深沢真太郎(ふかさわ・しんたろう)様
BMコンサルティング株式会社 代表取締役
数学的な考え方を持つビジネスパーソンを育成する「ビジネス数学」を提唱し、1万人以上を指導してきた教育の第一人者。著書に「ビジネス数学の第一人者が教える 史上最高にわかりやすい説明術」「徹底的に数字で考える。」などがある。
教育コンサルタントは教育に関する指導や助言を行う仕事です。もともとは教育機関や一般家庭の個人に対しての支援ですが、グローバル化が進む中でビジネスマン向けの教育が行われることも増えてきました。学校で学習した内容をビジネスシーンで活用するためには、ビジネスにおいての使い方を理解している必要があります。ビジネス数学で「数と論理に強い人を創る」と企業向けに教育プログラムを行い「数字を武器にできる人財」を育成しているBMコンサルティング株式会社代表取締役の深沢様にお話を伺いました。
ビジネス数学教育を広めるために独立、企業への教育研修を多く手掛ける
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、深沢様の今までのご経歴をお聞かせください。
幼少期から数学に魅入られて大学〜大学院ともに数学を研究し理学修士(数学)を取得しました。数学は他の科目と違い暗記するだけではなく、推理して答えを出すので成功体験が得られやすい点に魅力を感じます。
最初は予備校教師として勤務しましたが、受験教育は偏差値を上げることに重きを置いているため、自身の実現したい事とのギャップを感じ、外資系ファッション業界に転職しました。
そこではデータ分析やロジカルシンキングが得意な人が少なかったため重宝され、マーケティング、事業開発、マネジメントなど多岐にわたる業務を経験しました。
漠然と「学生時代に数学を勉強するものの、社会に出てからうまく活用されていない現状」をもったいないと感じ、ビジネスパーソンが数学を使うための数学教育を広めようと35歳の時に独立し、教育事業を始め、現在に至ります。
--確かに学生時代に勉強した数学に対し、今も苦手意識を持っている方は多いように感じます。創業時どのようなことから始められたのでしょうか。
ビジネス数学の認知度が世の中で低かったため、まずクライアントを増やすことから取り組みました。最初に行ったのは新入社員研修など、既存の人材育成マーケットでニーズのある仕事を食わず嫌いせずに担当させてもらいました。
そうして信頼を勝ち得てから自身の取り組みたいビジネス数学教育についてお伝えしたところ、徐々にビジネス数学の大切さに共感してくれる企業が増えていきました。
人に寄り添う指導で数学への苦手意識を改善し、ビジネス数学を教え広める
--貴社が軸とする事業の詳細について改めてお伺いできますでしょうか。
私たちは数字に強い人材を創る専門家集団として、人材育成コンサルティング事業を行っています。教育テーマはビジネス数学で、主に取り組んでいるのは3つです。
1つめは「 教える」です。仕事をしている人の悩みは一言でまとめると成果が出ないことだと思います。課題を抱えている人に「数字でものを考え数字で話す」ことを教え、成果が出て問題を解決できるビジネス人に育てる教育を行います。現在は企業様からご依頼をいただいて、トレーニング研修などを行っています。
2つめは「 広める」です。企業様に対する教育研修もそうですが、ビジネス書を出版することでビジネス数学の必要性を広める活動がこれにあたります。
そして3つめが「育てる」です。2018年よりビジネス数学インストラクター制度を立ち上げ、ビジネス数学のトレーナーの養成に力を入れています。
教育をテーマに3つを軸とした事業展開をおこなっております。
--ビジネス数学が貴社の独自性であると思うのですが、その中でも貴社の強みについて詳しくご説明いただけますでしょうか。
数学が苦手な人にとことん優しく寄り添って、教育活動を行っている点が弊社の強みです。当たり前のように感じるかもしれませんが、データや数学的なことを話す人はどうしても物言いが上から目線になっている人が多いなと感じています。「数字が苦手」「数学なんて今更」と考えている人は、上からの物言いですと、心を閉じたまま全く聞く耳を持ってくれません。
数学の苦手な人には「寄り添った教育」が必要だと考えております。当たり前の話なのですが、専門家の多いこの分野においてはこの前提が当たり前になっていません。
まずは「数学を受け付けない」と閉じている心のシャッターを開ける役割が、私が現在取り組んでいることです。少しでも数学に対してのハードルが下がってくれれば、ビジネス数学に対して様々なことを話せる人が多い業界ではありますので、教育は進んでいくのではないでしょうか。
そこに行くまでのお手伝いを推進するのが私の仕事だと自負しております。
--教育は教えるだけでは完結しない点が難しいですね。現在の課題について教えていただけますか。
「数学が苦手な人に寄り添う」という考え方をしているビジネス教育者が少ないことが課題だと感じています。
創業当初は、自分自身をブランド化して教育活動を行っていたので、自分にしかできない教育をすることが強みであり良い点だと思っていました。ブランディングに価値があるという考え方です。
私は自分だけが注目されたいわけではなく、ビジネス数学教育が広まって定着してほしいと思っています。自分だけでやっていても広がっていかず、スケールしていく考え方が必要だと考え方が変わりました。
さらに今後の課題として人材確保・人材育成といった点も挙げられます。
現在は指導者を増やすためにビジネス数学インストラクター制度をはじめ、インストラクターを養成しています。指導者が増えれば、必然的に学ぶ場は増えると考えているので、結果的に、ビジネス数学が日本全国の学校や企業で普通に学べるようになると想定しています。
教育の対象年齢を下げ、学校の現場でビジネス数学を教えたい
--今後の中長期的な事業展望についてお聞かせください。
インストラクターを増やしていくことが直近2〜3年の重要なタスクですが、それに加えビジネス数学教育の対象者年齢を若くしたいと考えています。
今は仕事柄、企業の管理職や中堅のビジネスパーソンへの教育や指導が多いですが、本来であればビジネス数学を学生時代に学んでもらうことがベストです。受験勉強の数学だけでなく、ビジネスで通用する数学の考えを持っていれば、社会に出た際に悩まずに済みます。
学校の授業の中にビジネス数学を組み込むのが目標です。若い方は素直でスポンジのように吸収するのが早いので、伸びしろがあり、教育者としても教育し甲斐があります。このため少しずつ対象者の年齢を下げて教育を行っていきたいです。
そういった人を指導した方が社会に貢献できるのではないかと考えています。
--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
コロナ禍で苦しまれている経営者が多いと思いますが、苦しい中でも人に目を向けることを忘れないでいただきたいです。中長期的に考えれば人に投資しなければ乗り越えられませんので、最後は人だと考えています。
人材育成で困っている企業にお力添えができます。例えば新入社員に数字の意識を持ってもらいたい、ロジカルな説明をできるようになってもらいたい、又は管理職にデータ分析などの数学的スキルを持ってほしいなどありましたらご相談に乗りますのでお声がけください。
また教育関係者の企業とはコラボなどできれば、教育の対象者が広がるのではないかと考えています。共に教育のムーブメントを起こしていきましょう。
--本日はどうもありがとうございました。
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