子育てや生活共助のコミュニティ事業を先進的に多展開する株式会社AsMama

子育てや生活共助のコミュニティ事業を先進的に多展開する株式会社AsMama

株式会社AsMama 代表取締役社長 甲田 恵子

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2022.02.14

甲田恵子(こうだ・けいこ)様

株式会社AsMama 代表取締役社長


 

1975年大阪府生まれ。大学時代にフロリダアトランティック大学に留学、関西外語大学英米語学科を卒業。1998年に省庁が運営する特殊法人環境事業団に入団。2000年にニフティ株式会社に入社してマーケティング・渉外・IRなどを担当。その後、ベンチャーインキュベーション会社、ngi group株式会社に入社し、広報・IR室長を務める。2009年3月に退社。同年11月に子育て支援・親支援コミュニティー、株式会社AsMamaを創設し、代表取締役CEOに就任。

 

 

日本は現在少子高齢化の一途を辿っており、経済競争力の低下も懸念されています。ですが、子供の数は減っているのにも関わらず、仕事・家事・育児の負担は中々減りません。そのような状況を変えるべく、親と子供の負担を軽減できるような地域での子育て事業に注力している株式会社AsMama代表取締役の甲田様にお話をお伺いしました。


 

大きな会社で働いていれば安心という時代はもう終わり

 

--本日はよろしくお願いします。早速ですが、甲田さんが起業されたきっかけをお聞かせください。

 

20〜30代の頃は、キャリアに対して野心的な考えを持っていました。当時は、まだ男性優位社会で、女性が活躍できる場が限られていました。女性だから、若いからと言われたくなくて、人一倍努力しました。
 

早くキャリアアップしたい、早くゆとりのある生活をしたいという気持ちが強かったため、子供が生まれてからは、これまで以上に昼夜問わずに働きました。しかし、リーマンショックが起きて90%の社員が解雇されるという事態が起きたのです。
 

このとき、大きな会社で働いていれば安心、国が守ってくれるという時代はもう終わったんだと実感したのを覚えています。そこで、身近な信頼できる人から情報や時間、スキルを得られるようなプラットフォームを作りたいと思い、2009年に現在の会社を設立することにしました。

 

ご近所で頼り合えるコミュニティ作り「子育てシェア」アプリ


 

--現在、子育て支援等を中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。

 

スマートフォンを介して、子どもの世話や送迎、さらには家事や洋服やおもちゃの「おさがり」まで知り合い同士で依頼し合える「子育てシェア」アプリと、自治体や企業と連携して特定エリアの住人同士が生活や子育てを頼り会える「マイコミュ」アプリを運営しています。これからの日本は、ますます少子高齢化が進んでいきますから、一人ひとりが一層、子育ても仕事も実現できる環境を社会全体で支えていく仕組みだと思います。
 

子育てを理由に女性が社会での活躍を諦め、世帯収入を背負う男性の長時間労働が増え、女性の家事育児時間が増えていくような地域からはどんどん人が離れていきます。経済的な理由や負担過多で、第二子が産み控えられるような社会では、若年層は益々結婚や子育てに夢を抱けなくなります。晩婚化や未婚化が進めば、少子化が加速するという負のスパイラルに陥っていきます。こうした時代の中では、生活や子育てを頼り会える仕組みの提供にはニーズがあると考えたのです。

 

私は子供の頃に団地に住んでおり、お隣さんの家でご飯を食べたり寝かせてもらったりという環境が普通にありました。親からではなくご近所さんに注意されることで、記憶に残る楽しいことや、叱られたこともたくさんありました。当たり前に隣近所で頼り会える環境だったことで、父も母も、仕事や自分の趣味を、時に近所に頼りながら、安心して暮らしているように思えていました。
 

その経験から、これからの日本には、ご近所で気軽に安心して子どもを預けたり、経験や得意を生かして預かったりすることが出来る共助の環境整備が必要だと感じていました。地域全体で子育てをすることは、親や子供にとっても負担を軽減でき、我々が直面している地域や社会の課題解消にもつながるのではないか、と考えたのが事業を開始したきっかけです。


当社が開発する「子育てシェア」アプリでは登録料も手数料も無料で、利用者全てに保険が適用される仕組みですが、この仕組みを全国に広げるために、企業のプロモーションやマーケティングを支援するイベントを行っています。
 

一方で、不動産会社と連携して集合住宅の住人コミュニティを作ったり、商業施設と連携して顧客コミュニティを作ったりして、コミュニティのメンバー同士の懇親機会をつくりながら、子育てやモノの貸し借りや譲り合いを安心して気兼ねなく出来る「マイコミュ」アプリを定着させる事業も行っています。

