山田 耕造(やまだ こうぞう)
株式会社KiZUKAI 代表取締役
2010年4月に株式会社ソフトクリエイトに新卒で入社、SIer営業としてCRMツールの導入・販売に携わった経験から顧客管理の運用に関心を持つようになる。2013年4月にCRMのリーディングカンパニーである株式会社ベルシステム24に転職。最年少営業担当ながらトップセールスになりMVPを受賞し、CRMを通して様々な企業の顧客体験(CX)の支援を行う。2016年3月に株式会社モンリッチ(現:株式会社KiZUKAI)を起業。代表取締役に就任し、CX戦略のコンサルティングを開始。2019年12月に株式会社KiZUKAIに社名変更し、サブスクリプションに特化した分析ツール「KiZUKAI」を開発・運営。
新卒で入社した会社でCRMツールと出会い、そこからデータを有効活用することで顧客体験(CX)を高められると確信した山田さん。独立して起業後、サブスクリプション事業者向けのデータ分析、特に顧客生涯価値(LTV)と解約率に特化したツール「KiZUKAI」を開発されました。日本人の強みである「気遣い」をオンラインサービスでも活用し、受益者に利点があるサービスを増やしていきたいと語る山田さんにお話を伺いました。
CRMの販売・運用を通して顧客体験(CX)の重要性を感じ起業へ
--本日はよろしくお願いします。早速ですが、山田さんが起業されるまでのご経歴をお聞かせください。
新卒で株式会社ソフトクリエイトというSIerに入社し、顧客管理(CRM)ツールの営業を担当しました。働く中でCRMへの関心が増し、システムを販売するだけではなく運用について更に深く知りたいと思うようになったので、3年後にCRMのリーディングカンパニーである株式会社ベルシステム24に転職しました。
転職時の年齢は27歳で最年少でしたが、営業でトップセールスになりMVPを受賞。規模の異なる様々な企業のCRMに深いところまで関わりました。お客様とのやりとりの中で感じたのは、どの企業もデータ活用で苦労しているということ。データを有効に活用できさえすれば、顧客への効率的なアプローチができたり、プロダクトを通してCX価値を与えられたり、社内のPDCサイクルを改善できたりする。この確信が年々強くなり、29歳で株式会社モンリッチを起業しました。
創業当時はCXのコンサルティングから始めましたが、その後はCX戦略作成、カスタマージャーニーマップからのプロセスやアプローチの考案、顧客データ分析の三本柱で事業を展開。2019年12月に主力ツールであるKiZUKAIを社名とした株式会社KiZUKAIに変更して現在に至ります。
サブスクリプション事業者に特化した顧客生涯価値(LTV)/解約率改善サービス「KiZUKAI」
--現在「KiZUKAI」ツールを中心に事業展開されていると思いますが、改めてご説明をお願い致します。
事業の柱は三本、プラットフォーム事業、メディア事業、コンサルティング事業です。
主力サービスである「KiZUKAI」は、2019年から提供を開始し2021年2月に正式リリースしたプロダクトとしては若いツールで、顧客分析を自動化することで複雑な顧客データの活用を簡単にし、LTV/解約率の改善を行うことができます。
多くの会社がデータ活用に苦慮するのは、データは様々なところに散らばっていて収集が大変だし、集めたら集めたで活用するには分析が必要だからです。収集も分析も人の手が必要となれば企業内では人材が足りません。それを手助けするために、データ活用を簡単にするサービスを考案し、差別化のためにサブスクリプション(以降サブスク)事業に特化したサービスの提供を開始しました。
サブスクは製品を販売したら終わりではなく、購入後いかに継続してもらえるかが非常に大事です。顧客ロイヤリティを高めるためには、顧客の状態をデータで察知して必要に応じてアクションをすることが欠かせません。CXを重要視したデータ分析が必要となるこの領域にフォーカスしてやっていこう、というのが事業の最初の戦略です。
メディア事業では、「CX Lab.」という顧客体験にまつわる情報発信メディアの企画・運営を行っています。各社のCXの取り組みやノウハウ記事をメディアで紹介しながら、様々なサービスに関わってエンドユーザーの良い体験を増やしていくのが目的です。
