりブレはあるものの、長期間のトレンドとして吹く風は±7%ほどの誤差しかないことが分かり、そのリスクをとれば事業化ができることを突き止めたのです。
このように、案件と国の動きに対する目利き力があったため、アメリカに次いでヨーロッパ、日本でもいち早く事業を行うことができ、先行者という強みにつながっています。
そういった情報を素早く察知できるのは弊社の成り立ちが関係しています。弊社は商社と電力会社のジョイントベンチャーとして設立しているため、商社が持つ世界各国のネットワークを活用して情報を掴む事が出来るのです。これも大きな強みの一つですね。
また、世界的に見てもここまで多角的に事業を展開している再生可能エネルギー事業者はほとんどいません。弊社は現在14カ国に進出しており、世界でも有数のグローバル展開をしている再生可能エネルギー事業者となっています。発電に関しては紛争などの地政学的なリスク、また風量などの自然環境面でのリスクが伴いますが、そういったリスクを分散できるような体制となっています。
更に開発から操業保守に至るまで一貫して手掛けている点も強みです。日本国内では開発から、発電所の操業・保守メンテナンスまで一貫して行っています。このことにより、各段階でのそれぞれのコスト構造を把握することができ、プロジェクト全体の事業費の妥当性が分かることにもつながっています。
--ありがとうございます。貴社が事業をする上で大事にしている考え方などはありますか?
やはり、地域住民の信頼を得て事業を行っていくことですね。住民から見れば我々は部外者であり、その部外者が地元にやってきて、良好な自然環境を利用して発電をし、利益のみを得る。このような構造に疑問を感じる方も多くいらっしゃると思います。弊社ではそういった不信感を払拭し、お互いが気持ちのいい関係で事業を展開できるような取り組みを行っています。
具体的には「地域貢献規定」というものを定めて、地元への寄付金からボランティア活動への参加、地域の学校に対しての設備提供や出前授業の実施などを行っています。こういった活動により地方住民との信頼関係を築くことで、初めて持続可能な事業になると考えています。
再生可能エネルギーの活用を通じて地球環境の改善に尽力。
--今後の事業展望についてお伺いできますか?
再生可能エネルギーを活用した新規事業を推進していきたいです。そのきっかけとしては、再生可能エネルギーが普及し、多くの事業者が着手し始めたことです。エネルギーは電気を作り、送電線で流してお客様に届けるというステップなのですが、この送電線のキャパシティが足りなくなっており、追加するための費用が発生したりなど様々な制約が発生するようになりました。
そこで、そのような制約を受けない事業は出来ないかと考え始めたのです。イメージとしては自社で発電したエネルギーを計算力や水素、アンモニアなど別の形にしてそれぞれの需要家に届けるビジネスを検討しています。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
弊社は地球環境のこと、将来の子供たちのことを第一に考えて事業を展開しております。環境問題は多くの方が協力していくことで初めて解決できるものです。そのため、同じ志を持つ会社様がいらっしゃれば是非アライアンスを組みたいです。
将来の子供のため、環境のために何かを考えている経営者、決裁者の方がいらっしゃいましたら、是非とも一度ご連絡ください。
--本日はどうもありがとうございました。
株式会社ユーラスエナジーホールディングス
https://www.eurus-energy.com/
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