 

コミュニティ付きマンションに入居される高齢者のお客様からは、「ここに住めばこれからずっと賑やかな余生を過ごせると思ったら嬉しい」というお言葉をいただいたことがあります。このことをマンション建設に携わった不動産会社様にお伝えしたところ、まさに、我々が目指してたものです、というご回答をいただき、心からやりがいを感じました。
 

また、自治体と連携して、市民会館や空き施設を利用して、習い事やイベント、物の貸し借りをできるような地域イベントやアプリを使った頼り合いを実現し、「暮らしやすい街」として移住や定住祖を苦心するなどの地方創生事業も行っています。このように形成されたコミュニティを活用したい企業のマーケティングやプロモーション、採用活動を支援したりもします。


 

--「子育てシェア」アプリの利用方法について簡単にお伺いできますか。
 

現在、「子育てシェア」アプリの登録者数は約10万人で、実施している年間のイベント数は2,000件です。弊社の認定コミュニティリーダー(シェア・コンシェルジュ)は1,000人を超えています。

 

シェア・コンシェルジュになるには、20歳以上の心身ともに健康な人が条件です。毎月オンラインで人材育成を行っています。コンシェルジュには、広報役、イベントオーガナイザー、送迎等託児支援員の中から業務を選んでもらいます。
 

「子育てシェア」アプリ内のやりとりは、500円から700円を謝礼の目安として利用者にお伝えしています。例えば、送りに500円を支払うケースや、送りはこちらがするので迎えはお願いしますという形でお金のやりとりをなしにするケースもあります。

 

--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。

 

現地に住んでいる人材や団体の育成、連携を軸に事業を展開していくので、全国どこでも立ち上げ可能であるところが、弊社の大きな強みであるといえます。「子育てシェア」アプリ内で登録料や手数料を取らない点も独自性があると考えています。

 

さらに、当社認定コミュニティリーダーが全国におり、地域に思いが強い人たちのローカルネットワークがあるからこそ、地域密着でプロモーションやマーケティングを行いたい企業にとっては魅力的です。
 

また、当社はアナログ的な活動だけではなく、自社開発でコミュニティを実現するICTを活用しているため、一過性の取り組みではなく持続可能な無形資産として地方や企業に価値を提供しています。

 

コミュニティというのは、だいたい5年程で自立していくものですが、どの地域でも最初はその地域の課題とニーズを知り、一緒になってまちづくりに取り組んでくれる地域のコミュニティリーダーを募集することから始まります。そしてそのリーダーたちと一緒にそれぞれの地域で求められる活性化施策を行っていきます。やがてリーダーたちは自主的に動けるようになっていくのでコミュニティが自立自走していくという大きなポイントです。まちづくりの取り組みやテレビや新聞に取り上げられることも多く、ご覧になった企業様から弊社にお声がけいただくことも多いです。


 

子育て世代から老若男女、そして多様な共助コミュニティ展開へ

 

 

--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。

 

これまでは、プレミアムな家電商品、美容用品、子育て商品は店舗に直接足を運んで買っていました。しかし、コロナ禍でなかなか自由に動けないという課題も見えてきたのです。高価なものをネットで見てクチコミをもとに買って、失敗してしまうというケースもよくありますが、商品は高いが使ってもらえれば消費者に良さがわかってもらえる企業と、試しに使ってみてよかったら買うという消費者の両方のニーズに応えたマーケティングをやっていきたいと考えています。
 

また、習い事、学校の送り迎えをクラス単位、学年単位で保護者同士ができるような取り組みを新たに始めたいと考えています。保育園、幼稚園、小学生までを想定していて、その保護者同士の懇親会の機会づくりも提供していきたいです。
 

「繋げる」、「頼り合う」を実現させることと、社会課題の解決と経済活動の創出を両立させることが弊社のコアバリューと捉えています。子育て世代だけでなく、老若男女を地域ごとに繋ぐという事業を、これからは多展開していきたいと考えています。


 

--ありがとうございます。最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?

 

コミュニティの創出や活用を通じて、自社事業の課題を解決したり、付加価値を付けたりしたいとお考えの企業様であれば、弊社と必ず組めると思っているため、お気軽にご連絡いただければと思います。
 

弊社は従業員約25人の少ないコアメンバーで運営しています。システム関係の人材、コミュニティビジネス領域での営業人材をいかに増やしていくかが弊社の課題ですね。

 

 

--本日はどうもありがとうございました。


 

株式会社AsMama

https://asmama.jp/


 

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