コンサルティング業務では、カスタマージャーニーの戦略のファシリテートと、カスタマージャーニー政策のワークショップを行っています。顧客の体験をどうデザインしていくか、コンサルで得たナレッジをツールの開発に循環させています。
事業バランスとしては、90%がKiZUKAI、10%がコンサルティングで、メディアはリード獲得のために利用、といった感じです。
--貴社の独自性や強みについてお伺いできますでしょうか。
弊社が戦う市場の競合相手は海外発のツールが多く、高価格帯かつ使いこなすのが難しいということもあって日本ではあまり普及していません。結局ツールを入れたけれどあまり使っていないというケースが多いんです。
「KiZUKAI」の強みは簡単さ、とことんユーザビリティにこだわっています。データ分析のリテラシーが無くても使いこなせるよう動線を考えてUIを設計しているので、数クリックで顧客の状態を可視化することができます。
新規ユーザー、中堅ユーザーは何をしているのか、顧客一人ひとりのサービスの利用履歴に基づいた分析が可能ですし、顧客のステージに応じてKPIを決めることができます。可視化したデータをもとにどんなアクションを取ればいいかがどんどん明確になる設定です。
--逆に貴社の課題感はどこにあるとお考えですか。
まだまだ若いスタートアップなので、取り組みたいことは山ほどあります。プロダクトが安定してきたこともあり、今後は一層組織作りに注力していきたいので、まずは、そのための人材への投資が目下の課題ですね。さらに、セールス、カスタマーサクセスを強化したいですし、アルゴリズム作成のデータアナリストも増やしていきたいです。
日本人の気遣い能力をツールに込めて、いずれは世界へ
--今後の中長期的な事業展望についてお伺いできますか。
現在はサブスク事業者向けのサービスに特化していますが、今後OMOマーケットへの参入を狙っています。オンラインとオフラインを融合してデータ活用し、顧客をそれぞれの購買ステージでしっかり管理して最適なロイヤリティを高める施策を行いたいという要望が高くなっているためです。実際OMOデータ活用のためにKiZUKAIをご利用いただいている大企業様もいます。サブスクリプションを追及することによって弊社の差別化できる領域を新たに発見して、OMOなどのビックマーケットに入っていきたいと考えています。
加えて、海外進出も長期的な視野に入れています。先ほど弊社の強みだと説明したKiZUKAIのUIのきめ細かさは、海外のサービスと比較したときに十分差別化して戦えると考えています。裏側では動線などを考慮して難しい設計をしていても、ユーザーはシンプルに使える。データリテラシーが無くても簡単に使えるサービスを海外に売り込んでいきたいです。
日本人は他者を気遣う能力が高く、例えば飲食店での接客レベルは世界一だと思っています。他方オンラインサービスの世界では、接客レベルや品質レベルでの気遣いはまだまだ改善の余地があります。本来日本人の強みである気遣いをサービスやオペレーションにアウトプットできるような仕組みを提供して、受益者には利点があるサービスを増やしていきたいです。
--最後にProfessional Onlineを見ていただいている経営者、決裁者の方に向けてメッセージをいただけますか?
サブスクリプション市場への参入に興味はあるものの、どうしたらいいか悩まれている企業様は多いのではないでしょうか。弊社にはこれまで蓄積してきたデータ活用のナレッジがありますので、お手伝いができるかと思います。課題をお持ちでしたらまずはご相談ください。
それから、顧客体験(CX)に関心をお持ちの方々。この領域は今後さらに大きな発展の可能性があります。一緒に盛り上げていけるパートナーや、考え方を共有できる方々との出会いをお待ちしております。
--本日は興味深いお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
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