森谷 幸平(もりたに・こうへい)
株式会社WizWe 代表取締役CEO
早稲田大学卒業後、オハイオ大学大学院で修士号取得。語学eラーニングベンチャーにて海外法人立ち上げと経営に従事する。その後(株)WEIC取締役CMOとしてEdTech事業とSalesTech事業の責任者を務めた後、バイアウトを実行し2018年に(株)WizWeを設立。習慣化プラットフォーム「Smart Habit(スマートハビット)」を開発し、教育・ヘルスケアなどの習慣化およびLTV最大化のグロースに従事する。
「大事だとわかっていても続けられない」「モチベーションが維持できない」。今や近代病とも言える”三日坊主”に悩む人は少なくありません。サービスを提供する企業側も、顧客がすぐに離脱してしまう、成果が出るまで続けてもらえず真価が発揮できない、といった課題を抱えています。これらを解決するカギは、習慣化。人が人をサポートするという本質はそのままに、テクノロジーとの融合によって習慣化を低コストで実現する、そんな画期的な仕組みを開発した森谷氏にお話を伺いました。
人の温かみとITの融合で習慣化をサポート
--本日はよろしくお願いいたします。まずは、習慣化に着眼なさったきっかけをおしえていただけますか。
WEICという会社でeラーニングの事業に携わっていた際、なかなかユーザー様が学習をつづけてくださらず、事業も伸びず事業売却も選択肢に入るような厳しい状況でした。それでも諦めたくないと、必死に“やりぬく秘訣”を考え抜きまして、答えが見えたんです。
その後、eラーニング事業と兼任という形で責任者を任されたSalesTech事業が伸びて成長軌道にのるところまでやりきってから、マネジメントバイアウトでeラーニング事業を継承し、2018年にWizWeを設立しました。そこから、 “やりぬく秘訣”、習慣化の考え方をソフトウェア化し、より社会に広げていこうと、習慣化プラットフォーム「Smart Habit(スマートハビット)」を開発しました。
--習慣化プラットフォーム事業とは、どういったものなのでしょうか。
一言でいうと、人間の愛情や温かみといったものが体現されているサービスと考えています。人が何かを継続しようとする時には、寄り添ってくれるサポーターが必要になります。成功を願って丁寧にフォローしてくれる人がいることで、私たちは物事を習慣化し、続けることがでるのです。
--なるほど。しかし、それを人だけで行おうとすると限界がありそうですね。
はい、一人当たり100人をサポートするのが限界といったところでしょう。どうしても価格が上がってしまいますし、それではサービスの費用感が課題となり大量の習慣化は難しく、社会の課題を解決することはできません。
サポーターの力を最大化する方法はないかと考えた時に、人が人をサポートするという本質は変えずに、テクノロジーの力で自動化できる領域を強化しようというのが、習慣化プラットフォームの構想です。いわば「ポケットの中にサポーターがいる」ような状態を作るのが「Smart Habit(スマートハビット)」というサービスです。
既存サービスの黒衣に徹して価値を最大化
--御社ならではの強みは何ですか。
ひとつめは、価格面です。人が寄り添うことで習慣化をサポートするようなサービスはありますが、200円~500円という低価格でサポーターが寄り添ってくれるサービスは、現状はどこもやっていません。習慣化に特化しているのも特徴です。
もうひとつ、 BtoCをしないというのも大きなポイントです。世の中には素晴らしいサービスが数多く存在していますが、三日坊主が理由で効果が発揮されていないということが多々あると思うのです。そこで、既存のサービスはそのままに、我々が黒衣に徹して伴走することによって、様々な価値を最大化することができると考えています。
--では課題は何でしょうか。
他がどこもやっていないことゆえに、説明しても信じてもらえない、よくわかってもらえないということがあります。「1人で3000人をサポートすることができます」「自動通知とは違います」等々ご説明しても、すぐにはピンとこない場合がほとんどなんですよね。
--知られていないこと、新しい試みゆえの難しさですね。
そうなんです。コミュニケーションの世界にマス・コミュニケーションがあるのと同様に、メンタリングにも「1対多数、つまりマス・メンタリング」」があって然るべきだと考えていますが、それをまだ誰もやったことがないので、理解されなかったり警戒されたりします。こつこつと成果を出して実績を積み上げていくしかないと思っています。
また、領域が変われば習慣化の法則も微妙に変わりますので、それを改善する必要があります。これまでも教育、運動、ヘルスケアと順次分野を広げてきましたが、ここまでくるのに10年かかりました。領域拡大に一定の時間がかかるというのも、課題のひとつと言えます。
成功報酬モデルで格差問題に一石を投じたい
--今後のビジョンについてお聞かせください。
教育においても医療においても「成果を得るにはお金がかかる」という現状があり、お金がある人が良い教育・医療を受けることができ、お金がないから諦める人がいるという格差が生じています。それを、成果報酬モデルによって解消していくことが理想です。
例えば教育分野においては、どのような勉強をどのくらい続ければ、どういう成果が出るか、ということはデータ統計でわかります。つまり、スタートする前に成果が予測できるということです。あとは、確実に習慣化を実現できれば予測値の範囲の中で成果が出るため、成果報酬モデルが可能になるはずです。利用者の多いサービスで習慣化の実績を積み重ねる中でおのずと膨大なデータが集まりますし、成果予測の精度も上がってくるため、実現は可能だと考えています。
--ヘルスケア分野においてはどうですか。
2040年に医療介護費が100兆円を越えるという予測がありますが、40歳頃から生活習慣を変え、運動をしたり食生活を変えたりすることによって、健康寿命を延ばすことができます。また、過疎化した地域の高齢者であっても、例えば皆が定期的に集うような習慣をデザインすることができれば、健康増進を促すことは可能です。
--しかもそれらを、低コストで実現できるということですよね。
おっしゃる通り、低コストで習慣化した先に、健康という成果を得ることができたなら、「成果を得るにはお金がかかる」という構図に一石を投じることになると思うのです。
そして最終的には、この仕組みを開放し、誰でも使えるようにできたらと考えています。習慣化が課題だと思っている人に、それぞれのビジネスにおいて低コストでこの仕組みを使ってもらえたら、サービスのユーザーにとってもプラスですし、仕組み自体がどんどん広がっていきますよね。課題は多いですが、いずれ実現したいと思います。
--実現が楽しみですね。本日はありがとうございました。
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