三浦 尚記(みうら・なおき)
株式会社3Backs 代表取締役社長
大学中退後、カメラメーカーの工場やオフィス機器メーカーで勤務。退社後個人事業主となり、2003年にIT通信ベンチャー企業の立ち上げに取締役として参画。3年間勤めたのち、父親が経営する建設会社に転職。2009年、株式会社3Backsを設立し代表取締役に就任。当初アパレル業を行っていたが、中高卒・フリーター向けの雇用型長期有給インターンシップ「リバラボインターンシップ」を開始し、現在に至る。
社会では実績が重要であるはずにもかかわらず、就職時は学歴が重視され、大卒か否かという学歴の壁が存在しています。「中高卒・フリーターでも実績さえあれば大卒並みの選択肢が広がる」と信じ、中高卒・フリーター向けの雇用型長期有給インターンシップである「リバラボインターンシップ」を行っている株式会社3Backs代表取締役の三浦様にお話を伺いました。
実績は学歴の壁を越え、キャリアの選択肢を広げる
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、三浦さんが起業されたきっかけをお聞かせください。
大学を中退し、カメラメーカーの工場勤務やオフィス機器メーカーの営業職を経験しました。もともと起業願望はまったくありませんでしたね。10代の頃はキャリアのことについて何も考えずに生きていて、社会に放り出されてはじめてキャリアや自分の選択肢について考えはじめました。
オフィス機器メーカーを退職後、個人事業主となり、2003年には仲間とともにIT通信のベンチャー企業を立ち上げて取締役に就任しました。そして、3年ほど勤務したのちに父親が経営していた建設会社に転職します。会社が後継者問題を抱えていたことと、もともと「大学卒業するくらいの年齢になったら帰ってこい」と、父から言われていたのが理由です。
しかし、結局は父の会社を引き継ぐという気持ちにはなれず、3年間勤務した後で独立を決意し、2009年に株式会社3Backs会社を立ち上げました。
--設立当時はどのような事業を行っていたのですか?
創業当時の事業はアパレル業でした。事業内容は、セレクトショップやオリジナルブランドの立ち上げ、ECサイトの運営、メディア運営、アパレル特化型の職業訓練校などです。しかし、アパレル業は5〜6年で頓挫しました。
会社を再起させる上でアパレル業から撤退することを決意し、これまでの経緯を踏まえてリバラボインターンシップのビジネスモデルを考えついたのです。準備期間を経て2017年にリバラボインターンシップを始動し、現在に至ります。
--リバラボインターンシップをはじめた理由は何ですか?
中高卒やフリーターの就職先について、大学卒業者と同等の選択肢が持てる環境を作りたかったからです。高卒中卒の求人は肉体労働の業種が中心で、大卒より就職の選択肢が狭まります。就職では学歴が優遇されているために、学歴が高いほど選択肢が広く用意されているのが現状です。
しかし、社会に出ると重要なのは実績です。実績があれば学歴の壁を超えることも可能で、大学卒業者と同等に就職先の選択肢が広がります。そこで、中高卒・フリーター向けの雇用型インターンシップを行おうと考えました。弊社のリバラボインターシップで実力をつけた人材が、学歴の壁を超えて社会で活躍してくれたらうれしいですね。
中高卒・フリーター向けの雇用型長期有給インターンシップ
--現在展開されている事業について、あらためてご説明をお願いします。
リバラボインターシップという事業をメインで行っており、その他に転職エージェントやオウンドメディアの運営、採用領域のコンサルティングも行っています。
リバラボインターシップは中高卒やフリーターなど、学歴・職歴に自信のない若者のためのキャリア支援プログラムです。弊社では、インターシップという形で若者を2年間雇用し、彼らをどこでも活躍できる人材に育て上げます。
エントリーはリバラボインターンシップの自社サイトからの流入が1番多いです。また、オウンドメディアを通じた応募やWantedlyからエントリーされる方もいます。弊社が力をいれているTwitterなどのSNSからの流入も多いですね。弊社のTwitterアカウントの総フォロワーは約2万人で、月に300〜400人くらいの流入がありました。SNSを通じて拡散したことによって、インターン生の出身地は全国各地に広がっていますね。
コースの種類は、営業(インサイド・フィールドセールス)コース・人事コース・エンジニアコースの3つがありますが、カスタマーサクセスやセールスプロモーションなどコースも幅広く増設中です。
--インターンシップであるのにもかかわらず、2年間雇用をして育成されているのですね。
そうですね。一般的なインターンシップは無償のものや、有給の場合でもアルバイトや業務委託として行われることがほとんどです。しかし、弊社の場合は雇用型のインターンシップを採用しており、その点が他社との大きな違いであると言えます。2年間というやや長めの期間で結果を出せる人材を育て上げています。
雇用型にリスクを感じる方もいらっしゃると思いますが、弊社は営業スキルを育てるノウハウに自信があるためリスクとは考えていません。やる気と覚悟がある人材であれば、どのような人でも利益をあげる人材に育てあげることができます。
具体的な育成方法としては、インターン生は営業案件の実務を通してスキルを磨きます。また、社員寮を完備し、インターン生の私生活の部分もサポートしているのが特徴です。なぜなら、今までの経験から、スキルを教えるだけでは不十分だということに気付かされたからです。インターン生の中には両親がいないなどといったさまざまな家庭環境の方がいるため、スキルだけでなくきちんとしたビジネスマナーも身に着けて、私生活も改善してもらいたいと考えています。
--貴社の独自性について教えてください。
弊社のインターンシップの独自性は2つあります。まず、スキルと実績を身に付けて転職するまでを約2年間という長期の有給インターンシップを通じて支援する点です。インターンシップの多くは数日から半年といったような短期間なものですが、それではお試し体験のような位置づけで終わってしまう可能性がありますよね。弊社であれば2年間実践を通してしっかり実績を積むことができます。
2つ目の独自性は、インターン生にマネジメント領域までスキルを身に着けさせていることです。どこに就職しても通用する人材にするためには、管理職として部下をマネジメントするスキルもなければなりません。そのため、弊社では評価制度を用いてマネジメントスキルを習得するシステムを構築しています。
マネジメントスキルを身につけさせるため、ある程度の営業スキルがついたインターン生には別のインターン生を部下として育成させることにしています。具体的には営業成績が月100万円ほどになると主任という役職となり、インターン生の部下がつきます。
マネジメントを行う立場になると重要視されるのは個人の営業成績よりも配属される支局の成果です。支局全体で結果を出すことを目標に部下をマネジメントする中で、スキルを身に付けていきます。さらにチーフマネージャー、支店長というようにステップアップしていき、段階的にスキルを会得していきます。
パートナーシップを組み、プラットフォームを作る
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
29歳以下で中高卒の人たちは全国で2~3万人いますので、弊社だけでアプローチをかけるのは大変です。そのため、人材教育がうまい企業とパートナーシップを組んでプラットフォームを作っていきたいと考えています。実際に企業内でどのように教育しているかを見て、提携先を探していきたいです。特に弊社では扱っていないクリエイティブやWebマーケティングなどの領域に強くなれたら良いですね。
また、弊社は急激にアクセルを踏んで規模拡大しています。そのため、バックオフィス、管理体制の整備が急務であると感じています。インターン生を支えるためにも、社内を整えていきたいです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
あらゆる企業で、中高卒・フリーターの採用枠が増えることを願っています。彼らは、しっかりと向き合って成長できるレールを作れば、飛躍的に成長し戦力となる人材です。
リバラボインターンシップの卒業生たちが学歴の壁を超えられるよう、社会で通用する人材を育てあげていきます。
--本日はどうもありがとうございました。
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